SIGNATURE for FUTURE SIGNATURE for FUTURE

現像後の写真の上から、絵の具や花などをペイント/コラージュする手法でつくる、白昼夢のようなビジュアルイメージ。1991年生まれのTakakoNoelは、そんな唯一無二のスタイルによって、近年特にファッション界で注目されている存在だ。22歳で単身渡英し、エディトリアル、写真、スタイリングなど多岐に渡る表現を学んだ彼女の表現は、写真というカテゴリーに留まらない多面的なものへと化けた。ひたむきで何にも縛られない、25歳の肖像を届けよう。

海外で培われた
ジャンルレスな表現力

Takakoさんはフォトグラファーでありながらスタイリングや
ディレクションなど、さまざまな活動をされていますね。

写真に軸を置きつつも、写真という枠に留まらないジャンルレスなものを作りたいと思っていて、私自身はビジュアルアーティストと名乗っています。自分の写真を使ったビジュアルブックを編集をすることもありますし、インスタレーションや新しい展示の方法も常に模索しています。

そもそも写真を始めたきっかけを教えてください。

2013年にイギリスのLondon College of Fashionに留学して、スタイリストとフォトグラファー、エディター志望のためのコースに入りました。ジャンルレスというか、いろんなことをやるマインドはその時に育まれた気がします。それまではフォトグラファーとか全然詳しくなかったんですが、ロンドンで学ぶうちにライアン・マッギンレーやコリン・デイの写真に出会った。もう、ものすごい衝撃でしたね。自分のスタイルを突き詰めれば、ここまで圧倒的な世界観を作ることができるんだって。その感動から、22歳の時に写真を始めたんです。

その時に学んだことは今、どのように生かされていますか?

やっぱり一番は、自分でもびっくりするくらいに価値観が変えられたこと。海外のメディアのエディターは「今これが流行っているから」というマーケティング的な視点ではなく、あくまで自分の世界観を表現するために雑誌を使っていたんです。自分もそういうことをしてみたい!という思いが、今のひとつの軸になっていると思います。

何が起こるか分からない
状況をつくる

Takakoさんの特徴でもある、写真の上に絵の具や花びらといった
マテリアルを乗せるという手法を始めたきっかけは?

被写体が持ってるパワーや、撮る瞬間に私が感じたものをもっと強く視覚化できたらと試行錯誤していた時があって。試しに絵を描く延長のつもりでやってみたら、自分が考えている以上に上手く表現できたんです。今は、現像時にインクが定着する前に印画紙に水をかける方法を実験しています。

新しい表現への探究心が自分らしい表現を生んでいるわけですね。

写真の長い歴史の中でやり尽くされていることはあまりやらないでいこう、っていうのは常に意識していますね。もし既に誰かが使った表現になりそうだったら、すぐに違う方法を探します。

作品のインスピレーションはどこから得ていますか?

美術館や写真展はもちろん、画集や音楽など、結構色々ありますよ。特に写真展での空間演出の仕方や現像の色合いとかには、自分の写真に影響を与えていると思います。
あとは旅ですね。つい先日直島に旅行に行って、安藤忠雄さんが設計した地中美術館でモネの絵を初めて見たんですけど、とても衝撃を受けました。作品を空間で体感すると、血管がブワっと広がって「私も何か作らなきゃ」って気持ちにさせられます。

撮影現場で一瞬を逃さないためにしている準備や
気をつけていることはありますか?

私自身が自然を好きだっていうのもあるんですけど、海辺や森の中とか、なるべくその人の素が出やすいところに行きます。広いロケーションで走り回れたり、予期しないことが高い確率で起きそうなところに(笑)。オーガナイズされているところというよりは、未開の場所に行くのが好きなんですよね。

それには何か原体験があるのでしょうか?

両親が自然好きだったので、小さい頃は山梨とかに行って、牧場へ行ったり魚釣りをしながら、毎年一ヶ月くらいはロッヂで暮らしてました。今も自然や旅が好きなのは、その時の体験が大きいのかな。

逆に、都会に暮らす利点はありますか?

どうだろう……あ、以前、D.A.N.の(櫻木)大悟くんが私の展示会用の写真を見て、曲を書いてくれたことがあって。その曲をずっと流しながら暗室の中で転写していると、プリントの仕上がりが大悟くんの透明感のある声や、青みがかった世界観に影響されたことがありました。まだ詳細は言えないのですが、年内にはネオンアーティストの方と融合インスタレーションを計画中です。そういった新しい出会いや発見が多いのは、都会ならではだと思います。

観る人にポジティブなものを
与えられるように

ご自身の活動の中で、必需品と呼べるものはありますか?

フィルムですね。フィルムだと予期しないことが起こるし、現像する時もそうなんですけど、色んな人の手を仲介するからこその温かみがある。デジタルで撮影した写真をPhotoshopでさっと色を変えるよりも、より大きな可能性を秘めてると思ってます。

一貫して、予期できない未知数な部分を楽しんでいるんですね。

そうですね。例えばモデルさんとの撮影の時は、自分のイメージしたものに忠実な画をつくろうというよりも、花火やスモークなんかを持っていって、何が起こるのかわからない状況にして撮るが好きです。それこそアクションペインティングみたいに、花や煙を散らしたり投げてみたりして、騒ぎながら撮っています(笑)。エクスペリメンタルな姿勢は常に持っていたいと思っています。

今後新しくチャレンジしてみたいことはありますか?

絵の具や花を使った表現でもっと作品を作りたいし、展示というインスタレーション自体ももう少し面白くできないかな、と思ってます。音楽であったり、香りであったり…もっと五感で感じられるインスタレーションを考えています。

Takakoさん自身も、
これまでそういった展示に力をもらってきたわけですね。

自分が好きだと思うアートを見た時はすごいエナジーを感じて「よし、やるぞ!」って前向きな気持ちになる。だから、私も観た人にポジティブなエネルギーを与えられる作品を作れればと思っています。最初は「自分のやりたいことをやる」っていうパーソナルな始まりだったけど、続けているうちにそんな風に考えるようになりました。作品や自然からエナジーをもらって触発され、作品を作り、またモチベーションを上げていく。そういうサイクルになっていけばいいなと思います。

Takako Noel
ヴィジュアルアーティスト

1991年東京生まれ。
London college of fashionにてPhotographyとStyling、雑誌編集を学び、帰国後はvisual artistとして写真を軸に活動中。

1991年東京生まれ。
London college of fashionにてPhotographyとStyling、雑誌編集を学び、帰国後はvisual artistとして写真を軸に活動中。