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八ヶ岳を愛する
女子ふたりが語る
「自然の楽しさと
ウエアの大切さ」

右/フォトグラファー
野川かさねKasane Nogawa
左/料理研究家、DILL eat,life.オーナーシェフ
山戸ユカYuka Yamato

既存の枠組みにとらわれない山岳写真を発表し続ける写真家・野川かさねさんと、料理研究家として東京での活躍を経て、2013年に山梨県北杜市にレストランをオープンした山戸ユカさん。
八ヶ岳という共通のフィールドでお互いの表現に取り組みながら、自然の楽しみ方を提案する編集ユニット「noyama」の一員としても活動するおふたりのスペシャル女子トークをお届けします。
前編では、それぞれが感じる八ヶ岳の魅力などについて伺いしました。

まだ誰も足を踏み入れていない領域を、
八ヶ岳は気づかせてくれた。

野川:私が八ヶ岳に魅せられたのは、写真家として独立して間もなくのこと。八ヶ岳のひとつ、硫黄岳に登ったとき「これが自分の撮るべき被写体だ」と天からの使命のように感じたんです。山は被写体として撮り尽くされ感があるように思われているけど、実際に撮ってみたら誰も足を踏み入れていない領域がまだまだ残されている。それを発表していくことに意義があると思いました。以来、月に一度は八ヶ岳に通っています。
山戸:野川さんの写真を初めて見たとき、ガイドブックの写真とは違う、感じたままの山を撮っていてすごく驚かされました。
野川:私の根底に、「さまざまな小さなものが積み重なって大きなものを構成している」という考えがあるんです。山も大きな外側から捉えるだけでなく、石や木、苔などの小さなものの重なりを山という被写体で浮かび上がらせればいいと考えています。
山戸:野川さんが写真と向き合う妥協のない姿勢からはすごく刺激を受けています。「noyama」で活動するときは、写真と料理の垣根を越えて厳しい意見も妥協なしに言ってくれますよね(笑)その体験が山戸ユカ個人として料理するときにすごく生きているなあと思います。

まだ誰も足を踏み入れていない領域を、八ヶ岳は気づかせてくれた。

レシピに書かれた言葉では伝えきれない
おいしさを伝えていきたい。

山戸:私は3年前に八ヶ岳の南麓に移住して夫とレストランをオープンしました。東京にいた頃からの料理研究家という肩書きでの仕事も続けていますが、今はレストランのオーナーシェフが自分の中ではメインになっています。
野川:八ヶ岳でレストランを開こうと思ったきっかけは?
山戸:もっと自分らしく暮らしていける場所、何があっても生きていける場所、もっと自分の料理がうまく作れる場所はどこだろうかと、ふと立ち返って考えてみたときに選んだ場所が八ヶ岳でした。実際に住んでみると、水は一年中レストラン近くの沢を渾々と流れていて止まることがありません。日本でいちばん日照時間が長いと言われている地域なので、食べ物自体からも強い生命力を感じますよ。
野川:寒暖差が大きいせいか、野菜がすごくおいしいですよね。
山戸:料理がものすごくシンプルになりましたね。余計な手を加えないほうが味が引き立っておいしいものであふれているから。レストランを始めた理由も、レシピに書かれた言葉では伝えきれないおいしさをもっと伝えたいからです。

それぞれが自分の表現で自然にアプローチできる面白さ。

野川:私たちふたりにライターと木工アーティストを加えた「noyama」はアウトドアユニットと紹介されることが多いけど、もともとは「大げさな準備などしなくても自然は身近で楽しめるんだよ」というささやかなことを広げたくて始まったんですよね。
山戸:そうそう、「山ガール」ブームのかなり前に、自然発生的にメンバーが集まったのが始まりでした。気軽な自然の楽しみ方やシンプルな触れ合い方を提案していくことはずっと変わらない活動のコンセプトです。東京にいたって感じられる自然があって、ちゃんと気づくことで世界がもっと豊かに見えてくるよ、みたいな。
野川:私が写真を撮りながら「景色がきれいだなあ」と感じている横で、仲間が木工の素材を拾っていたり、みんなが同じ場所にいながらそれぞれが心の中で自分らしく自然を楽しんでいるのがいいんですよね。そして、ときどき、それぞれの楽しさや感覚を共有しあうことで、お互いの世界を広げあえるんです。
山戸:野川さんは写真で、私は料理で八ヶ岳の自然を楽しんでいる。それぞれが自分の表現でアプローチできるところが面白いと思います。
野川:表現が違っても、同じ八ヶ岳に魅了されているところも面白いですよね。

