REMEMBERING DOUG TOMPKINS
CO-FOUNDER, THE NORTH FACE

December 8, 2015

先日、亡くなったダグ・トンプキンス氏を偲んで、友人であり、真の冒険家であり、自然保護論者でもあった彼の人生を振り返ります。

ダグはアウトドアを人の背景や能力に関係なく楽しめるものにしようと、1966年に共同で「The North Face」を創業しました。1番最初にリリースされたThe North Faceのカタログでは、利用者に向けて手記を掲載しました。その中で彼は「necessity before luxury (見た目より質)」ということわざを引用し、このようなアイテムを届けたいという想いを明らかにします。The North Faceのアイテムによって、業界にはびこる“小手先の小道具”の時代に終止符を打つことを願い、「マウンテン・スポーツに興味のある人々に最適で実用的な商品を提供する」ことを約束しました。

1968年にダグはThe North Faceを離れましたが、彼の自然保護の精神や国土保全に対する献身は今日まで影響を与えています。1990年には、自然のための教育や提唱をサポートする、“ディープエコロジー財団”を設立。2年後の1992年には、特にチリやアルゼンチンで自然の国土を保全するため活動する、“コンサベーション・ランド・トラスト”を設立しました。環境保護を重視し、チリ南部に200万エーカーの土地を購入。世界最大の私設公園の設立に貢献しました。プマリン公園は太平洋からアンデスまでの80万エーカーの熱帯雨林を保護しており、その名は同公園の原生林内を放浪するプーマに敬意を表して付けられました。その他にも、ダグはチリのコルコバード国立公園の策定にも貢献しました。

このようなダグの環境保護に対する揺るぎない取り組みが、環境活動家、事業家ならびに冒険家としての彼の真価をよく表しています。彼の環境保護への不屈の取組は、私達に感銘を与え、また、私達が表現しようとしてきた精神でもあります。ご冥福を心よりお祈りします。

(記事画像: Suki Hill)

1968年に発行されたTHE NORTH FACE初のカタログに掲載されたダグ・トンプキンズの手記。

初となるメールオーダー・カタログの発行にあたり、当社の基本理念について簡単に説明します。
このカタログは、アウトドアという新しい楽しみに対して一歩を踏み出せずにいる方にはガイドとして、また経験豊富な方には、初心者から上級者までを対象にした最高峰のアウトドアグッズが網羅された集大成となるかもしれません。カタログ内の商品説明はそれぞれの分野のスペシャリストによるものです。

私たちの真の目的は、スポーツをする際に装備を無駄に持っていかなくて良いようにすることです。以前と比較して、軽い素材や金属を使用できるようになり装備の重要性が注目されることになりました。“見た目より質”という古いことわざは忘れてはなりません。現代のロッククライマーが10年前よりもずっと難しいルートを登ることができるのは事実であり、その一部は装備、特にハーケン製造の進歩によるものです。現代のクライマーのレベルも装備の進化に比例しており、今では10年前の2倍の距離を移動できるバックパッカーもいます。
私たちはアウトドアグッズの製造社として市場に並ぶアイテムに対して責任があり、このことを念頭に置きながら、自らの判断で“小手先の小道具”とは一線を画します。街を離れ困難な山に向かう強さ、自らが荷物を背負って歩くことの喜びを感じ、スポーツにおいて当社が「“小手先の小道具”を販売していない」ということが認識されることが望みであり、製造社や販売者はこれらの基準を妥協すべきではありません。

本社があるカリフォルニアはスポーツが盛んな土地だという利点があります。私たちは常にスポーツシーンに注目して、時にはその変化に追従しながら、装備に関するスペシャリストの先駆けとなることを望んでいます。
THE NORTH FACEは、マウンテン・スポーツに興味を抱く人々にふさわしい実用的なアイテムを提供することを目指します。

敬意をこめて、
ダグラス・R・トンプキンス