SPRING 2024macpacのカバンと
旅をする

オリジナル生地素材AzTec®を使用した製品群は、
アウトドアパックとしてはめずらしい天然素材のコットンとポリエステルをブレンドした自然の風合いが感じられます。
最大の特徴は、手入れさえすれば世代を超えて受け継いで使いつづけられるということ。
では、受け継ぐことの価値とは何でしょう?
編集者・クリエイティブディレクターのharu.さんと鹿児島を旅しながら考えてみました。

「ハルちゃん、また旅に行かない?」
いつものように会社でPCを見ていると、このmacpacの企画を担当しているディレクターのRさんから連絡が入った。
ここで早めにお伝えしておくと、私は「超」がつくほどの出不精だ。
というか、ルーティンをこなすことに心地の良さを感じる人間で、月曜から金曜までの過ごし方が大体決まっている。

■午前10時前にはオフィスの最寄り駅に到着、水曜は大体駅の近くにあるパン屋で小さなサンドイッチの詰め合わせを購入し、職場に着いたら500mlのお湯を沸かして水筒にハトムギ茶を作る。PC横にある推しのアクスタと目を合わせたら、業務開始 etc. といった具合で、旅もアウトドアも私の生活からはほど遠い。正直、全然誇りに思っていない性質だけど、なかなか自分では変えられない。
Rさんは私とは真逆の生活スタイルで、今までも仕事で私を雪山や島に連れ出しては、新しい世界を見せてくれていた。

どうやら今回はmacpacのカバンとともに、自然も文化も豊かな鹿児島を探求しましょうということらしい。
突然降ってきた思いがけないお誘いに、からだが熱くなっていくのを感じる。これは、平凡な日常から抜け出す絶好のチャンス!そう、私は旅が嫌いなんじゃなくて、いつだって旅に出るきっかけを探しているんだ。毎日毎日同じことを繰り返すのは、まだ見ぬ世界を堪能するための鍛錬なんだ。そんなことを思いながら、二つ返事でRさんに「行きます!」と送る。自分、ノリだけはいいんだよな。

初めて鹿児島に向かう朝、いつもとちがう朝。カバンをゴソゴソしながらハッとする。血の気が引いていくのを感じる。焦り散らして思わず空港行きの電車から飛び降り、Rさんに電話をかける。
「Rさん、私パスポートを忘れてしまったみたいです!!もう今から戻っても絶対に間に合いません!!!」
おそらく私の電話で起床したであろう、Rさんの眠たげな声が響く。
「パスポート、いりません」

恥ずい!!!!恥ずかしすぎる。オフィスのすみっこで毎日パソコンだけいじっている私はなんて実践力がないんだろう。そもそも常識がなさすぎる。こんなんでクリエイティブディレクターなんて名乗って、恥を知れ!などと自分を罵るところから今回の旅はスタートした。

雨が降ったり予期せぬことも起きるなか、素晴らしいフォトグラファーとチームワークのおかげで、撮影は着々と進んでいく。桜島をバックに佇む私は、まるで一人旅の達人のような雰囲気を漂わせている(雰囲気だけ)。
私が背負っているmacpacのリュックは、耐久性の非常に高い特殊な素材を使用しているらしく、30年以上使っている人や、親から譲り受ける人もいるらしい。そろそろヒトともモノとも、長く深く付き合っていきたいと思う今日この頃。目新しさよりも、一緒に過ごした時間を感じていたい。

厚みのある色ガラスのグラデーションと、ゆるやかな角度でのカットが特徴的な薩摩切子の体験もさせてもらった。明治時代には一度途絶え、それから100年後にまた製造が復活したという薩摩ガラス。ただでさえ技術や思いを繋いでいくことは難しいのに、一度絶たれた歴史を復活させるにはどれだけの労力がかかるだろう。仕上がった切子のキーチェーンは、早速バッグにつけた。

写真には映っていないことも、もちろんたくさんある。旅のコーディネーターをしてくれたあきちゃんが足しげく通って店主との関係を築いたであろう素敵なお店たち。彼女の幼馴染が案内してくれた、地元の人ですら知らなそうなハイキングの穴場ルート。たまたま行った銭湯のオーナーが、店を継ぐために東京から戻ってきたこと。最終日に訪れた最高の食堂がもうすぐ店を畳むこと。私だけでは絶対に訪れることのない場所や、出会うはずもなかった人々に身を委ねながら、彼らの生活の蓄積を垣間見れた

旅に出る動機や理由は人それぞれだけど、私にとって旅とは、知らないだれかの日常に触れることなんだと思う。名前すらうろ覚えだった街の輪郭が、帰る頃には香りや質感を伴って浮かび上がってくる。普段はそんなこと考えもしないのに、だれかの日々のルーティンの一部に一瞬でも触れさせてもらったのかもしれないと思うと、あまりに眩しい瞬間がたくさんあった。

今日も私はいつもの場所で、このテキストを書いている。そろそろハトムギ茶を淹れ直さねば。
ありがとう、macpac。
■また次の冒険(に誘ってもらえる)まで、私の日々を支えてね。
30年は一緒にいられるみたいだから。
(haru.)

