A CONVERSATION WITH HIROYUKI FUJITA

ランウェイデビューで変化する
ジエダのクリエイション

ストリート、モードの垣根を破り、流行にとらわれないスタイルを提案している
藤田宏行が手掛ける「ジエダ(JieDa)」。
2019年3月に行われた初のファッションショーでは、
“平成最後の東京コレクション”と銘打ちレイブカルチャーを現代風にアレンジし東コレのトリを飾った。
そのショーでも発表されたスポーツブランド「エレッセ(ellesse)」との
コラボレーションアイテムが順次販売を開始している。
「BOAシステム」を採用したスニーカーにミリタリージャケット、
コートなど3年越しの思いが結実し生まれた全10型のアイテムに込められた思いとは?
ジエダのアイデンティティ、クリエイティビティの源泉を紐解く。

-藤田さんはブランドを始める前、関西でスナップの常連だったとか。

ファッション誌の1週間コーデ企画に出させて頂いたりしていましたね。関西のセレクトショップで、約10年働いて、その後セレクトショップ「キクノブ(KIKUNOBU)」をオープンさせ、同時にオリジナルブランドとして始めたのが「ジエダ(JieDa)」です。僕は服飾学校を出ていないので、今だに自分をデザイナーだと思えなくて(笑)。専門的な知識を学んできたデザイナーさんに会うとドキドキします。

-今年東コレでランウェイデビュー。心境の変化はありましたか?

責任感と言いますか、コレクションブランドとしてあらゆる面で妥協せず、オリジナリティをどう出していけるかということをより一層意識するようになりました。ジエダとはこういうものだと、ブランドの色を強く出していく必要があると認識できたというか。

-個人的にジエダは「モード系」「ストリート系」といったような形容が難しいブランドだなと思っています。

作りたいものを作っているだけなんですよね(笑)。
自分ではシルエットに特徴があるのかなと思っていますが。あと実はトレンドも意識していて。肌感覚ではありますが、「次はこういうアイテムが"くる"んじゃないか」と考えながらコレクションを製作しています。

-次の2020-21年秋冬コレクションでは何が"くる"と?

UKテイストは気になっています。今週末から中東に行くんですが、中東とヨーロッパをミックスしたものを作りたいなと考えています。

3年越しの思いが結実、エレッセとのコラボ秘話

-東コレでも披露したエレッセとのコラボアイテムが順次発売中。コラボの経緯について教えてください。

仲の良いスタイリストさんがエレッセのシューズデザインをしている方を紹介してくださったのがきっかけです。最初はスニーカーだけだったんですが、ウェアも作ることになって。昔から好きなブランドだったので、決まったときはとても嬉しかったです。

-エレッセについてどのような印象を持っていますか?

やはりロゴが印象的ですよね。80〜90年代のクラシックスポーツのような雰囲気が好きで、正規店、古着屋でよく買っていました。実は3年くらい前にあのロゴがすごく新鮮に見えたときがあって、コラボロゴの帽子を作りたいと思っていたことがあったんです。その時は繋がりもなく実現しませんでしたが、今回こうして3年の時を経てご一緒でき光栄に思っています。

-デザインする上で意識したことは?

エレッセはレトロスポーツというイメージが強いと思っていたので、違うアプローチでデザインできればと思い「宇宙」を想起しました。ファッションの世界では90年代から2000年代に移行する過程で、「ナイキ」の「エア ズーム フライト」など宇宙船のフォルムのようなデザインの靴が増えたという歴史があって。ウェアでもクラバーみたいなスタイルが人気の時代で、それを2019年版に置き換えました。ジエダらしさとエレッセらしさを組み合わせるのには苦労しましたが、ジエダのコレクションテーマともリンクさせて作ることはできたんじゃないかなと。

-コラボした率直な感想は?

想像以上のモノができましたし、作る過程も本当に楽しかったです。これまでジエダでは機能よりデザインに重きを置いてきましたが、ミリタリーコートのベストが取り外せるようにしたり、スポーツブランドならではの製法を取り入れたり、こだわりの生地を使ったりと今回はエレッセの力を借りて普段できていない機能面にも力を入れました。本当にモノが良いので、このシーズンだけじゃなく長く着てもらいたいです。

-特にこだわりのアイテムはなんですか?

イタリア製の生地を使って作ったミリタリーコートやジャケットです。従来のナイロンと違って、光沢がありウェットな質感も良くて気に入ってます。

-ビッグシルエットなど、パターンが特徴的なアイテムが多いですね。

Tシャツは肩線を左右非対称にしていますね。基本ビッグシルエットなので、意識して作ってはいないですが女性の方も着られると思います。

-スニーカーでは靴ひもを使用しない新しいフィットシステム「BOAシステム」を採用。

以前から注目はしていて、是非使いたいと思っていました。着脱がスムースで快適ですし、何よりデザインも良いですよね。実はジエダでスニーカーを作るのは今回が初めてで。「ヘリテージ ベネチアーナ」をベースに作っていて、メッシュをスエードにしてテニスシューズをスケートシューズのようなデザインにアップデートしました。

-どういう風に着こなして欲しいですか?

性別に関係なく自由に着て貰えれば、ただそれだけです。

-藤田さんが考えるスポーツウェア、パフォーマンスギアとは?

ストレスフリーであること。登山などアクティブなシーンでも、その服を着用することでどれだけ日常に近い状態でいられるかどうか。今回はそこをおさえつつも、着てテンションが上がるものをという意識を持ちながら作りました。

藤田宏行が考えるジエダの未来

-ショップを運営されていることからエンドユーザーとの距離も近いと思いますが、顧客と接していて気づいたことはありますか?

うちの店だけかもしれませんが、細身体型の方が増えているんですよ。それこそワンサイズくらい小さくなっているので、最近はその辺りを意識しながらディレクションしています。

-藤田さん自身が考えるジエダに足りないものとは?

ここ数年、ブランドの入れ替わりが激しいなと感じていて。人と同じことをしててもダメで、やはりオリジナリティが求められるんじゃないかなと。そこでどう差別化していけるかが鍵な気がしています。

-ビジネス面の目標は?

海外の取り扱い店舗を増やすことが目標ですね。パリで展示会を行っていますがまだまだなので、今後も注力していきたいと考えています。

-今後5年の間にやりたいことは?

海外でショーをしたいと考えています。パリ、もしくはミラノでできれば最高ですね。個人的な目標はどこでも仕事できるようにしたくて。海外や地方に住みながら服作りができるよう、今基盤を整えている最中です。

text by FASHIONSNAP.COM

JieDa

デザイナー藤田宏行は1979年島根県生まれ。約10年間ファッション業界で経験を積み、2007年に自身のブランド「JieDa」を立ち上げ。ブランド名のJieDa=自枝(ジエダ)は自らが提案するスタイルを木になぞらえ、独自のオリジナリティが枝分かれする様に、多くの人に発信していきたいという意味合いが込められている。同じく2007年、島根県にセレクトショップ「KIKUNOBU」をオープン。現在は東京、大阪、島根と3店舗に展開している。

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