ヘリーハンセンは140年以上にわたり、水や海にまつわるブランドとして、自然環境を守る取り組みをサポートし、水と共に生きる人々に向けた製品をお届けしています。
そして、地球上で起きている自然の変化や、将来的な地球環境への影響や人々の不安を解決していきたいと考えています。北海道の知床半島では、自然環境や生態系に変化が訪れ始めています。自然の変化が生態系に与える影響が懸念される中で、ヘリーハンセンにできることを考え、サポートを進めています。すべての生き物が、水のある暮らしをよろこび続けるために。
知床の生命の循環を支える流氷、そして鮭
北海道 知床半島は、北半球における流氷の南限に位置し、そこからもたらされる恵みが海から陸へと広がっています。オホーツク海の最南端にあたるこの地域では、温暖な春の日差しによって流氷が溶け、その際流氷に閉じ込められていた植物性プランクトンや、アムール川から運ばれてきた無機塩類などの栄養素が海へと流れ出します。これらの栄養素は動物性プランクトンの大量発生を促し、鮭の重要な食物源となります。その後、鮭はアザラシやオジロワシなどの海洋哺乳類や鳥類の餌となります。
このように、流氷がもたらす豊富なプランクトンは、知床の多様な生命の源となっています。密度が高く厚みのある流氷は、それだけ多くのプランクトンを運び、知床の食物連鎖の始まりとなり、生命の循環を支えているのです。
鮭の稚魚は翌年の春に海へと泳ぎ出し、数年間にわたる海での生活を経て成長し、秋には産卵のために再び知床の川に戻ってきます。この時川を遡上するのは、シロザケ、カラフトマス、サクラマス。これらの魚はヒグマにとって秋の貴重なタンパク源であり、彼らの食事を支えています。
鮭には、雄と雌それぞれに役割があります。川を遡上し、産卵できる場所を見つけると雌が卵を産む「産卵床」というくぼみを掘り、そこに雄が寄り添って産卵を行います。海の栄養を運び上げ、自分の子孫を残すために一生懸命動いた鮭は、産卵後、雄も雌も7〜10日ほどで死んでしまいます。
産卵を終えて死んだ鮭は、小動物から微生物まで様々な生き物の養分となります。その排泄物が森を育て、豊かな循環の輪を形成しているのです。知床の豊かな海の栄養を川へ運ぶ鮭は、地域の産業や漁業を支えるだけでなく、知床の生命の輪にとって欠かせない存在です。
魚道整備がつなぐ生命の輪
知床は豊かな自然に恵まれていますが、温暖化の影響により、かつては10メートル以上盛り上がっていた流氷が、現在は1メートルにまで減少しているとされています。流氷の減少は、知床の自然の繋がりや生態系に深刻な影響を及ぼしています。実際に、昨秋はカラフトマスの遡上がほとんど見られず、激痩せしたヒグマが海岸線をうろつき、町中にも頻繁に現れるといういう事態が起こりました。
知床にとって不可欠な存在である鮭は、ヒグマやオジロワシ、シマフクロウなど生態系の頂点に立つ生き物を支えています。そのため、鮭の数が減少すれば、あらゆる生き物は食べるものに困り、生態系が崩れる恐れがあります。
鮭の遡上が減少している一つの原因は、河道内にある落差工などの構造物によって、鮭が上流に遡上するのが困難になっていることです。少しの段差であればジャンプして上ることができる鮭もいますが、遊泳力の弱い鮭は行き止まりになってしまい、上流にたどり着く前に命を落としてしまうケースが多いのです。
こうした課題を解決すべく、鮭が遡上してくる秋には、様々な川で魚道整備が行われています。魚道整備とは、魚が移動しやすくなるように水路を整えること。鮭が遡上することが難しい場所に人工的な通り道を作り、再び鮭が川を遡上できるようにしています。
魚道は、コンクリートや木材を組み立てることによって作られます。具体的には、川幅を広げたり、道路に並行するストレートな流れを蛇行するように変えたり、流れを緩めるために木を斜めに配置したりして、自然な川の姿に戻していきます。これによって、鮭が上手く遡上しやすくなり、より良い環境で産卵することができます。
魚道は失われた河川の機能を回復するための一つの手段であり、鮭をはじめとする魚だけでなく、あらゆる生き物が生息しやすい川を再生することに繋がります。魚道整備には、地域のボランティア団体や若手の漁師など、様々な立場の人が参加しています。多くの人々の手によって鮭の遡上がサポートされ、人間が自然や生物と共存していくための整備が続けられています。
鮭に生かされ、産業を支えられている地域の人々にとって、鮭を守る以外の選択肢はありません。だからこそ、人間の手によって変えられてしまった川を、再び人間の手で自然の姿に戻す取り組みが行われているのです。こうした取り組みからは、人々が最後まで責任を持って改善していこうという姿勢が垣間見えます。
知床の水と海のために——ヘリーハンセンの取り組み
