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        interview 04

        自分らしさは、
        他者との関係性の中で育まれていくもの

        Miki Weatherford | ウェザフォード美輝

        バレエ講師

        ―ウェザフォードさんは二人のお子さんの母です。どんなふうに1日が始まりますか?

        子どもがまだ小さいので、朝はとてつもなく慌ただしいです。ほぼ毎朝、彼らがまず目覚めて私を起こしにきます。その後、朝ご飯を作りながら子どもたちを着替えさせて、子どもが食べている間に長女の髪を結んだり、保育園の準備をしたり。私が子どもを送っていくときは自分の準備も並行してやるので大変です。それでも、8:30ごろに子どもたちを送り出したら自ずと仕事モードに切り替わり、頭の中でレッスン内容を考えたりおさらいしながら、自転車でスタジオに向かいます。

        ―1日の終え方は?

        私が子どもより早く家を出る日は、14:00ごろに一度レッスンが終わり帰宅します。大抵の場合、家の中はしっちゃかめっちゃかなので(笑)、掃除や洗濯、夕食の準備などをしてから、夕方のレッスンに向かいます。その後、子どもたちを保育園に迎えにいき、帰宅してご飯を食べ、お風呂に入れて、寝かしつけますが、私も一緒に寝てしまうことも。あらゆる隙間時間でなんとか全てやりくりしている感覚ですが、人それぞれ色んな子育てのあり方があるとはいえ、子どもがいる方々は、どう日々を過ごしているのだろう? と不思議に思うこともあります。

        ―お子さんを出産されて、ご自身の中に変化はありましたか?

        長女を出産したのは34歳のとき。10代の頃から実力主義のバレエの世界でずっと戦ってきたので、そろそろ自分ではないほかの誰かのために頑張りたい、人生の次のステップに進みたい、と思ったんです。小さい頃から保育士さんに憧れていたくらい子どもが好きだったので、娘が生まれた瞬間、自分だけでなく私の家族が心から喜んでくれている姿を見て、大きな幸せを感じました。

        母であると同時に、自分として生きられる仕事を持てていることは本当にありがたいことだと感じますし、それゆえに変わらない部分も少なくありません。一方、例えば受験や急な発熱への対応といった、自分だけの人生では経験できなかった母親としての挑戦を一つずつクリアしていくことに、自分がレベルアップしているなと感じて嬉しくなります。とくに、これまで以上に周囲の人と協力し合うことの大切さに気づいたり、「なんとかなる」精神を得られたことは、大きな変化です。

        ―子育てにおいて悩むこともあるのでしょうか?

        私自身、学生時代は自分の好きなことに没頭させてもらったので、子どもたちも自分が熱中できるものを見つけてほしいと思いますが、今の子どもは忙しくて、なかなか自由な時間がないですよね。私はどこか自分の子どもたちを客観的に見ているところがありますし、結局は彼らが自分で見つけたり選んでいくしかないと思っていますが、子どもたちが自分らしく輝ける場所があればいいな、と心から願っています。

        ―自分らしさを見つけるために、必要なこととは?

        自分らしさって、結局は他者との関係性の中で育まれていくものだと思うんです。自分の経験を振り返って実感するのは、他者との関係を築いていくためには、まず自分が周りの人たちを受け入れることが大切だということ。そして、コミュニティの中で自分にできることをやっていくうちに、周りが自分らしくさせてくれたり、自分らしさに気づかせてくれる。私が子どもの頃は、ミックスの子どもは多くなかったので、日常生活の中で自分と他者の違いを否応なく突きつけられました。でもその経験が、他者への観察眼を育んでくれたとも言えます。誰も同じなんかじゃない、みんな違うんだって。

        ―ウェザフォードさんご自身が自分らしさを保つために気をつけていることは?

        子どもは子ども、自分は自分、というふうに分けて考えるようにしているとはいえ、二人の子どもの母親になってよく実感するのは、自分のエネルギーが落ちていると、やはり子どもたちにも影響があるということ。だから自分の状態を良好に保つことは、他者にとっても良いことなんですよね。もちろん、子どもに対して苛立ったり喧嘩することもありますが、「こういうもんだな」と切り替えるようにしています。あとは、メンタルを整えるためにも自宅をクリーンにしておくことも私にとって重要です。ただし完璧を求めるのではなく、89点くらいでいいので続けることを目標にしています。あとは美容面でいうと、毎日朝晩、ただ貼るだけですが(笑)フェイスマスクだけは欠かさないようにしています。

        ―年齢を重ねることに対して不安はありますか?

        バレエダンサーや生徒さんの中には50代以上の方もいらっしゃるんですが、本当にパワフルなんです。そうした先輩たちは皆、40代は30代より楽しい、50代60代はもっと楽しい、とおっしゃいます。なので私も、歳をとることに希望を持っています。自分のことがもっとわかるだろうし、子どもも成長して今より心に余裕も生まれるだろうし。今後しばらくは今のようにフリーランスで仕事を継続する予定ですが、将来的には、もしかしたら自分で何かやりたいと思うかもしれないなど、未来のことを考えるとワクワクします。そして最終的には、素敵なシニアモデルの女性のような、白髪で皺があっても凛として輝いているおばあちゃんになりたいです。やはり筋肉がある人はエネルギッシュなので、そのために今、トレーニングをしたり自分のケアを怠らないようにしています。