PEOPLE メリノで夏を楽しむ人々
石垣島 | 沖縄
手漕屋素潜店 ちゅらねしあ/グレートシーマン
PROFILE 八幡 暁 Satoru Yahata
東京都出身。大学時代、八丈島での漁師との出会いをきっかけに、海で生きる人の暮らしに惹かれ始める。そしてバックパックに銛と足ヒレだけを持って世界の海を旅する中で、シーカヤックに巡り合い、オーストラリアから日本までの多島海域を人力で航海する「グレートシーマンプロジェクト」を2002年より開始。2005年には沖縄県石垣島に移住し「手漕屋素潜店 ちゅらねしあ」を設立したほか、現在も様々な活動を通じて、海で生きる人々の知恵や自身の体験を伝え続けている。
昨年、取材をさせていただいて(JOURNAL 05)から1年と少し経ちましたが、何か変化はありましたか。
コロナ禍ということもあって、ツアーの数も減って、それに伴って運動量が減った結果だと思うのですが、それまでは無尽蔵にできていたツアーの後に疲れが取れなかったり、老化というのを感じるようになりました。でも、これはネガティブなことじゃなくて、ここからが大事なんだと思っています。老化をしないようにトレーニングをする人もいるし、それは楽しくがんばれることができればいいけど、僕は老化することが自然だから、緩やかに落ちていくことも受け入れていくという思いが強くなったかな。いつまでもスーパーマンのように、漕げて、潜れて、野生児で、という意識は全くないんです。
それはすんなりと受け入れられるものなのでしょうか。
それは、そういう個体だからということだと思っていて、肉体や性格含め、ハードなことを日々のルーティンとしてできる個体も入れば、それを苦痛と感じる人もいます。僕がやってきた海の旅は、人によっては知らないことや恐怖と常に向き合わなければならないストレスになるけど、たまたま僕はそういうことが楽しくてしょうがなかったんです。そうやってがんばりたいなと思ったことはがんばる。そして老化にも自分なりの受け入れ方があります。自分なりに受け入れていくというメッセージがもっとあったほうがいいですよね。
それが自分に無理がない状態かどうか。
社会的なことやお金のこと、そこにある損得の意識からの選択ではなくて、なんとなく心地良いみたいなことから、好きなことやしたいことを選択して、そのことができるようになっていくほうが結果的に幸せになる人は増えますよね。自然体になるし、それに従っていくと自然に近い暮らしになっていくはずだと僕は思います。環境問題と言われていることも、自分の便利さを手放さないで、大きな問題を解決しようとしているところでぶつかるわけで、結局は個人の暮らしの積み重ねということ。
年齢、性別、性格、立場、暮らしの条件は様々だし、常に変化の中にあると思いますが、それぞれの生き方がシンプルで無理がないように暮らせれば、いろいろなことが、良い方向に向かっていくのではないでしょうか。
いま八幡さんが石垣島でしている暮らしがまさにその一つのかたちですね。
それは大きな目標とかそういうわけではなくて、楽しいから。それが普通の生活を僕はしている。昔、逗子に住んでいた時も、エアコンが好きじゃないから、使わなくてもいい海沿いだったり、人が密集してなかったり、コンクリートが少ない場所を探したり、あとは水源が近くて、食べ物が採れることだったり、ニワトリも飼っていました。今も魚や草、自然のものを普段から食べています。人間の身体も100%天然素材だから、徐々に暮らし自体も天然素材で、必要なものを大事に使っていくようになるといいですよね。
「SUMMER MERINO #夏こそウール」
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