2018 FALL-WINTER
豊かな生活とはなんだろうか。その答えはきっと十人十色だが、その一つになるものをアメリカ・オレゴン州で見つけた。
その土地は、数年前より様々な文化における先進性で注目を浴びた都市・ポートランドを有し、自然に恵まれアウトドアフィールドには事欠かない。オレゴンに生きる人々は、自然と都市との関わりのなかで、生活のリズムを整え、本当の心地良さを求めている。特別なこととしてではなく、オレゴンに暮らす自分にとって、ごく自然のこととして。
質の高い生活とは、物質的な豊かさではなく、生活というものを考え、さらに楽しもうとする姿勢から滲み出るように表れてくることを、改めて気づかされた。そして、ニュージーランドの大自然というルーツを持ち、そこから受けたインスピレーションがプロダクトに生かされているIcebreakerは、身につける人々の生活の質に貢献するためにどのような役割を果たすべきか。オレゴンの自然と都市のなかで、その一端を探る。
Christopher Hall
Owner of PUSH X PULL COFFEE
広がるアウトドアの文化
ポートランドのサウスイーストにあるカフェ兼焙煎工房「PUSH X PULL COFFEE」のオーナー。趣味はアウトドア。妻、2匹の愛犬と暮らしています。もともとミシガン州に住んでいましたが、10年前西海岸に移ってきました。転居をきっかけに人生が変わり、アウトドアの無限の可能性に目覚めました。
オレゴン州ポートランドに住むのは贅沢な経験です。1時間で海に行け、逆方向に1時間行けば山がある。トレイルや森が裏庭になるのです。
「1日中森のなかでハイキングできますよ」と彼は語ります。ミシガンには五大湖がありますが、ポートランドは海と山の両方に囲まれ、アウトドアを愛する文化を育んできた街です。
「野外で楽しむ文化は、人から人に広がるものです。外に出て自然の恵みを存分に味わえること、それがこの街の誇りです」 。
妻や2匹の愛犬とともに周囲の豊かな自然を探りに出かけます。バッグのなかには必ずコーヒーを入れて。野外に踏みだす彼の前には、いつも新たな場所が待ち受けているのです。
着用コメント
何を食べても、飲んでも、日常的に使うもので満足したいですね。僕たちのカフェでも、ミニマル、インダストリアル、丈夫で機能的なものしか置きません。Icebreakerのことは、前から知っていましたが、はじめて着てみて、とても機能的で快適ですね。脱ぎたくなかったです。
Gina Arcouette
Cyclist
ひとつの大きな家族
身体を動かし、スポーツに興じ、アウトドアを楽しむ。それは家族に受け継がれ、恋人同士で分かちあい、友人同士で育むのが、オレゴン州の文化です。
彼女はわずか3~4歳の頃に、父に教えられて自転車に乗り始めました。夫の影響で4年前に自転車への情熱を取り戻し、腕を上げた今では、オフロードを走る自転車競技「シクロクロス」に参加しています。
体を動かし、自転車に乗り、アウトドアを楽しむのはひとつの体験です。自転車での遠出はジーナにとって、スポーツでも健康づくりでも義務でもありません。彼女はそれを、経験と呼びます。
「私は人が好き。なかでも野外で、家族や友人と一緒に何かするのが好きなの。一緒に自転車に乗ると、話が弾むのよ」。
彼女は、オレゴン州東部のペンドルトンという小さな町で生まれ育ちました。6人兄弟の大家族で、子どもの頃は一家でサイクリングを楽しみました。
それが彼女の出発点です。これは、ジーナとその家族に限った経験ではありません。オレゴン州ポートランドでは、自転車に乗る人はみな大きな家族のようなもの。
「本当に愉快な仲間ばかり。それも自転車に夢中な理由のひとつなの。サイクリングを愛する気持ちはみんな同じよ。自転車を通じてたくさん友達ができて、みんな家族みたいに感じるわ」。
着用コメント
サイクリングしている時に、自転車に引っ掛けたくないから、体にぴったり合う、一緒に動く服が重要です。そのため、よくスパンデックスを着ている人を見ますね。なので、Icebreakerのぴったりとしたレギンスとシャーツはとても良いです。もう一つ、通気性がある生地が大切で、湿気を避けたいです。そして、サイクリングにはレイヤリングも必要です。よくベースレイヤーの上もう一枚を着て、段々と身体が暖まってくると一枚一枚脱いでいきます。特にオレゴンの冬には、仕事へ通勤でも、Icebreakerを着たいです。メリノウールのベースレイヤーは最高です。
Jason Sutherland
