ラグビーに触れられる機会を提供する「Canterbury Rugby Little Playfield」。
第2回は高知県の認定こども園 びすた保育園が参加しました。今回は悪天候のため体育館での開催となりましたが、元気いっぱいな園児たちの姿をお届けします。
交流を通して根付いた高知のラグビー文化
日本ラグビーフットボール協会(JRFU)が行う「Canterbury Rugby Little Playfield(カンタベリーラグビーリトルプレイフィールド)」は、ラグビー未経験の子ども達に遊びを通じて、ラグビーの楽しさや魅力を知ってもらうきっかけ作りを行うイベント。
カンタベリーとしてもラグビーへの興味関心を高めるプログラムということで協賛しており、その動向を追い続けています。そして、本イベントにびすた保育園が参加することとなり、第2回となるCanterbury Rugby Little Playfieldが開催されました。
その舞台となったのが高知県。四国の南側に位置し、青く輝く太平洋、県土の84%を占める緑あふれる山々、四万十川や仁淀川などの雄大な川など、自然と共にある日本の原風景が残る場所。
また、幕末に活躍した坂本龍馬、武市半平太、中岡慎太郎、政治家として名を馳せた板垣退助など、数多くの偉人を輩出しており、歴史的にも重要な県となっています。
そんな高知県をラグビー強豪国であるトンガ代表がキャンプ地として使用した際には、代表選手が市内の小学校や小児病棟、高齢者施設を訪問し、楕円球を介して交流を深めました。
その後も交流は続き、トンガが海底火山の噴火による自然災害を被った際には、即座に高知県が義援金を募るなど、ラグビーを通じて、それ以上の関係を構築。この出会いをきっかけに、高知の人々にもラグビーというスポーツが徐々に根付いてきています。
その高知ならではのラグビー文化を波及させるべく行われたCanterbury Rugby Little Playfield vol.02。第1回の小学館アカデミーつなしま保育園に続き、今回もここからは現地レポートをお届けしていきます。
今回はあいにくの天候となり、会場となったのはホテル・セリーズの体育館。さっそくびすた保育園の子どもたちが入場しましたが、すでに大興奮。なぜかというと…。
第1回と同じく、日本ラグビーフットボール協会のマスコットであるレンジーが応援に駆けつけてくれたんです。白い髪の方は親の「レン」、赤い髪は子の「ジー」。顔の形はラグビーボールに合わせた楕円形となっているので、豆知識として覚えておいてください。
そして、講師を務めるJRFUの向井陽さん。大きな声で挨拶を交わし、早速プログラムに入っていきます。
と、その前に今回のプログラムのために用意されたラグビー日本代表モデルのユニフォームをレンジーの2人から手渡し。自分の番はまだかまだかと高まっている様子が印象的でした。
気分も高まったところで、まずは準備運動。ちょっとイタズラの効いた向井さんの軽快なトークで指示される動きに、園児たちも負けじとついていき思わず笑みが溢れます、
しっかりと体が暖まったところで、次はラグビーならではの楕円型のボールを持った動きへ。準備運動と同じく、レンジーの2人が応援してくれます。
実際にボールをバウンドさせたり、上に投げたり、楕円型のボールに四苦八苦しながらも上手にキャッチできた時はレンジーとハイタッチ。この一喜一憂がきっと園児たちのいい思い出になってくれるはずです。
そして、レンジーたちはおやすみに入って、いよいよここから本格的なプログラムがスタート。向井さんからのルール説明にもしっかりと耳を傾けて、最初に行われるのが「だるまさんがころんだ」です。
一列に並んでスタート。向井さんがボールを離している時は動くことができ、フェイントも交えつつ、その姿をチェックしながらダッシュ。ゴールラインを超えたらトライすることができます。
ストップ中に動いてしまったら、スタートラインからやり直し。そのルールもしっかりと守り、自ら戻って挑戦する姿は真剣そのもの。積極的にプログラムに参加し、楽しんでくれていました。
続いて行われたのはコーンで囲まれたコート内で行われる「タッチオニ」。スタート時はオニは1人でしたが、タッチされてしまった人はボールを置いてオニに変化。
変わるがわるの状況なので、先ほどよりも激しい動きが求められるので大盛り上がり。気づけば全員オニになってしまっていたという回もありました。
最後に行われたプログラムは「突破オニ」。オニとなる講師陣に捕まらないようにゴールラインまで走り抜けてトライしなくてはいけないので、また違った動きが求められます。
何回か挑戦したところで、チームで集まって作戦会議。この仲間との対話が生まれるのもチームスポーツならでは。
トライに向けて最後の最後まで挑戦してくれる姿、その頑張る友達を応援する姿は、Canterbury Rugby Little Playfieldの可能性を感じさせてくれました。
そして、プログラム終了後は再びレンジーの登場。一生懸命取り組んでくれた園児たちを労い、JRFUを通してミニラグビーボールを1つ1つ手渡しでプレゼント。レンジーたちとの触れ合いも楽しんで、第2回も無事に終えることができました。
ラグビーこそ小さい子に向いてますよとプロモーションしていきたい
そして、ここからは今回のイベントに協力してくれた高知県スポーツ課の橋本さん、高知県ラグビー協会の西川さん、びすた保育園の小林さんにインタビューを敢行。高知県のラグビーの状況やCanterbury Rugby Little Playfieldのお話を伺ってきました。
高知県スポーツ課主査 橋本日菜さん
高知県としてこういったイベントの印象は?
