

first touring trip
[ はじめてのツーリング ]
ツーリングはバイクを楽しむ醍醐味の一つ。
ツーリングと聞くとしっかり予定を立てて丸1日走り続ける、なんてハードなイメージがあるかもしれません。今回は免許をとってツーリングに出かけようとしているライダー1年生へ出かける前に知っておいてほしい、ツーリングの準備から流れ、楽しみ方を熟練ライダーからのアドバイスも交えてご紹介していきます。
中島漱也
レーシングチーム鷹所属のモトクロスライダー。全日本モトクロス選手権にも参戦し、2020年はIA2 クラス2でランキング10位を記録。3歳からモトクロスを始め、現在19歳で初めて公道デビューをすることに。オフロードは知り尽くしていても公道のことは未知の世界なので不安を抱えているそう。
桜井大輔
某メディアにて様々なコンテンツをプロデュースしているバイク歴26年の熟練ライダー。バイクの酸いも甘いも知り尽くしたライダーの経験を元に、今回先生役を担当してもらった。
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まずは何をツーリングのメインにするかを決めていきます。ツーリングが何なのかがまだよくわかっていない中島さんは、周りの友達が免許を取ってツーリングを楽しんでいる様子を見て免許所得を思い立ったそう。目的地でのアクティビティを楽しむのか、目的地に行くまでの道を楽しむのか、何が正解なのか熟練ライダーに聞いてみました。
[ 目的地でのアクティビティを重視するツーリング ]
まずはバイクで出かけた先で楽しむ方法。グルメや温泉、ボルダリングなど、アクティビティにバイクが関係なくても、バイクで行くだけで思い出として残るものです。ただの移動ではなく、バイクで出かける時点でツーリングと言えるので、あまり身構えすぎず、友達と遊びに行く手段としてバイクに乗る、というだけでも普段とは一味違った楽しみ方ができます。移動距離や道中の風景よりも、バイクで行く目的地を楽しみたい方におすすめのツーリングスタイルです。
[ 走行に重きを置くツーリング ]
目的地に着くまでの道中を走って楽しむというツーリング。知っている道でもバイクで走るとまた違った風景に見えたり、新しい発見があったりします。走ったことのない道であれば新鮮さが楽しみに加わります。ですが移動距離を増やして、1日でさまざまな場所を走りたいとなるとランチはコンビニで済ませるなど、走行以外の部分は犠牲にしなければならないことも。バイクのライディング感を重視する方におすすめのツーリングスタイルです。
以前バイクに乗っている友達にタンデムさせてもらって、それが楽しくて自分も公道をバイクで走ってみたいと思ったんです。バイクを買ったら、まずは友達と海を目指してツーリングしてみようと思っています。
- 中島漱也
同じツーリングでも走り方や目的地によって楽しみ方が変わってきます。まずはどちらもやってみるのも面白いと思いますが、走り方次第で記憶の残り方が違ったりするので、自分のライフスタイルに合ったツーリングの楽しみ方を見つけてみましょう。
- 桜井大輔
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目的地が決まれば、次に走るルートの確認をしておくことが重要。今ならスマホのナビアプリを使えば案内してくれますが、場所によっては案内中に電波が入らなくなって案内が止まってしまったり、スマホの電池が途中で切れてしまうこともあります。そんな予測できない事態が起こった時でも、走る道や休憩スポットなどを事前に確認しておくことで心置きなくツーリングを楽しむことができます。最初のうちは地図を持っていてもいいかもしれません。
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当日道を間違えないように事前に確認
ナビに頼ったツーリングは万が一の事態に対応できないので目的地までのルートを検索し、どこで曲がるのか、どの道を走るのか見当を付けておくのが安心です。特に知らない地域に行くときは、この工程の重要さが増していきます。行きはナビアプリを使い、帰りは道路の青い看板だけ見て走ってみるのも行きとは違った楽しみ方ができると思います。タンクに行程表を貼るというのもツーリングのあるあるです。
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集合から解散までの
タイムスケジュールを決めておくそのツーリングで何をするかにもよりますが、何時に集合し、目的地まで何分かかり、帰りは何時になるかなど事前に余裕を持ったタイムスケジュールを決めておくとより安心して走ることができます。人によってはしっかりと時間を決めてその時間通りに進めたい方もいますが、移動時間とアクティビティを楽しむ時間などそれぞれにどれくらいかかるかを事前に把握する程度にしておくことで自由度の高いツーリングが楽しめます。
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休憩ポイントを確認しておくことも重要