それぞれが自分の表現で自然にアプローチできる面白さ。

寒暖差が激しい八ヶ岳の南麓ならではの防寒対策。

山戸:八ヶ岳の南麓では、秋本番になると朝晩だけでも薪ストーブを焚くようになって、寒さが本番を迎えると最も寒い日でマイナス20℃近くになることもあります。一方で、日照時間は日本一と言われるほど晴れている日が多いのも特徴で、気温は低くても、陽が当たっているところはすごくポカポカ。日向と日陰の体感温度の差や朝晩の寒暖差はすごく大きいんです。
野川:そのおかげできっと野菜がおいしいんですよね。
山戸:でも、ちょっとした買い物でも防寒にすごく気を付けていますよ。寒い日にクルマで出かけて脱輪でもして動けなくなったら命に関わりますから(苦笑)冬の時期はどこへ行くにも防寒着と水筒、ちょっとした保存食を持って出るくらい。
野川:その点、光電子を使ったベストは軽い上に、気軽に持ち歩けていいですね。
山戸:実は私、今までベストは避けてきたんですが、今ではレストランと外のちょっとした出入りでも着ていますよ。

寒暖差が激しい八ヶ岳の南麓ならではの防寒対策。

袖がないベストは、腕の動きが多い
アウトドアでの作業で重宝する。

野川:私も今着ているボードウォークベストを使い倒していますよ。ベストで胴体をあたためていると両腕が出ていても意外と大丈夫なんですよね。尾瀬の撮影やトレッキングでも着たし、街の撮影や日常生活でも着ています。
山戸:実は今年からフリークライミングにハマっていて、メッカと言われる小川山に毎週通っているんです。夕方に陽が落ちた後やビレイ(確保)している時間、仲間が登っているのを見ている時間に、このベストを着ています。光電子のおかげで一度あたたまるとぬくもりが続くので、すごく助かってますよ。
野川:私の場合、カメラやレンズなどの機材をいじるので人に比べて腕の動きが多いんです。結局、袖をまくるのでベストがいいんですよね。このベストは襟がなく、重い荷物を背負っても首が疲れないので、カメラ用のベストとしても活用できますよね。
山戸:アウトドアで料理していても袖が汚れずベタベタしないので思いのほか重宝しています。

自然体で着られるのに、機能性という本質が備わっている。

野川:アウトドアでの活動を始めて一番の変化は、使い捨てカイロをしなくなったことかもしれない(笑)体が寒さに強くなったのではなくて、あたたかいウエアを知ったから。ものすごく寒い日はこのウエアを着ればいいんだ、と。
山戸:やっぱり私たちにとってウエアは道具なんです。道具である以上、中途半端ではダメ。一度汗をかいてしまったら最後、乾きにくく冷えてしまうようでは困るし、重かったりかさばったりして持ち運びにくいのも勘弁。その点、光電子のベストは穏やかなあたたかさが続くし、コンパクトにたたんでカバンにも入れやすいので道具としてよくできています。
野川:どちらのベストも派手すぎず、暮らしの中で着やすい印象がいいですよね。
山戸:アコンカグアは定番のウエアだけど、原色でピカピカしているアウトドアウエアが多い中で、落ち着いた色合いと艶消しのシックさが個人的にはうれしいです。
野川:自然を大げさに捉えず、自然体で着られるのに、機能性というアウトドアウエアの本質がちゃんと備わっている。自然に対する私たちのスタンスにとても近いものがありますね。

自然体で着られるのに、機能性という本質が備わっている。

右/フォトグラファー 野川かさね Kasane Nogaw 左/料理研究家、DILL eat,life.オーナーシェフ 山戸ユカ Yuka Yamato

PROFILE

右/フォトグラファー
野川かさねKasane Nogawa

フォトグラファー。写真家・ホンマタカシ氏に師事したあと、2005年にフリーランスとして独立。八ヶ岳との出会いを機に山と自然をテーマとした作品を発表。「山岳写真」の新しい世界を切り拓き続けている。写真集に「山と鹿」(ユトレヒト)、「Above Below」、「with THE MOUNTAIN」(wood/water records)、著書に「山と写真」(実業之日本社)、著書に「山と山小屋」(平凡社)、共著に「山・音・色」(山と渓谷社)「山と山小屋」(平凡社)など多数。自然を楽しむことを提案する編集ユニット「noyama」やクリエイティブユニット「kvina」としても活動中。

左/料理研究家、DILL eat,life.オーナーシェフ
山戸ユカYuka Yamato

料理研究家、DILL eat,life.オーナーシェフ。玄米菜食とアウトドア料理を得意とする。2013年に生まれ育った東京を離れ、八ヶ岳南麓に移住。季節の野菜を中心としたレストランDILL eat,life.をオープン。現在は八ヶ岳を中心に、イベント出店やケイタリング、レストランでの料理教室も行う。著書に「山戸家の野菜ごはん」シリーズ全3部、「DILL EAT,LIFE. COOKING CLASS」(グラフィック社)、その他多数。自然を楽しむことを提案する編集ユニット「noyama」としても活動。

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