COLUMN

2024.06.09

Outrigger Canoe

アウトリガーカヌーってどんな乗り物なの?

Overview概要

アウトリガーカヌーというのは、木をくりぬいたような細長い形のカヌー本体の脇に浮子(うき)をつけた6人乗りの乗り物です。もともとはポリネシアの人たちが島から島への移動に使っていたと言われています。アウトリガーカヌーの特徴は2つ。1つは小さなお子さまからお年よりまで力の弱い人や体力に自信がない人たちも安心して楽しめること。2つめは、6人で力を合わせて漕ぐので思ったよりもスピードが出ること。力を合わせれば、かなり沖の方まで漕ぎ出ることができます。景色を楽しんだり、風を切るスピードを感じたり、普段の海遊びでは見ることのできない体験になることでしょう。

Interviewインタビュー

アウトリガーカヌーってどんな乗り物なの? どんな体験ができるの? といった疑問を、今回講師をしていただくビーチ葉山アウトドアフィットネスの柏木星詩さんにお伺いしました。

Q

アウトリガーカヌーというのはどんな乗り物なのでしょうか?

A

長さ15メートル、重さ200キログラムほどの大きな6人乗りのカヌーです。木をくりぬいたような形状の本体部分に転覆防止用のアウトリガーという浮力体がついています。アウトリガーがついているカヌーということです。普通のカヌーよりもかなり簡単に漕ぐことができて、泳げない方や体力に自信がない方、お子様でも誰でも乗れる安定感があるのが特徴です。また、経験者が1、2人乗れば、真ん中の人たちは漕がなくても進むことができるんです。小さい子だと年長さんくらいから乗っていただけます。もう少し小さい子の場合は、保護者の方の膝に乗ってもらって楽しむようなこともできます。

Q

海が初めてで怖い、というお子様でも参加できますか?

A

もちろん大丈夫ですよ。実際に海に出ていく前に、ライフジャケットを着て浅瀬で浮いてもらってからカヌーに挑戦するようにしています。それでも怖いという子は、インストラクターの隣に座ってもらうこともできます。

Q

カヌーを漕いだらどのくらいの速さになるんですか?

A

アウトリガーカヌーはかなり大きいので、一人で漕いでもなかなか進みません。ですが、チーム6人で力を合わせると、かなり速いスピードで漕ぐことができるんです。みんなで力を合わせて漕いだら時速8~9キロは出るかなと思います。自転車でゆっくり走ったくらいの速度で、風が少し感じられるかなというくらい。みんなで力を合わせて3、4分漕いだら、200~300メートル進んでしまいます。そうすると泳いだだけでは絶対にたどり着けないほど陸から遠くまで行くことができます。体験したお子さんから「思ったよりも速かった」という声をよく聞きます。

Q

みんなで力を合わせることもポイントですね。

A

そうです。力を合わせることの大切さ、みんなで協力しながら1つのことを達成する楽しみも感じていただけると思います。漕ぐ時にはみんなで「ワン、ツー、スリー」と声をかけながら、お互いに力を出し合って進み、途中で方向転換をする時には、「ハップホー」という声を掛けます。そのようにして、声を出し合いながらみんなでひとつのカヌーを漕ぎ、力を合わせると速く進むことを体感できるのも普段なかなかできない体験だと思います。

Q

海遊びの魅力を教えてください。柏木さんは、何故海に惹かれたのでしょうか?

A

僕は高校時代にカヌー部で、社会人になってからもレーシングカヌーをしていました。競技カヌーはスピードが勝負で、それはそれで面白かったのですが、もう少し余裕を持ってカヌーを楽しみたいと思い海へ出てみることにしました。その後、アウトリガーカヌーに出合って、ハワイやタヒチでカヌーを体験し、今に至ります。川や湖でレースをするという競技性の高い場所から海に出たときにすごく自由を感じたんです。海ってとにかく広いので、なんだか心が休まったというか。太陽をすごく近くに感じるし、自分が風景に溶け込んでいくような、そんな感覚になりました。

海の面白さは、やはり日常では見ることのできない景色が見られることでしょうか。一歩沖へ漕ぎ出して、そこから陸を見ると普段見たことのない風景が現れます。それをぜひお子様自身の目で体験してほしいです。また、沖に出て、海の真ん中でぽつんといるときの海の大きさ、太陽の近さを肌で感じていただければと思います。そうした自然の圧倒的な存在に触れるだけで、お子様にとってはまたとない体験となります。まずは、そういう場所に身を置くこと、体で感じることが、何か次の行動のきっかけになったらと思います。

お子様の年齢や知識、関心に合わせて、スターナビゲーションという星や風を読みながら航海していたポリネシア文化について話をしたり、海にまつわる環境問題の話をしたり、海の生き物をみんなで観察したりと、海に関連し話を広げることもあります。

ですが、何よりもまずは海を楽しむこと、みんなで協力すること、自然を体で感じることが一番です。難しいことは考えず、アウトリガーカヌーを楽しみましょう。

柏木星詩Seiji Kashiwagi

熊本県水俣市出身。小・中学校時代から父親の影響を受けロッククライミングを始め、殆どの週末は山での生活を楽しむ。高校からフラットウォーターレーシングカヌーに取り組み、インターハイや国体に出場。国内外のレースにもオーシャンアスリートとしてSUP、アウトリガーカヌー、サーフスキー等々幅広いジャンル参戦している。

Points & Tips楽しみ方のポイント

  • ライフジャケットを着て、足が届かない場所で泳いでみる。
  • 陸からの距離と風景の変化を確認しよう。
  • 海の大きさ、自然の壮大さを体感しよう。
  • 海を安全に楽しむポイントを学ぼう。
  • みんなで力をひとつにして漕ぐ速さを感じよう。
  • 海の生き物を観察してみよう。