当然ツーリングに出かけても、ずっと走りっぱなしというわけではありません。ある程度走ったら、十分な休息を取ることも重要な要素です。バイクを停めてゆっくりと休憩できるスポットは、事前に調べておくことが重要。特にトイレがあるか無いかは、一緒に走る人数が増えれば増えるほど重要になってきます。一般道ならコンビニや道の駅、高速道路ならサービスエリアがおすすめ。長距離を走る場合は同時にガソリンスタンドの位置も調べておくのが安心です。
高速道路を使って遠くまで行ってみたい気持ちはありますが、地元周辺を走るだけでも新しい発見があって面白いのかと思いました。知っている地域でも走ったことない道や場所はたくさんあるので、海に行く前に周辺を走ってバイクで公道を走ることに慣れてみようと思います。
- 中島漱也
ルートを事前に確認する意味は、道を間違えたりしたときに焦らないためでもあります。私もバイク初心者の頃は友達とツーリングに出かけて途中で道がわからなくなり、焦りながら走っている最中に車が飛び出してきて転倒してしまったことがあります。幸い大事には至らなかったものの、普段なら対処できることも焦っていると何もできなくなってしまう。そんな経験から、事前にルートを確認することの大切さを再認識しました。
- 桜井大輔
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バイクに乗る際にヘルメットは絶対にかぶらなければいけませんが、服装にはルールがあるわけではありません。しかし実際に走って色んな経験をしてみると、最適なバイクウエアの必要性が身に染みてわかるもの。さまざまな走行シーンに応じて最適なウエアを選ぶことは、ライディングに関して非常に大切な要素となります。
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肌を露出しない
バイクウエアは万が一転倒した時に守ってくれる装備でもありますが、それだけではなくバイクの運転をより快適にしてくれるという機能も備えています。特に薄着になりやすい夏では肌を露出させるよりも日差しをカットするために一枚着たほうが涼しい場合も。例えばメッシュジャケットは前から受けた走行風をウエアの中に取り込み、後ろに流してくれるので走っているときは半袖よりも涼しく乗ることができます。
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怪我の予防
プロテクターは法律上必須ではありませんが、ライディングウエアにはほぼ確実に搭載されています。一昔前は明らかにプロテクターが入っているのが見てわかるデザインのウエアが多かったですが、最近はプロテクターのクオリティが上がり、プロテクターが入っていることが一見しただけではわからないウエアも。夏場に用いられる、メッシュジャケットにも対応した通気性のあるプロテクターなどもあります。
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暑さ/寒さへの対策
バイクは気候の影響を受けやすい乗り物です。バイクで感じる暑さや寒さは通常生活する上で感じるよりも、はるかに過酷なことが多いため一般的な洋服では対応しきれないことも。夏はメッシュジャケット、冬場はバイクに対応した保湿性の高いウエアを着るとより快適にバイクを楽しむことができます。また季節や気温に合わせて常に肌をサラサラに保ってくれるアンダーウエアや、逆に保温してくれるアンダーウエアを用意するのもよいでしょう。
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急な雨への対策
バイクに乗っているとどうしても避けられないのが突然の雨。小雨でも体を露出して走るバイクでは影響を受けやすく、すぐに全身が濡れてしまうことも。一般的なレインコートでも多少の雨なら防ぐことはできますが、バイク用のレインウエアは走行中に雨に当たることを想定して作られているため、防水性能が段違い。撥水性能を持ったジャケットやパンツもありますが、それに合わせてバイク用のレインウエアも持っておいたほうが安心して走ることができます。
モトクロスでもアンダーウエアの影響は大きく、特に夏場は汗を乾かす効果のあるアンダーウエアを使って走ったりします。色んな話を聞いてモトクロスの世界だけでなく公道でも状況に合わせてウエアを選んだほうが快適だと思いました。公道で着るバイク用のウエアは今まで着たことがないのでこれからが楽しみです。バイク用のレインコートも一着持っておこうかと思います。
- 中島漱也
バイクは趣味や遊びの要素が大きいので、バイクが原因で普段の生活に支障が出てしまうのは一番避けたいこと。しっかりとしたウエアを着るだけで万が一のリスクを少しでも減らせます。快適性はもちろん、プロテクションも考慮したウエア選びが大切です。
- 桜井大輔
