miu
Make It Beautiful 時代と遊べ。

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2019.4.03 | SIDE A

笑顔の似合う、かわいいおばあちゃんになりたい

透明感、独特、ミステリアス-。メディアはよくそんな言葉で彼女の魅力を表現するが、その実とは。東京で生きるモデルとしての、ささやかな信条について。

Interview & text : Neo Iida
Photography : Takao Iwasawa (The VOICE MANAGEMENT)
Styling : Momomi Kanda
Hair Make-up : Maira Tsuboi
Edit : Kentaro Okumura

-miuさんは幼少期、どんな子どもでしたか?

泣き虫でした。小学校の時は人見知りであんまり友達ができなくて、家に帰ると『フランダースの犬』を観て泣くのにハマってました。それが小2とかかな。

-友達と遊ぶよりインドア派だったんですね。

友達ができなかったんですよ。友達の輪の中に入っていけなくて、学校行きたくないからよく仮病使ってお母さんと布団の取り合いしてました。

-家では何をしていたんですか?

お兄ちゃんと弟がいたんで、少年漫画をよく読んでました。

-じゃあその頃はファッションへの興味は……。

もう全く。でもお母さんが買い物好きだったので、月曜になると一緒に京都まで買い物に行ってました。私はついて行ってただけなんですけどね。男兄弟だから、お母さんとは友達みたいな感じで、いつも一緒に遊んでたんです。

-(笑)。その頃の将来の夢は?

お母さんが美容師だったから、私も美容師になるって決めてました。よく美容師さんが使ってるマネキンを借りて、三つ編みとか編み込みの練習をしていて。いつもお母さんがやってくれてたから、やり方もわかってたんです。

-中学はそのまま進学したんですね。

はい。お母さんがやっていたってのもあって、部活はバレー部。上下関係が結構厳しくて、わりとちゃんとやってましたね。音楽も好きでした。でもみんながかっこいい! って言う音楽とか、流行ってる音楽が全然好きになれなくて。小学校の時に知ったブルーハーツとか、お父さんが好きなクインシー・ジョーンズ周りとか、デラソウルとかも好きでしたね。

洋楽が多かったです。ジャンルは広がらなかったかもしれないけど、いつもみんなと違う音楽を聴いていました。

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-モデルへの意識が芽生えたのはいつからですか?

17歳、高校の時です。お母さんの美容室が神戸コレクションに出ることになって、一緒に行く? って。そうしたら、そこでスカウトされたんです。カメラを向けられて表現するのって楽しいって思ったんですよね。それまであんまり自分に自信がなかったんですけど、すごく楽しかった。中途半端になるのは嫌だし、環境を変えて東京に行こうと。

-葛藤はありませんでした?

モデルって、もちろんいくつになっても素敵な方っていらっしゃるんですけど、若いうちにできる表現やスタイルには限りがある。それに対して、美容師は手に職がものを言う仕事だからあとからでもできる。今しかできないことをやりたいってお母さんに言うと「わかった、頑張れ!」「頑張る!」って。でもお仕事を始めた頃は人見知りで誰とも話さなかったし、いつもスタジオの隅の方でお菓子ばっかり食べて(笑)。ちゃんと自分から現場の人とコミュニケーションを取るようになったのは一昨年くらいからかもしれないです。

-それは何か心境の変化があったんですか?

“仕事”になったんだと思います。ある時ふと「長く続けたい」と思うようになったんですね。東京に出てからいい出会いが続いて、その流れで仕事ができていたんですけど、自分でそう意識するようになってから、ぐるっと意識が変わったんです。

-受け身だったものが、少し自我が生まれたというか。

私の写真を見てお母さんが喜んでくれるとか、ファンの子が見ましたって言ってくれるとか、第三者を想像するようになってからは、誰かのために仕事できてるんだって思って。

-すごいですね。

撮影って、私は1日だけの参加でも、スタッフさんは前日まで準備があるし、終わったあとに片付けをしたり編集したりと、やることがたくさんある。だから撮影のときは、その時間を大切にしたいって思っています。せっかくみんな集まったんだから、その時間はおしゃべりして楽しく終わりたい。お話をする中で相手の好きなものの話とか、なんでもいいんですけど、何か興味をもたない限りは距離が縮まらないし、人が求めてるものに答えたいからこそ、そういう普段の会話からインスピレーションを受けて撮影を楽しんでいます。

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-カルチャー的な影響はどこから受けていますか?

本をめっちゃ読みます。小説も自己啓発本も雑誌もなんでも。最近は昔の雑誌を集めていて、70~90年代くらいの音楽雑誌とか、ファッション誌とかを見つけたら買っています。当時のライターさんって本当に好き放題やっていて、話がコミカルですごく面白いです。

-雑誌『PEAK』では「トーキョーつや麺」という連載もお持ちですね。

ラーメンについては、もともとプライベートアカウントを作って投稿していて、こんなに好きなんだし、お仕事にできないかな……タダでラーメン食いてえな、って思って(笑)。それでオモテのアカウントでもアップするようになって。ラーメンインスタグラマーはたくさんいるけど、その中の一人で終わりたくないので、感想とか場所は何も書かず、写真だけアップするようにして。そうしたら、お声をかけてもらったんです。

ー“つや麺”ていうワードセンスがいいですよね。

改めて説明するとなんか恥ずかしいなぁ(笑)。写真でラーメンを撮ると、スープが天井のライトを反射して、キレイなんですよ。つやつやだなって。それに“つや麺”ハッシュタグを使って、自分の撮ったラーメン写真を一覧して見たかったんです。今はいろんな人が使ってくれるようになってきています。