Portrait Photographer
自然との交信
海は時に危険です。どんな波が来るか予測できず、飲み込まれるおそれもあります。それでも、多くの人が水との特別な関係を大切にしています。
「昔から海に限らず、水との強い結びつきを感じてきたんだ。でも海はずっと特別だったね」。
彼はサーファーです。けれどサーフィン(ノンストップで動き続けるスポーツ)以外のかたちでも自然とつながっています。
彼はひたすら待ちます。波を待ち、静けさを待ち、インスピレーションの訪れを待ちます。
「その時間が、とにかく素晴らしいんだ。突然に景色が変わって、海の上に体が浮きあがる。振り返ると陸地が見える。そんな景色の変化は本当にかけがえない体験で、前よりも大事。ほっと一息つけるんだ」。
ワシントン、シカゴ、サンフランシスコなど様々な場所を渡り歩いたジェイソンは、都会暮らしの単調さをよく知っています。なので、頭をすっきりさせるため、都心から離れるのです。
「オレゴンの浜辺、それにここでのサーフィンには何か特別なものがあるんだ。大きくて美しく、生々しくて高い。とても野性的なものを感じるよ。サーフィンは本当に魅力的だ。僕にとってサーフィンは、単にかっこいいスポーツじゃない。それは肉体的で感情的でスピリチュアルな、自然と交信する手段なんだ。たとえ友だちが一緒でも、サーフィンには、誰の邪魔も入らない自分だけの世界がある。リラックスできる穏やかな体験になることもあれば、活動的な体験になる場合もある。そこには誰もが必要としている静けさがあるんだ。自然と心を通わせることが、何より大切だと思うよ。自分との交信もでき、自分の呼吸をもとに戻してくれる」。
着用コメント
Icebreakerをはじめて着てみました。とても暖かくて、フィットも良かったです。重要なのは機能性、信頼性はもちろんですが、かっこよさも大事です。
Tiffany Brice
Graphic Designer
雨の日も晴れの日も、自然と触れ合う
「ぼんやりしていると、鳥のさえずりが聞こえます。静寂は人を謙虚にさせます。森の匂いや湿った大地に癒されるんです」。
オレゴンの自然は、住んでいる期間の長さに関係なく住民にとって聖域であり、穏やかな束の間の安らぎを与えてくれます。
彼女は東海岸のメリーランド州で育ちました。アウトドア好きの父の影響で、幼い頃からハンティングやフィッシングなどに親しみました。
大学進学のため移り住んだサウスカロライナ州チャールストンには、自然といえばビーチしかありませんでした。
ところがオレゴンでは、海辺や砂漠や森、どこにでも1時間以内で足をのばせます。そこで自然を求めて移り住みました。
オレゴン以上に理想的な場所はありません。愛犬ドビーとここに来て2年。1日中グラフィックデザイン仕事で座り仕事をした後は、できるだけ外に出て愛犬と近所を6~8キロ散歩するようにしています。
時間があるときはコロンビア・ゴージのワシントン側―トレイル、滝、森―にハイキングに出かけます。
「ドビーもハイキングが好きなの。山道が得意で、私の何歩か前を歩いて時々立ち止まり、振り返って追いつくのを待ってくれるんです」。
太平洋岸北西部は雨が多いことで知られますが、彼女はそんな日も外に出かけます。とはいえ、晴れた日のオレゴンは光り輝きます。
「頭の中でスイッチが入ったみたいに、誰かと出かけて動き回りたくなります。日差しが射すと、誰もが別人になりますね」。
着用コメント
私にとってはシンプルなことが大切です。必要なものしかないということが、自分の衣服に対する考え方にも通じます。Icebreakerの服は、体にぴったり合って、邪魔になっているものがありません。それはアクティブな人にすごく大事です。余計なことを考えずに、目の前のことを集中できます。
James Fitzgerald
Photographer & Co-Owner of Creative Agency, RANSOM LIMITED
いつでも目的を大切に
「ここに越して来て初めて、自分に足りないものが分かりました」。
彼は写真家で、オレゴン州にあるクリエイティブ・エージェンシー「RANSOM LIMITED」の共同経営者です。
ブローカーの仕事を辞めて太陽が輝く温暖なフロリダ州を去り、写真家として働くため、湿った森が広がるオレゴン州にやって来ました。そこで、胸の奥に潜むアウトドアへの思いに改めて気づいたのです。
オレゴンの人は寛大で、新しいスポーツやアクティビティに挑戦しないかと友人が気軽に誘ってくれます。ポートランドに来て、彼はキャンプの楽しさに目覚めました。
