LISACHRIS
Make It Beautiful 時代と遊べ。

LISACHRIS

2019.3.27 | SIDE A

複雑なビートは、理性をもって愛を広げるため

初のフルアルバム「Akasaka」を、福岡を拠点とするレーベル〈OILWORKS Rec〉からリリースしたプロデューサー・DJのLISACHRISに、創造をかきたてる根源を訊ねる。

Interview & text : Hiroaki Nagahata (STUDY)
Photography : Takao Iwasawa (The VOICE MANAGEMENT)
Styling : Risa Kato
Hair Make-up : Maira Tsuboi
Edit : Kentaro Okumura

-LISACHRISさんは、幼少期からクイーンズやロンドンなどに住んでらっしゃいました。最初に憧れたものを覚えていますか?

EIFFEL 65の「BLUE」っていう曲をエンドレスで聴いていました。イギリスに住んでいた頃、周りでもすごく流行ってて。

-LISACHRISさんにはずっとヒップホップ界隈の人、というイメージがあったんですが、トラックを聴いていると、スタイルも音楽もアメリカ的なものに偏らず、イギリスのアンダーグラウンドな匂いがあったのが印象的でした。作曲の際、たとえばイギリスにいた頃の記憶を積極的にアウトプットしていこうという意識はありますか?

それはないけど、逆に「アメリカには影響されてないぞ」とは思っています。

-それはなぜ?

単純に、他の人たちと似通ってるのが嫌だから。それと、生きてるうちに自分の音楽を確立させたいから、自分から湧き上がることだけをアウトプットしようと努力しています。

-最初に音楽をつくり始めた時からそう思っていましたか?

最初はわけも分からずやってたから、ぜんぜん。無意識にやってましたね。「これいいな」と思ったメロディがあったら、そこから膨らまして。

-ではリスナーとして音楽を聴いてた時は、どこに注目して聴いてましたか?

やっぱりトラックでした。アルバムの中でも有名なシングルじゃなく、みんなが注目していないものを聴いて「こっちのほうがかっこよくない?」みたいな。

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-そういえば、今年発表されたアルバム『Akasaka』では、2曲連続でUCARY & THEVALENTINEさんがフィーチャーされていますが、彼女とはプライベートでも仲良しですよね。音楽的に共鳴するところが多いんですか?

曲の好みとかは似てないかもしれないです。UCARYはよく私の曲を解説してくれて、褒めてくれるんです(笑)。彼女にはいつも元気づけられる。私はあの子の少女みたいなピュアさと、その裏にある悪さが大好きで。「別に、私は私の道行くし」みたいな悪さに。

-それは自分の中にもあるものだって思いますか?

うん。悪じゃないと音楽なんて作れないと思ってるから。自分の曲やメロディーを世の中に出すなんて、マインドがオラついてないとできないですよね。

-今は自然とそういうことができる。

いや、いろんなことを経たからですよ。最初は何も知らないし、何も考えてなかったから、逆に無敵感があったけれど。音楽の世界に入って、曲を本気で完成させていくようになった
今は、より頭を使って自信を持つようになった。

-ポップミュージックの歴史の中で、自分はこういう立ち位置でやるんだ、という自分への客観性は持っていますか?

その時々でけっこう変わります。私は音楽にあんまり詳しくないので(笑)、きちんと言及できないんですけど。最近は、ヴィヴィアン・ウエストウッドかな。映画(『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』)を観て。

-ここでヴィヴィアンの名前が出てくるとは(笑)。

映画を観て知っただけなんですけどね。そこで初めて知ったんですが、ヴィヴィアンって媚びが一切なくて、そこが大人の女性たる所以なんじゃないかなって。自分もクリエイションやってるんだったら、人に意見に合わせてる場合じゃないなって思います。

-逆に言うと、今までそういう部分があった?

そうですね。

-それは音楽制作の面?社交の面で?

どっちも。まあ、音楽ではないかな……ああ、でも、自分がトラックを作り終えるまではいいんだけど、ミックスやマスタリングの段階でも、思ったことは言ったほうがいいなと思いましたね。ヴィヴィアンの映画は良いきっかけでした。クリエイションの仕事だったら、100%自分を出したほうがいいんだって。

-ミックスやマスタリング、客演といった要素はチームワークが必要ですが、コミュニケーションで気をつけていることはありますか?