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バイクは機械なので走れば走っただけ劣化していきます。安全かつ快適に走るためにも、出発前に愛車の状態をきちんとチェックしておく必要があります。バイクの状態を把握し、安全が保証されている安心感があることで、余計な心配をせずにツーリングを楽しむことができます。
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オイルは足りているか
エンジンにとって人間で言うところの血液と同じ役割を担うエンジンオイル。バイク屋さんの定期点検の時期を守っていれば交換時期を過ぎることはありませんが、古いバイクの場合は徐々に減っていることがあるので、走り出す前に適正な量のオイルが入っているかチェックしておきましょう。また自分で交換する場合の交換時期は、期間ではなく走行距離で判断するのも重要なポイントです。
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タイヤすり減り、空気圧チェック
唯一地面と接しているタイヤはバイクを快適に楽しむために非常に重要な部分です。タイヤの種類によって違いますが一般的には走行距離10,000km〜20,000kmで交換が推奨されています。タイヤの溝の間にあるスリップサインも交換時期を把握できる部分です。また空気圧も走行前、もしくは本格的に走る前にガソリンスタンドでエアゲージを借りてバイクに合わせた適正な空気圧に調整しておきましょう。中古車の場合は溝だけでなく製造年月日、いつ頃作られたタイヤなのかも把握しておきたいポイントです。また、併せてブレーキチェックもしておいた方がいいでしょう。
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チェーンの緩みは大丈夫か
エンジンのパワーをタイヤに伝えているチェーンは走っているうちに伸びて適正な張り具合ではなくなってきます。張り具合は一般的にはチェーンの長さの半分ほどの位置を指で上方向に押して3cm〜5cmが適正とされています。万が一にも緩みすぎているとアクセルオンオフ時の前後への挙動が激しくなったり、最悪の場合走行中にチェーンが外れてホイールに絡まり、タイヤがロックしてしまうことも想定されるため、走行前に適正な張り具合かどうかチェックしておく必要があります。
普段自分のモトクロスバイクでオイル交換、エアクリーナー交換、チェーン交換などはやっていますが、その経験を活かして公道での不安を少なくするためにも走り出す前に必ずチェックしたいと思います。
- 中島漱也
今回紹介した項目だけでなく更に幅広いチェックをするための運行前点検というものも定められているため、走行前のチェックは欠かせません。特にヘッドライトやウインカー、テールランプなどは乗っている状態では確認できないことが多いので走り出す前にエンジンをかけてバイクの周りを一周回ってチェックしておきましょう。
- 桜井大輔
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ツーリングを快適に楽しむためのイロハを熟練ライダーから教えてもらった中島さん。様々なチェック工程がありましたが、これまで経験してきたモトクロスとは大きく違ったようです。公道は自分だけでなく他車も一緒に走っている道。最後にツーリングを最大限楽しむコツを聞いておきましょう。
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自分なりのバイクの楽しみ方を見つけること
万全の準備をした上でチャレンジするツーリングは、何も準備していない状態よりも楽しみの幅が格段に広がります。常に余裕を持っておくことで、これまで知らなかった世界を堪能することができるので、バイクの面白さ、ツーリングの楽しさを思う存分味わってみてください。最終的には自分が楽しいと思えるバイクの乗り方を見つけることが一番大切です。
バイクには3歳から乗っていましたが、今回の話を聞いてみて、自分がこれまで乗ってきたものとはまるで世界が違って新鮮でした。決まった場所をいかに速く走るかではなく、自分の知らない世界や景色を見に行くための道具としてのバイクの一面を知ることができましたね。バイクウエアに関してもこれまで公道用は触れたことがなかったので、どういう物を選ぶべきなのか知る機会となりました。公道ライダー1年生としてとても良い第一歩を踏み出せそうです。あまりかしこまりすぎず、友達と一緒に色々な場所を走ってみてこれまで知らなかったバイクの楽しみ方をしてみようと思います。
- 中島漱也
各ステップで紹介したこと以外にも挙げ始めたらきりがない程、バイクを安全に快適に楽しむための工程はありますが、それのせいで「バイクって面倒だな」と思ってしまったら本末転倒。長くバイクに乗っていれば失敗から学ぶこともあります。でも一番重要なのはバイクを楽しむことなので、初めてのツーリングではあまり考えすぎないよう、重要なところはしっかり押さえつつ、余裕を持って走れるような準備をしてツーリングを楽しんでいきましょう。
- 桜井大輔
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