「撮影でコロンビア・ゴージに行った兄が、良い場所を見つけたんです。そこにキャンプに連れて行ってくれました。川の流れが緩やかで、そばには泳げる入り江もありました。左手は岩壁と森で、まるで島のような地形になっている。訪れる人もまばらで、キャンプにぴったりでした」。
キャンプや写真撮影など、何をするにも目的を考えるのが彼のモットーです。
「単に『コレいいね』ではなく、『A、B、Cの理由があるからこれがいい』と思うんです」。
日々の生活に必要なものを選ぶ時も同じ。機能や美しさが条件になります。全てに目的がなくてはなりません。
着用コメント
これまでIcebreakerには、ライフスタイルでも着れるようなものがあることを知らなかったので、イメージが変わりました。ベースレイヤーがとても気に入って、フレキシブル、軽くて、シンプル、着ていることを忘れてしましそうになります。
Lee Gladish
Advanced Materials Developer at Icebreaker, Portland Office
スリルを満喫
西には海、東と南には砂漠、南と南西部には砂丘。雄大な山脈、巨大な森。オレゴン州は驚くほど多彩な地形に恵まれています。
マウンテンバイク愛好家で、ポートランドにあるIcebreakerのアメリカ本社で働く彼は、こうした山並みや砂漠、森林に惹かれて10年以上前、中西部からオレゴンにやって来ました。
「アクセスの良さと多様な地形のおかげで、ここでは幅広い活動を楽しめます。何年過ごしても、毎回新しい楽しみを見つけられますよ」。
山道をもっと速く進みたい。単にそんな理由から彼はマウンテンバイクに乗り始めました。
「バイクに乗れば行ける場所が増えるし、スピードがもたらすスリルを味わえます。森の色々な顔を見られます」。
オレゴンの水に足をつけたら、誰もが冷たいと感じるはず。でもリーにとっては、長時間バイクで駆け巡った後の最高のクールダウンになります。
「渓流がたくさんあります。雪解け水の冷たさに耐えられれば、最高ですよ」。
太平洋西岸は様々なスポーツにうってつけの場所ですが、なかでも夏場のマウンテンバイクは最高です。
「夏の一時期、北西部はとにかく驚くほど美しいんです。全く別の場所です。暑すぎず寒すぎず、カラッと乾いている。さらに起伏に富んだ地形や山、森、多彩な自然が合わさって、マウンテンバイクが好きな人には、まさに夢のような場所です」。
着用コメント
Icebreakerのウィンドブレーカーが好きです。それは軽いから。またランニング時に合成繊維のソフトシェルだと、風を止められないので、それもIcebreakerを着る理由です。
Travis Baron
Photographer & Filmmaker
想定外の余裕がある計画づくり
都心で働き、自然の中で遊ぶ―ポートランドはふたつの人生を生きられる場所です。フリーランスの写真家で映像作家でもある彼は、3年前にテキサス州オースティンから移住してきました。もっと自然のそばで暮らしたいと思ったからです。
トラヴィスは熱心な登山家でもあります。そんな彼には、仕事でも趣味でも緻密な段取りと計画が求められます。とはいえ、ある程度の大らかさも必要です。
「たいてい、想定外の出来事が最高の経験になるんだ」―これは自然のなかでも、撮影中でも言えることです。
ベストショットをものにし、身の安全を確保するには入念な準備が肝心です。けれど彼は人生の不測の事態も受け入れます。
ポートランドに来る前、彼はオレゴン/ワシントン州境から西海岸まで4000km以上続き、難関として知られるパシフィック・クレスト・トレイル踏破に挑戦しました。
「自分に何が足りないか知るには、そんな経験が必要なんだ。一度始めたら、やり続けること。それが必要だね」。
都会で暮らし、仕事に出かける毎日。彼は、単調な生活にはまり込み、野外での本物の体験を逃すのが怖くて、この長い旅に乗り出しました。
今は、都会での仕事を楽しみつつ、冒険への貪欲さも失っていません。
「いつも旅行の計画を立て、行きたい国のことを考え、それを実現するため段取りをつけている。それが何よりの楽しみだよ。僕には二面性があるみたいなんだ。都会でアートをつくりたい反面、アウトドアも大好き。だから僕という人間にはふたつの顔があるんだ」。
そんな彼は、ポートランドという最高の場所を見つけたのです。
着用コメント