知床半島に位置する斜里町は、日本一の鮭の漁獲量を誇る町。しかし、温暖化などの影響によって、年々漁獲量が減少しています。この問題を解決するために、斜里町のウトロ漁業協同組合と斜里第一協同組合は、ふ化放流と川で自然産卵するサケやカラフトマスを増加させる取り組みや、魚道清掃、溯上環境改善、可搬の魚道設置などを進めています。
「BE WITH WATER(水と共に生きる)」を掲げるヘリーハンセンは、この取り組みや思いに共感し、斜里町地域水産業再生委員会が取り組む「浜の活力再生プラン」と協定を結んでいます。知床の水産業を取り巻く問題を解決することを目指し、2021年には知床のキャラクター「知床トコさん」とのコラボレーション商品を販売し、売上の一部を寄付するなどして、この取り組みのサポートを行っています。
また、ヘリーハンセンは140年にわたり、厳しい環境で働く漁師やセイラー、アウトドアスポーツを楽しむ人たちに向けて、高機能で快適なウエアを提供してきました。2018年には、日本一の鮭漁を支える”漁師の仕事をかっこよく”という思いから斜里町とコラボレーションし、知床の港で働く漁師向けにウェアを提供しました。保温性、防水性、透湿性など、長く厳しい寒さに対応できる機能性とスタイリッシュさを兼ね備えたウェアは、漁師たちのモチベーションにも繋がっています。
そして、生き物にとって不可欠な“水”と“海”を守ることを目的とした「H2O PROJECT」にも取り組んでいます。これまで、ビーチクリーンや、知床半島のルシャ湾に漂着するブイをフリスビーにアップサイクルするなど、様々な取り組みを行ってきました。これらの活動は、地域の環境保護に貢献し、知床の豊かな生態系を守る一助となっています。
Message
豊かな自然と多様な生き物の生命の循環を支える、知床の流氷や鮭の存在。
状況が少しずつ変化する中で、この美しい自然と生命の循環を守ろうと、命をかけて取り組む人々がいます。
ヘリーハンセンは、「BE WITH WATER(水と共に生きる)」を掲げるブランドとして、今後も知床の自然を守る取り組みをサポートしていきたいと考えています。
Products
- Price
- ¥2,200 (税込)
- Size
- ONE SIZE
- Color
- オーシャンネイビー・ON
HH×フリスビープロクラシック
北海道・知床半島に漂着をしたブイ(浮標)を原料としたフリスビーです。
「BE WITH WATER」をフィロソフィーに掲げるHELLY HANSENは、「美しい海を未来に残すためわたしたちにできること」をテーマに、H2O PROJECTとして海洋環境、水環境の改善に繋がる取り組みを行っております。
こちらのフリスビーもH2O PROJECTの一環として、海洋漂着ゴミをリサイクルすることで少しでも海洋環境の改善に寄与したいという想いで生まれました。
ビーチや公園で投げて遊ぶなど、是非フリスビーと共に家族や友人との大切な時間を過ごしてください。
※Frisbee はWham-O社の商標です。
- Price
- ¥5,500 (税込)
- Size
- 100、110、120、130、140
- Color
- アイボリー・IV、サンライズパープル・SP
ロングスリーブ シレトコトコティー(キッズ)
北海道・斜里町の観光シンボルキャラクターである知床トコさんとHELLY HANSENのコラボレーションアイテムです。
バックプリントには、キャラクターの知床トコさんが漁師となり魚を担いでいるシーンをデザインしています。また、知床トコさんのウェアには、ヘリーハンセンのアイコンとなる視認性を高めるフラッシュイエローとフラッシュオレンジを配色しました。
ELLY HANSENが大切にしているフィールド、海への環境配慮型素材を採用。コットンとポリエステルの混紡素材で、ナチュラルな風合いと乾きやすさが両立。
※こちらの商品は売上の一部を北海道斜里町の水産業再生委員会『浜の活力再生プラン』へ寄付します。
Words
- 流氷
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オホーツク海北部沿岸で結氷した海水が風や波によって砕かれ、海流に漂う氷のこと。世界的にも極めて限られた地域でしか見られず、日本ではオホーツク海のみで見ることができる。その幻想的な風景は、北海道の冬の風物詩として人々を魅了しています。流氷には植物プランクトンが付着しており、春になると急速に増殖。これを餌に動物性プランクトンが増え、オホーツク海の漁場を豊かにしています。
- 魚道整備
-
河川に生息する魚類のうち、サケやサクラマスなど、産卵のために川の上流へ遡上する魚類は、河道内にある落差工などの構造物によって、上流に遡上できなくなってしまうことがあります。そのため、魚が遡上できるよう、移動しやすくなるように、「魚道(ぎょどう)」が整備されています。