ー発信したい気持ちがあるわけですね。

そうですね。自分の好きなことも仕事にしたいし、そのほうが人間性が見えて面白いじゃないですか。かっこつけた写真はたくさんあるけど、モデルといってもただの肩書きだし、中身を見てほしいなと思って。人間だもの(笑)。

-それでアカウントを別に作ったりもした。

はい。でも自分のインスタグラムを見た時に、仕事とはいえ、自分の写真ばっかで気持ち悪いなって思ったんですよ。自分めっちゃ好きやん! みたいな(笑)。

-ちょっと自分を俯瞰して見る部分があるんですね。

そうですね。自分のことも他人のことも、めっちゃ客観的に見ます。何かが起こった時に、いろんな角度で物事を見るクセがある。失くした物を探すときって、こっちかな、あっちかなって、しゃがんだり背伸びしたりしますよね。あの感覚に近い気がする。頭の中でずっと誰かが喋ってるんですよ。小学校の頃から変わっていません。

-面白いですね。

仕事でかわいいって言われると「えっ、そんなにかわいいの? 嬉しい!」って、一瞬舞い上がるけど、すぐ「ダメダメ! かわいいモデルはいっぱいいるんだから」って(笑)。かわいい、かっこいいって言われると嬉しいんですが、頭の中で「来年(シーンに)いるかわからないんだから、うぬぼれないで!」って声が聞こえる(笑)。でも、実際大事にしてる部分でもあるんです。やっぱり「モデル」ってちやほやされる存在なので、そこに甘えて天狗にはなりたくない。

-ほかに仕事で心がけていることはありますか?

基本的に楽天的で、切り替えがめっちゃ早いです。美味しいごはん食べたら忘れます。単純だから(笑)。

ー撮影の時の決めごとは?

基本は「無」でいること。自分の感情を出し過ぎると、衣装やヘアメイク、そのときの景色をあまりキレイに見せることができないんです。でも物語を感じるとか、映画っぽいと言われることがあって、無意識のなかに少し感情が入っているのかも。バランスが難しいんですけど。

ーさじ加減が難しそうですね。

「匂い」ってあるじゃないですか。写真を見たときに感じる色気とか、人間臭さとか。そういう匂いを表現できる人になりたいなって思います。表情を作れば感情はある程度表現できるけど、匂いを感じさせるのは難しい。でも俳優さんって、匂いを感じますよね。そういうものが出せるようになるにはどうしたらいいんだろうって、いつも考えてます。

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ーmiuさんは最先端のムーヴメントの渦中にいるような気がしますが、今の時代をどんなふうに見ていらっしゃいますか?

う~ん、そんな最先端のところにはいないかも……。自分が今の時代に乗っている感じはしません。なんか「時代に生きてる」って言うと、埋もれちゃいそうで嫌なんです。この時代が終わると私は終わりなのかなって。だからあまり“今”を意識したことないかも。どちらかというと昔のカルチャーが好きだから「今を生きてる!」っていうより、過ぎた後に振り返りたい。唯一今を感じられるとすればライブかな。昔活躍していたアーティストのライブが今観られないのが、本当に悔しいです。今好きな人もいつか「昔の人」になってしまうから、行けるライブは全部行っておきたいですね。

ー東京という街をどう捉えていますか?

いろんな人にお世話になってきて、すがろうと思えばすがれる人も場所もたくさんある。でも(そういう他者に)すがっていたら、一瞬で時間が過ぎてしまうんだろうなって思います。浮き沈みも早いですし、流されやすい。だから自分で行きたいところに行って、会いたい人と会って、お話をする。これは東京に限らずですけど、自分次第でその瞬間その瞬間を楽しめるんだと思います。

-そのために意識していることはありますか?

朝の通勤時間に電車に乗ると「今日も仕事かぁ」っていう邪気がすごくないですか? 私そういうの敏感に感じる人なんで、満員電車が苦手で。だから私ひとりでも、いつもハッピーオーラを全開に出してます(笑)。怒ってる人を見ると、将来そういう怒ってるシワがついた怖いおばあちゃんになるよって思って眺めてます。笑顔を絶やさず、笑顔の似合う、かわいいおばあちゃんになりたいんです。

-休憩の合間にもそのオーラ、すごく出てる気がしました。これからのmiuさんは、どんな仕事をしていきたいですか?

遠い先の未来までは考えてないですけど、モデルだけで自分の表現を終わりたくない。役者を目指したいっていうのは、密かに思っています。前までは(演技は)私に向いてないと思ってたんですけど、表現者という点でいえば、モデルの先にあるような気がしています。

-今は洋服を着て物語を表現をしていますけど、動いて演技をする表現には、また違った筋肉が必要になりそうですよね。

そうですね。今までわりと順調にお仕事ができていて、周りの人にすごく感謝してるんです。でもだからこそ、全く苦手な分野に飛び込んで、苦労してイチから挑戦することも大事な気がしています。まだ全然先のことですけどね。

Profile

  • miu

    その圧倒的な透明感、空気感、世界感で国外でも活躍する絶対感覚モデル。ストリートからモードまで幅広くこなし数々の人気ブランドのビジュアルも務める。雑誌『ViVi』専属モデルでもあり女優業もこなす。ストリートが根底にある彼女のスタイルや飾らず等身大の自分を発信する姿勢もまた絶大な支持を得ている。

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