撮影でも、クライミングでも、装備の管理はとても大事です。クライミングの時、特にロープを使う場合、効率的に使いやすいシステムがないといけません。そのためクライミングには標準化されたシステムがあります。映像の撮影でも一緒です。バッグのなかでは、全てのものの場所が決まっています。クライミングと映像の共通点は管理です。今日着てみたのはライフスタイルルックでしたが、Icebreakerの面白いところは、ライフスタイルでもアウトドアでも機能が共通ということです。
Alex Morris
Owner of surf shop COSUBE
今も変わらないポートランド
コーヒー、サーフィン、ビール――この3つがあれば完璧な1日だ。コスタリカで1年暮らすなかでそう感じた彼は、故郷ポートランドにこのコンセプトを体現したサーフショップ「COSUBE」(COffee、SUrf, BEerの最初の2文字をつなげた店名)を開きました。このサーフショップには、カフェとバーが併設され、サーフボードを削る工房まであります。
オレゴン州で育ったアレックスは、子どもの頃にサーフィンを始めました。1980年代半ば、全州合わせてもサーフィン人口は微々たるものでした。
「ポートランドは長い間、穴場スポットだったんだ。僕が20~25歳くらいになるまで、山で有名な場所だった。スキーやスノーボードが盛んでね。ポートランドが発展したこの10年のうちに、みんな気づき始めた。実は海もすぐそばにあるって。カリフォルニアから移ってきた人が、ここでもサーフィンを続けたいと考えたり、内陸州から移り住んだ人が、海のそばに来たからと初めてサーフィンに挑戦したり。そんなわけで、初心者が多いけどサーファーがぐっと増えたんだ」。
ポートランドは、もう穴場ではありません。美しい森に加え、今ではビーチを求めて大勢の人が遠くから越してきます。多くの移住者が入ってきたポートランドにはハイテク新興企業も集まり、「シリコンバレー」ならぬ「シリコンフォレスト」の異名までとっています。
とはいえ、街の本質は変わりません。
「どんなに発展しても、ポートランドはポートランド。今も町のあちこちに 『Keep Portland Weird』(ポートランドは、ずっとヘンテコなままで)という看板がどこにも見える。僕の高校時代や大学時代の、活気ない小さな町だった頃と同じ雰囲気が残っている。今は昔より楽しいけど、それでもポートランドらしさはそのままさ」。
着用コメント
僕たちの店では、ブランドを選ぶ時にサステイナビリティが重要です。そのブランドの、できるだけサステイナブルな物を取り扱いたい。その考え方は自然に毎日の生活と繋がってきます。何でも、できるだけ健康的に。それは重要だと思います。良いことは、最近スタイルがサステイナビリティに追いついてきたと思います。昔はサステイナブルと言うと、あまりかっこいいものはありませんでした。Icebreakerは、気持ち良いですね。スウェットのカットが良く、パンツも履き心地が最高です。両方とも着て出かけたいです。
Taryn Borges
Barista at surf shop COSUBE
見守るだけでなく、自分も関わる
スポーツマンなら誰もがそうであるように、サーファーも、サーフィンを通じて自然や環境と独特な関係を築いています。
「子どもの頃から泳ぐこと、水のなかにいることが生活の一部でした。水は私にとって特別な存在。水中でスポーツを楽しみ、海や陸、周りの環境と深いところでつながることで、色々な意味で満足感を得られるの」。
現在ポートランドに住む彼女は、テキサス出身。テキサスでサーフィンをしようと思えば、週末に泊りがけで海沿いのコーパスクリスティかガルベストンに出かけるしかありません。ポートランド在住の現在は、日帰りでビーチを楽しめます。
多彩な自然環境に囲まれた暮らしをしていると、人と土地の結びつきや、自然との触れあいを求める気持ちに気づかずにいられません。おそらくそれが、太平洋岸北西部に暮らす人々のDIY精神のひとつの基盤であり、自然のなかでスポーツを楽しむだけでなく、自然を大切にすることにもつながります。
「みんな、この辺りの環境が好きだから、ここでの暮らしを気に入ってるんだと思う。海辺や山、深いつながりを感じてる周囲の全てを愛しているのよ」。
着用コメント
素材が素晴らしいです。以前からIcebreakerの靴下を使っています。夫とは共通のアウトドアの趣味が多く、そこで着ています。重要なのは機能性、色んな状況でも使えるもの。そして軽く、日常の使用による傷みに対しても丈夫なものです。そして最後はルックスとフィーリングです。