THE NORTH FACE MY FIRST SNOW TREKKING

はじめてのスノートレッキング

同じ山でも、夏と冬の表情はまったくの別物です。 新雪を踏みしめる感覚、 動物の愛らしい足跡を見つける喜び、 ほてる顔に当たる冷たい風の心地よさ。 雪山でしか味わうことのできない良質な体験は 一瞬でわたしたちを虜にします。 静寂に包まれた銀世界を、のんびりと歩いてみませんか。 THE NORTH FACEがお届けする MY FIRST SERIESは、 女性が楽しめる山遊びを提案します。

Step 1雪山の楽しみ方

ふわふわの新雪を踏む

雪山では、ふかふかの新雪の上を沈まず歩くためにスノーシューを使います。誰も歩いていない雪を踏みしめる音や足裏の感触は、一度体験すると忘れられません。静けさが広がる真っ白な世界に、きっとすぐにまた戻ってきたくなるはず。

雲の動きを眺める

雪が覆った山は太陽の光と影が織りなすコントラストが幻想的。天気が良い日は一箇所に立ち止まり、山に落ちる雲の影をぼーっと眺めるのも贅沢な楽しみ方です。山肌の立体感や稜線の陰影はうっとりするほど美しく、しばらく見ていても飽きません。

写真にこだわってみる

遠くの山並みからふと視線を落としてみると、雪原の上に散らばる木の葉や小枝、太陽に照らされてキラキラと光る雪の結晶、夏には届かない背の高い木のてっぺんなど、特別な景色が目に飛び込んできます。その瞬間にしか出会うことのできない瞬間を切り取ってみましょう。

動物を近くに感じる

樹林帯ではかわいらしい足跡を見かけることがあります。夏は滅多にお目にかかれないうさぎ、たぬき、きつね、リスといった動物を身近に感じる瞬間です。足跡を辿ると、ここで餌を食べて、こっちに行って、迷ってあっちに行ったんだなと動物たちの考えを覗くことができます。

安全なルートを見つける

登山道が埋まってしまう雪山は少し緊張感がありますが、自分で安全なルートを探すという楽しさもあります。地図を読む力をつけると行動範囲が広がり、見たことのない景色に出会えることも。無雪期のトレッキングにもきっと役立ちます。

温かいスープでピクニック

雪原に到着したらピクニックの準備を。ちょっとだけ手間をかけてシャベルで椅子とテーブルを作れば、絶景が望めるリッチな空間ができあがります。ガスバーナーを使って、あらかじめ切っておいた具材をその場で調理。熱々のごはんは冷え切った体に染み渡ります。

スープのレシピ (2人分)

きのことじゃがいもの豆乳ポタージュ

材料 しめじ、舞茸、マッシュルームなど…全部で1カップ程度 マッシュポテトフレーク…大さじ2 豆乳パウダー(もしくはスキムミルク)…大さじ2 バター…キューブ状の物1個 水…1と1/2カップ 塩…小さじ1/4 こしょう…少々 ドライパセリ…少々

作り方

  • きのこは小房に分ける。
    マッシュルームはスライスする。
  • コッヘルにバターを入れて火にかけ、
    バターが溶けたらきのこを加えてしんなりするまで
    炒める。(焦げそうな場合は水を少量加えて炒める)
  • 2に水1/2カップを加え、
    沸騰したら弱火で1〜2分煮る。
  • 一度火を止め、マッシュポテトと
    豆乳パウダーを加えてしっかり混ぜる。
  • 残りの水を加えて再度火にかける。
  • 塩こしょうで味をととのえ、パセリをちらす。

豆とケールのHOTトマトスープ

材料 ケール(なければキャベツ1枚)…2枚(ざく切り) 玉ねぎ…1/4個(みじん切り) ミックスビーンズの水煮…1/2カップ ソーセージ…2本(輪切り) オリーブオイル…小さじ1 濃縮トマトピューレ…大さじ2 水…1と1/2カップ 塩こしょう…適量 チリパウダー…お好みで

作り方

  • コッヘルにオリーブオイルと玉ねぎ、
    ケールを入れて中火で炒める。
  • 途中でソーセージも加えて、
    全体がしんなりするまで炒める。
  • 残りの材料を全て加え、弱火で2〜3分煮る。

レシピを教えてくれたひと: 山戸ユカ(料理研究家) 2013年に八ヶ岳南麓に移住し、季節の野菜を使ったレストランDILL eat,life.をオープン。プライベートでは登山、クライミング、スキーと一年を通じて、フィールドに出かけている。 http://dilleatlife.com