思ったことはすぐに言うこと。変に媚びた言い方はしないで、どう思われてもいいっていう感覚で。だから、嫌われても仕方ないって思っています。これはクリエイションだからって。

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-唐突ですが最近、何か悩んでいることってありますか?

最近は喋るのって難しいなって思っています。なんだろうな……自分は心の底から言いたいことをいつも言いたくて、それを頭で探してる。

-人とコミュニケーションをとるたびに疲れる?

疲れちゃうっていうか、これが私の言いたいことなのかなって。まあ別にそんなに悩んでないけど、「悩みは?」って聞かれたらそんな感じ。

-それは「人と話すことを純粋に楽しめない」っていうことにも繋がるんですか?

いや、それは楽しめてます。ただ、もっと“良く”しゃべりたいなって思う。UCARYとの曲(「ame」)でも彼女がそういう歌詞を書いてくれたんです。「伝えたいことはなにもなさなくて 言葉がでない」って。

-2人の共通の悩みだったんですね。

そういうのを書いてくれるから、楽しいですね。事前に「歌詞はこんな内容にしよう」とは話さないですけど、私から曲を送って彼女から歌詞が返ってくると、「通じ合ってる~、ユカちん~」ってなる。

-自分が伝えたいことを自分で正しく把握するのも骨が折れますし、コミュニケーションって大変ですよね。

ね、テレパシーがあったらいいですよね。でもどうやら、人間は第六感でそういうことが普通にできているらしいですよ。

-もしかしたら、言葉がそれを邪魔してる部分があるのかもしれないですね。言葉にすることで、いろんなニュアンスが抜け落ちたりするし、「本当はこんなこと言いたくなかったのにな」ってことを言ってしまったりとか。

たしかに。だから最近、言霊を気にするようにしてます。例えば「お金がない」は「お財布が嵐の前の静けさ」って言い換えてる。そうすると、みんなめっちゃアガる。「うぉー!」みたいな(笑)

-(笑)。ネガティブなことを言うと、どんどんそっちに引きずり込まれていきますよね。

本当にそう。私も大人になったから、こういうことを考えているのかも。

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-音楽の話に戻すと、ファーストアルバムで自分を表現しきれたと思いますか?

ようやく自分のことをわかってもらえる1枚ができたな、とは思っています。でもアルバム収録に間に合わなかった曲がまだまだあります。

-音楽を通して叶えたい野望ってありますか?

不倫や二股を撲滅することです。

-もう少し詳しくお願いします(笑)。

最近、音楽家って政治家とか思想家みたいだなってよく思っていて。で、自分が音楽を通して何がしたいかというと、愛のある世界を広げたい。人間って子どもをつくって、その子どもを大事に育てていく種族じゃないですか。そういう(ピュアな)世界を実現させたいですね。でも、だからこそ私はわざと頭を使わせるビートを作ってるのかも。「みんな、頭良くなれ」って(笑)。

-理性的になれ、と。

そう、理性を持って愛を広げよう。

-最後にファッションの質問を。ご自身の中でファッションと音楽は結びつけて捉えていますか?

同じです。DJをやる時は、その日にかける曲でファッションを“仕上げる”みたいな感覚があります。音楽があって、初めてその日の格好が完結するというか。だからファッションと音楽は同じ。なんならそのために生きていますね。

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Profile

  • LISACHRIS

    3月1日生まれのプロデューサー/DJ。NYのクイーンズで生まれ、ロンドン、東京で育つ。一聴して誰のものか分かる印象的な楽曲を多数手掛ける音楽プロデューサーとして、DJでは国内外のクラブ、ハイブランドからストリートカルチャー、様々なパーティーやショーにブッキングされている。2018年4月1stEP『ARIAKE』、10月2ndEP『Ariagain』、2019年2月には1stAL『Akasaka』をOILWORKS Rec.よりリリース。3/30には初となるリリースイベントを開催しバンドセットをお披露目予定。

    official web:http://lisachris.net

ellese EC
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