Nature Dye
2024 SPRING SUMMER
FLOWER
WASTE COLOR
フラワーショップの店頭に並ぶのは、一番うつくしいときを迎えようとする花々ですが、それを過ぎてしまったもの、花束を作る際に剪定した端材などは、廃棄されることになります。この“フラワーロス”と呼ばれる一つの役目を終えた花々から色をとりだし、生かしきることができたら。今シーズンのNature Dyeは、東京・渋谷にあるフラワーショップから春の花々の残渣を提供していただき、花に由来する4つの色に染色しました。
TWIG
PETAL
STEM
LEAF
Nature Dye
やさしい着心地のメリノウールを、四季折々の恵みをもたらす自然の色で染めるシリーズです。自然界の色彩は、数百から千以上の天然色素から成り立ち、私たちの目にやさしく乱反射して映るそうです。染色には、ミネラル豊富な富山の天然水を使い、ろ過されたあと、河川に戻るよう配慮しています。
FLOWER WASTE COLOR
花弁
PETAL
ピンクから橙、真紅まで、無数の色調を持つ花びらからとりだした、やわらかな赤。
葉
LEAF
冬を越え新緑の季節へと向かう、青々として鮮やかな葉のグリーン。
枝
TWIG
枝からとりだした深いブラウンは、栄養たっぷりの土の色も連想させてくれます。
茎
STEM
剪定されやすい部位、茎や萼からとりだした、やさしいライトグリーン。
BOOKS
植物を、より深く
“アンプラグドな時間”を考える、
icebreakerのものづくり。
今季はNature Dyeのタグを、
栞として再利用できるデザインに。
植物の世界を伝える4冊の本を紹介します。
いきている山
「山の本質を知ること。それこそが、ここで私が試みようとしていることにほかならない」。スコットランドのケアンゴーム山群に生涯通い続けた作家、ナン・シェパードによるネイチャーライティングの名著。標高やスピードを競いピークを目指すのではなく山を“生きている”存在として捉え、内なる世界を探究するように歩く。その詩性あふれる文章は、あらゆる表現者に影響を与えてきました。
虫眼とアニ眼
解剖学者で昆虫愛好家としても知られる養老孟司と、アニメーターである宮崎駿。異なる分野で自然と人間との関係を深く見つめてきた2人の対話集。「自分が変われば世界も変わる」(養老)、「人間だけが生きるのではなくて、獣にも木々にも水にも生きる場所を与えるべきなのです。そういう思想が、かつての日本にはありました」(宮崎)など、不変的な言葉で若者や子どもへの思いが語られています。
マザーツリー
森に隠された「知性」をめぐる冒険
樹木は、互いに土の中でつながり合い、助け合って生きている。これを発見し、科学的に解明したカナダの森林生態学者、スザンヌ・シマードは、土の中に張り巡らせた無数の菌糸を伝って栄養を送り合う森林のネットワークを「WWW(ワイルド・ウッド・ウェブ)」と名付け、世界中で大きな反響を呼びました。その長い研究の日々と、女性科学者としての試練や苦悩が綴られた回顧録。
デレク・ジャーマンの庭
その前衛的でアナキズムな作風が、没後30年経った今なお高く評価される詩人で映画監督のデレク・ジャーマン。HIV罹患後の1987年、イギリス南端の原子力発電所側へ移り住み、庭をつくることでこの不毛の地に“生”を甦らせた最期の日々が、友人で写真家、ハワード・スーリーの150枚以上に及ぶ写真と共に綴られています。没後30年の今年、美学者で庭師の訳者によって新訳復刊されました。
- ART DIRECTION:
MASAAKI KUROYANAGI Park Sutherland - DESIGN:
KARIN FUKANO Park Sutherland - PHOTO:
HIROKO MATSUBARA - STYLING:
TOMOKO IIJIMA - HAIR&MAKE:
YOKO OKUNO - MODEL:
MORIAS DIANA AGENCY NÓI,
MARCO VARCOE BRAVO - EDIT:
ERI ISHIDA