「ありがたいお話を貰ったなと思っています。ただラグビーは、高知県としてもまだまだメジャーではないので伸び代があると感じています。そこで普及させていく面としてもイベントを行ってもらえるのはありがたいですし、教え方としてもプロの方に指導してもらえるのは安心感があります」
トンガ代表の存在は大きいですか?
「そうですね。2019年にトンガ代表が来てくださった時に県内でのラグビーの認知度はグッと上がったと思います。それから、2022年の夏にもトンガサムライフィフティーンというチームが合宿で利用してくれたこともあって、切れ目なく高知とラグビーのご縁は繋がっているので、それを続けていきたいですね」
今回のイベントをご覧になってみていかがでしたでしょうか?
「私がまだラグビーにうといこともあって、ルールをまだ把握しきれていなかったんです。でも、このイベントでは要素を分解して楽しく教えてくれるので、子どもの頃からこの経験しているとハードルも低くなるんだろうなと思いました」
高知県としても、今後も活動は積極的に行う予定ですか?
「主に高知のラグビー協会が主体として、未就学児へのラグビースクールなどの普及は行っています。今後もその活動は県と連携して、子どもたちにも広めて行けたらと思っています」
そういった活動を通して目標はありますか?
「今、このスポーツと言ったらこの県みたいなことってあると思うんです。そこで、ラグビーがしっかりと高知で根付いて、メジャースポーツとなって、高知を代表する文化の一つなってくれるように頑張っていきたいですね」
高知県ラグビー協会理事 普及育成担当 西川誠山さん
全国にラグビーを普及するためのイベントでしたが、高知では現在どのように浸透していますでしょうか?
「2019年にトンガ代表がキャンプで来てくれて、その際に県内の小学校や老人施設で交流してくれて、かなり認知度が高まりました。そのあとはタグラグビーやスクールへの参加するお子さんの人数も以前に比べてかなり増えてくれました。そういうきっかけがあると人気が出ますね」
そういう流れもあって、今回のイベントも積極的に参加しようと?
「そうですね。こういうお話を貰ってすぐに保育園さんに相談して、是非やらせてほしいとなった。園長先生自身も楽しみにしてるという言葉を聞けたのはうれしかったですね」
高知ではこういったラグビーにまつわるイベントは行っているんですか?
「普及活動として、保育園や幼稚園、小学校にはタグラグビーの出前授業を行ったり、県内のスポーツイベントに参加して体験コーナーを設けたり、積極的に行っています」
やはり小さい時からの経験は大事ですか?
「今回のイベントの主旨でもありましたが、小さい時にほかの競技やっていない子にラグビーに触れてほしい。あと、楕円球の不規則な動きが運動神経を刺激するので、そういう意味でも小さい子に向いてますよとプロモーションしていきたい。そこで、親御さんもタグラグビーを一緒にする経験で、ラグビーの理解度を高めたいですね」
やったことないスポーツよりも、やったことあるスポーツの方が観戦するのも違ってきますよね。
「応援する熱も違ってくると思います。ラグビーに限らずですが、今の子達はすでに娯楽が多いうえに、スポーツに触れる機会が少ないんです。だからこそ、こういう機会を経てスポーツに目を向けて、その中でラグビーを選んでくれた子たちがトップリーグで活躍するのを願っています。なので、今後も積極的にラグビーを高知から発信していきたいですね」
認定こども園 びすた保育園 園長 小林千種さん
このイベントから依頼があった際はいかがでしたか?
「実は去年もラグビーの取り組みに参加していて、また頂けるのは嬉しいと思っていました。そのお誘いをもらった時は初めはぶつかり合うスポーツなので、小さい子どもがラグビーすることに心配もあったんです。だけど、その機会からタグラグビーの存在も知り、色々な体の動きを教えてくれるのはありがたいですね」
ご自身のラグビー自体に対しての印象は?
「私は子どもたちがこういう取り組みに参加するまで、ラグビーはテレビの中のものという印象でした。ただ、こうやって子どもたちが実際にやっている姿を見ると私自身も身近になりますし、秋に行われる大会も楽しみです。子どももこの機会をきっかけにラグビーが身近な存在になったと思います」
実際に参加している園児の姿を見ての感想は?
「講師をしてくださった向井さんが園長ということもあって、子どもが興味がわく話しもしてくれたし、こうやってやっている姿も見てもらうことも刺激になったと思います」
園児の子どもたちも最初から最後まで盛り上がってましたね。
「いつも来てくれる先生が来てくれるということだったので、すごく楽しみにしていました。園の中で色々な遊びをすることもいいんですが、外部の人と触れ合うのもいい経験になるんですよ。あと、ただ走るとかボールを使うだけでなく、小さい時から運動って楽しいなって、仲間と一緒にやると楽しいなという経験ができたらいいので、今後もこういう機会には積極的に参加していきたいですね」
今回で2回目の開催となったCanterbury Rugby Little Playfield。同じ日本国内と言えど、ラグビーの認知度はさまざまですが、このイベントを通して、ラグビーを楽しみつつ知ってもらう機会は積極的に行っていくそうです。ぜひ自分の街でもやってほしいという方はお声がけください。カンタベリーとしても、この活動を応援し、その模様を随時お届けしていきます。