Step 2知っておきたい雪山のキケン

スノートレッキングのベストシーズンは 雪が安定する3月以降。 安全に楽しむには、 起こりうる危険を知ることも大切です。

雪崩

斜面が急な場所は雪崩が発生しやすくなっています。平らな場所でも、上部に急斜面がないかを必ず確認しましょう。雪崩捜索用のアイテム(Step3 参照)も忘れずに。

滑落

足元が滑りやすい雪道は、滑落の危険性があります。バランスがとりにくい急斜面はできるだけ避けましょう。スノーシューに慣れるまでは、アップダウンの少ない樹林帯で歩く練習を。

道迷い

雪が積もると当然ながら登山道は見えません。視界不良による道迷いを防ぐためにも、天気が悪い日は思い切って入山中止。吹雪くことが多い厳冬期(1.2月)以外で計画を立てましょう。

安全に楽しむためのポイント

Point初心者同士では雪山に入らない

雪山は危険を伴うため、未経験者だけでの入山はやめましょう。はじめは経験者と一緒に行動するか、初心者向けの雪上講習会や雪山登山ツアーに参加するのもオススメです。

Point経験者と行くときも、任せっぱなしは×

自分の身は自分で守る。これが鉄則です。雪山に必要な装備はきちんと揃え、荷物も当然まわりの人の力を頼らずに持ち運べるだけの体力をつけておきましょう。

Point雪でも山小屋が空いてるルートを選ぶ

いざというとき、人の助けが近くにあるような場所は初心者にも安心です。冬でも開いている山小屋を探し、そこを拠点に歩きやすいルートを選ぶといいでしょう。

Point時間に余裕を持って行動する

慣れないスノーシューでの歩行や地図を読みながらの行動は、思いのほか時間がかかるもの。コースタイムは無雪期の2倍かかると想定し、余裕を持った計画を立てましょう。

Step 3計画を立てて準備をする

計画を立ててみよう

計画的に歩くには、タイムマネジメントが大切です。 遠足のしおりのように事前に1日の計画を立てましょう。 最寄り駅に到着する時間、入山時間、ポイントの通過時間、 山頂に到着する時間、下山時間などを記入します。 登山地図の参考タイムと自分のレベルとを照らし合わせ、 雪山は2倍以上かかると想定して予想タイムを設定。 その日に出会った景色や出来事も記録しておきましょう。

THE NORTH FACE 一部直営店・取扱い店にて配布中の冊子
「MY FIRST SNOW TREKKING」を使用した記入例を紹介します。

テキスタイルデザイナー
真田緑さんの記入例
参考にしたコース 渋ノ湯(バス停)〜賽ノ河原地蔵〜
高見石小屋 往復コース

  • 今回のテーマと目的地
  • 駅到着、ポイント通過、
    休憩などのタイム想定
  • 実際にかかった時間
  • 出発前に
    覚えておきたいこと
  • 山の中で、見たこと、
    感じたこと

記入ポイント

  • 今回のテーマと目的地
  • 駅到着、ポイント通過、休憩などのタイム想定
  • 実際にかかった時間
  • 出発前に覚えておきたいこと
  • 山の中で、見たこと、感じたこと

左ページ:雪山で食べたいレシピは事前にメモ。
山へ出かけるたびに記録しておけば、
自分だけのオリジナルレシピ集が完成。

右ページ:すぐに取り出せるペンを1本用意して
かわいい! と感じたものをすかさずスケッチ。
テキスタイルアーティストの真田さんは、
描いたものをデザインのヒントにすることも。

眺めのいい場所に到着したら、
腰を下ろしてゆっくり筆をとる。
写真も素敵だけれど、その時の気分や天候が
自分の選ぶ色に反映するスケッチもまたいい。

アクセサリーデザイナー
宮田有理さんの記入例
参考にしたコース 赤沼〜展望台〜鬼門池〜湯滝〜
湯滝入り口(バス停)

  • 今回のテーマと目的地
  • 駅到着、ポイント通過、
    休憩などのタイム想定
  • 実際にかかった時間
  • 出発前に
    覚えておきたいこと
  • 山の中で、見たこと、
    感じたこと

記入ポイント

  • 今回のテーマと目的地
  • 駅到着、ポイント通過、休憩などのタイム想定
  • 実際にかかった時間
  • 出発前に覚えておきたいこと
  • 山の中で、見たこと、感じたこと