Long Life Material

AzTec® Standard Style

Weka 30
ウェカ30

コットンとポリエステルの混紡糸で高密度に織り上げたオリジナル生地AzTec® Ecoを使用したバックパック。タウンユースからトレッキングまで幅広く使える容量30Lで、シンプルでありながら便利な機能を備えた人気のフラッグシップモデルです。

Weka 30
MM62402

29,700

  • AzTec Eco Canvas / 1140g / H61×W26×D18㎝ / 30L
  • ブラック、タソック、ロジン
Tui
ツイ

頑丈で防水性にも優れるオリジナル素材AzTec® Ecoを使用したティアドロップ型のデイパック。1990年代に人気を博したモデルに便利な機能を加えて現代風にアップデート。通勤通学からデイハイク、散歩や旅行まで幅広く対応します。

Tui
MM72350

17,600

  • AzTec Eco Canvas / 660g / H44.5×W28.5×D14cm / 20.5L
  • ブラック、タソック、ダスク、ロジン、アップルバター
Trek Shoulder
トレックショルダー

耐久性と耐水性を持つオリジナル生地AzTec® Ecoを使用したショルダーバッグ。3点支持のストラップで体にしっかりと固定できるので、前屈みの姿勢になっても荷物のバタつきやズレが生じにくく、単体でもバックパックとの併用しても使用できます。

Trek Shoulder S

Trek Shoulder S
MM82400

8,250

  • AzTec Eco Canvas / 150g / H19×W25.5×D4cm / 2.8L
  • ブラック、タソック、ロジン、アップルバター

Trek Shoulder M

Trek Shoulder M
MM82401

8,800

  • AzTec Eco Canvas / 190g / H22.5×W29.5×D5cm / 4.5L
  • ブラック、タソック、ロジン、アップルバター
Crescent Porch
クレセントポーチ

ナチュラルな手触りが楽しめるオリジナル生地AzTec® Ecoを使用したハンディポーチ。三日月型のラウンド形状に仕上げることで視認性を高め、底面には幅7cm(Sサイズ)のマチを設けてあるので小型のボトルやコスメ類を立てた状態で便利に収納できます。

Crescent Porch S

Crescent Porch S
MM92400

3,850

  • AzTec Eco Canvas / 60g / H12×W20.5×D7cm / 1.5L
  • ブラック、タソック、ロジン、アップルバター

Crescent Porch M

Crescent Porch M
MM92401

4,400

  • AzTec Eco Canvas / 70g / H14×W24×D7.5cm / 2.5L
  • ブラック、タソック、ロジン、アップルバター
Bumbag
バンバッグ

レトロな見た目ながらも仕切りやキークリップ付きの内ポケットを設けたウェストポーチ。財布や鍵などの収納に便利です。

Bumbag S

Bumbag S
MM72304

6,600

  • AzTec Eco Canvas / 160g / H12×W30×D8cm / 2.5L
  • ブラック、タソック、ダスク、ロジン、アップルバター

Bumbag M

Bumbag M
MM72305

7,150

  • AzTec Eco Canvas / 約210g / H15×W37×D9cm / 4.5L
  • ブラック、タソック、ダスク、ロジン、アップルバター
  • ※ Mサイズはフロントにジッパーポケットが付きます。

Behind Story

AzTec® 誕生秘話

Bumbag M

天然素材の力を活かして、使いやすくて長持ちする製品をつくる。
かつては当たり前と思われていたことの価値をふたたび問いなおすことからmacpacの製品づくりは始まっています。

ナイロンやポリエステルをはじめとする化学繊維が発明され、多くのパック製品の主要な材料として使用されるようになっていた1973年、macpacはコットン素材のリュックサックを最初の製品としてブランドをスタートさせました。
コットンは水を吸うと重くなることから登山の世界ではやっかいもの扱いされ、合成繊維に主役の場を奪われていましたが、それでもあえてコットンを素材に選んだのは、ナイロン生地に比べて縫製が容易なため破損しても手入れをすれば永く使い続けられること。くわえて、石油を原料としないため環境に与える負荷を抑えられるという理由がありました。

また当時から合成繊維の生地に防水性を持たせるためには表面にウレタンコーティング加工を施すことが一般的でしたが、ウレタンは経年劣化による剥離などの問題を起こしやすいため、恒久性の面で疑問が持たれていました。macpacの創始者であるブルース・マッキンタイアは、登山家として本当に役に立つギアは何かと考えたときに、手入れをすれば永くつかえるコットン素材のパックこそが正解ではないかという結論に達し、あえてコットンを主な素材に選ぶことにしたのです。コットンに耐水性を持たせるために、編んだ生地にワックス液を染み込ませることで水の侵入を防ぐというアイデアを思いつきました。天然繊維の風合いを生かしながらも耐久性や耐摩耗性を高めたオリジナル素材AzTec®は、このようにして生まれ、現在も多くの登山家に愛されているだけでなく、一般のユーザーからもサステナブルな素材としてその価値が大いに見直されています。