見たもの・食べたものの写真を撮り、
自宅に帰ってプリント&コラージュ。
ひとことを添えて、フォトブック風に。

アクセサリーデザイナーの宮田さんは
雪山の中で気になった色や形を記録。
あとから見返して、魅力的なフォルムは
デザインに落とし込むことも。

持ち物をそろえよう

雪山では通常の登山装備+αで 準備するものがあります。 レンタルできるものは活用して、 しっかり揃えましょう。

Check list

体重×行動時間×5mlで水分量を計算。
調理に使う場合は少し多めに持つ。

温かい飲み物

コーヒーやお湯などを保温瓶に入れておくと、
その場で暖がとれて便利。

防寒着

ミドラーでの温度調節が基本。
インサレーションやシェルをザックに常備。

ヘッドライト

万が一陽が落ちてしまったときの
安全対策として。替えの電池も用意しておく。

スマートフォンとバッテリー

緊急時の連絡だけでなく、景色の記録もできる。
予備のバッテリーがあると安心。

地図

雪山では、地形と等高線が見やすい
縮尺2万5千分の1の地図を持参するとよい。

行動食

ご飯とは別に、歩きながら手軽に食べられるもの。
凍らないものが○。

救急セット

エマージェンシーシート、鎮痛剤、絆創膏、
テーピング、ホッカイロなど。

さらに楽しむためのグッズ

ガスバーナー

クッカー

雪の上でハフハフと温かい料理を頰張るのも、冬山の楽しみの一つ。ガスバーナーとクッカーがあれば、熱々の鍋やスープが食べられる。

スノートレッキングで必要なもの

スノーシュー

踏み固められていない新雪を歩くための道具。雪上に接する面積を広くすることで浮力が得られ、雪の上でも足が沈まない仕組み。

ストック

雪に足を取られがちな雪山では、歩行をサポートするストックがあると便利。スノーバスケットをつけると雪の中まで刺さらずに使える。

雪山の三種の神器

A 雪崩ビーコン

雪崩に巻き込まれた際に使用する電波受発信装置。入山時に電源を入れ、捜索時には電波を受信モードに切り替えて埋没者に近づく。

B シャベル

プローブで特定した埋没者を雪の下から掘り出す。硬い雪も掘れるしっかりしたものを選ぶのが◎。雪洞や雪壁作り、雪質チェックにも使用する。

C プローブ

ビーコンで確認したおおよその埋没者の位置を特定するための組み立て棒。ビーコン、シャベルと一緒に登山店やツアーでレンタル可能。

Step 4身につけるものについて考える

ウエアの選びかた

雪山コーディネートのテーマは、 ずばり「保温」。 寒さから身体を守りつつ、 天候や気温に合わせて温度調節をすることが大切です。 たとえ気温は低くても、 登っているうちに暑くなり、汗もかきます。 汗で体を冷やさないためにも通気性を考えて、 ムレないレイヤリングを心がけましょう。

レイヤリングとは?

トレッキングをするときは「レイヤリング(重ね着)」が基本。アンダーウエア、ベースレイヤー、ミッドレイヤー、アウターレイヤーに分けて重ね着し、着脱することで温度調節をします。

A アンダーウェア

汗で衣服が濡れると体が冷える原因に。肌に直接触れるブラタンクやスポブラは、速乾性に優れたものを選んで。

B ベースレイヤー

アンダーウェア同様、直接肌にあたるベースレイヤー。吸湿性と通気性に優れたTシャツまたは長袖Tシャツを。

C ミッドレイヤー

外気を遮断し暖かさを保つほか、吸い上げた汗をスムーズに外へ逃がす役割も。ソフトシェルやインサレーションが○。

D アウターレイヤー

ゴアテックス採用のシェルや、暖かい日はウィンドブレーカーでも可。着る予定がない天気のいい日でも必須装備。

E タイツ

慣れない雪山でひざの動きをサポートしてくれるほか、防寒にも役立つ。汗で体を冷やさないために速乾性で選ぶ。

F パンツ

雪が侵入すると低体温症になるリスクが高まる。中まで濡れない防水透湿素材を使用したパンツを用意しておくこと。

G ソックス

保温性に優れた厚手のソックスが理想。湿気を吸収して適度に放出し、匂いも防げるメリノウール素材がオススメ。

H シューズ

雪の侵入を防ぎつつ保温効果も高める防水素材のシューズがベスト。アイゼン装着が可能であればなおよし。

そのほかに準備しておきたいアクセサリー

サングラス or ゴーグル

雪に反射した強い紫外線が原因で起こる“雪目”予防のためにサングラスは必須。偏光レンズが○。

ネックゲーター

首を保護して体温の低下を抑えるアイテム。頭をすっぽり覆うバラクラバでもOK。日焼けも防げる。

グローブ

防寒対策だけでなくスノーシューの刃による怪我を防ぐために必要。薄手と防水タイプの2枚を用意。

ビーニー

冷気を遮るあたたかい帽子は雪山のマストアイテム。小さな落石物や紫外線から頭部を守る役割も。

ザック

安全確保のために冬山は夏山よりも荷物が増える。日帰りでも30ℓほどのザックを準備しておこう。

はじめてのスノートレッキング MY FIRST “SNOW TREKKING”
FOR WOMAN

Photo: Kasane Nogawa
Model: Emi Chiba
Illustration: Kenro Shinchi
Edit & Text: Yumi Kurosawa
Design: Natsuko Yoneyama
Supervise: Sachi Watanabe