さまざまな分野で活躍する人々への「READY」な状態を紐解くインタビューを通じて、日々の活動のマインドシフトをサポートするメディア“PEOPLE” by NEUTRALWORKS.。
今回は、日本唯一のレジデンシャルダンスカンパニー(劇場専属の舞踊団)として、新潟を拠点に活動するNoism Company Niigataの金森さんと井関さんにインタビュー。
演出家・舞踊家として長年に渡って意欲的な作品制作に取り組むお二人の普段のココロとカラダの向き合い方や「READY」な状態を保つための秘訣などを、特別にご自宅で伺いました。
経験の積み重ねから自分の「READY」を知った二人が今思うこと
金森 穣 & 井関 佐和子
“PEOPLE” by NEUTRALWORKS.
PEOPLE
CHAPTER
01 “身体が元気だと、心もそれに伴って大丈夫になる。不安な時こそ自分の身体を信じてあげる。”
02 “やめたければやめればいい。新しいことを取り入れるニュートラルさが大事。”
03 “集中のエネルギーを敢えて自分で切る。そうしないと持続しない。”
04 “不安があることを敢えてするのがチャレンジなんじゃないかなと思う。”
05 二人にとっての「READY」な状態とは
06 金森さん & 井関さんの「READY」を作るためのアクション
01 “身体が元気だと、心もそれに伴って大丈夫になる。不安な時こそ自分の身体を信じてあげる。”
02 “やめたければやめればいい。新しいことを取り入れるニュートラルさが大事。”
03 “集中のエネルギーを敢えて自分で切る。そうしないと持続しない。”
04 “不安があることを敢えてするのがチャレンジなんじゃないかなと思う。”
05 二人にとっての「READY」な状態とは
06 金森さん & 井関さんの「READY」を作るためのアクション
01
“身体が元気だと、
心もそれに伴って大丈夫になる。
不安な時こそ自分の身体を信じてあげる。”
“身体が元気だと、
心もそれに伴って大丈夫になる。
不安な時こそ自分の身体を信じてあげる。”
── 普段の生活の中で、ココロとカラダのバランスをどのように意識していますか?
井関さん:今日のバランスは自己採点で言うと、80点くらいで調子がいいです。朝からこんなに元気だというのは、自分にかかる圧がない状態で、これから何も予定がない証拠なんです。最近では身体の声を素直に聞いて、そのリズムに合わせるようにしています。身体が元気だと、心もそれに伴って大丈夫になるので、不安な時こそカラダを信じてあげるようにしています。
金森さん:彼女は晴れると機嫌がいい 笑。
井関さん:だから今日の80点はすごいんですよ!(取材当日の天気はあいにくの曇天でした……)
金森さん:今、僕は適度な緊張感を残しつつも、身体的に疲れてもいないので、良い状態かもしれないです。
井関さん: 穣さんはバランスがとれて、いつも元気です。私は波が激しくて、勝手に穣さんのことを心配しちゃうんですけど、「大丈夫」って答えられると、「え、すごい。大丈夫なんだ……」と驚いてしまいます。
金森さん: 常にニュートラルな状態でありたいんだと思います。普段の生活でもやることがほとんど決まっているので、それが乱れないようにルーティンを決めています。自分の場合は、クリエイションのことを考える時、心が乱れると思考も乱れるので常に心を落ち着けられるように意識しています。
02
“やめたければやめればいい。
新しいことを取り入れるニュートラルさが大事。”
“やめたければやめればいい。
新しいことを取り入れるニュートラルさが大事。”
── 今のリズムに至るまでに、意識的に取り入れたことや改善した習慣などはありますか?
金森さん:生活環境を快適な状態に保つことが心を落ち着かせるためのルーティンになっています。あとは、いいなと思ったものは躊躇なく取り入れるようにしています。今続けているグルテンフリーもそうだけど、実際に提供されていいなと思ったらやる、という感じですね。
井関さん:グルテンフリーは、舞踊家としての体力などを考えていた30代後半の時に始めてみました。それまで、公演の後にはものすごくぐったりしていたんですが、食生活を変えてからはスキップして家に帰れるくらい身体に変化がありました。美味しいものは好きだけど、身体の方が大事なので、これは続けるしかないなとなりました。ルーティンに関しては、穣さんは何かを取り入れ始めるとルーティンの人で、ずーっとやっているんです。
金森さん:ルーティンを大事にしている反面、それに縛られるのは嫌なんです 笑。それも心を乱されるから。例えば毎日サプリ飲んでいるけど旅先で無いとなった時に、それをストレスには感じたくない。それはそれで、なきゃないでいい。その辺は無頓着ですね。
井関さん:でも身体にいいものは、何でも続けてくれます。
金森さん:新しいことにチャレンジすることは大事だよね。
03
“集中のエネルギーを敢えて自分で切る。
そうしないと持続しない。”
“集中のエネルギーを敢えて自分で切る。
そうしないと持続しない。”
── 舞踊家としての舞台上でのパフォーマンス、カンパニーのマネージメント、作品のクリエイションなど、マルチタスクな生活を送られていますが、どのように気持ちを切り替えていますか?
金森さん:気持ちの切り替えというよりも、出力が違うという感じです。常に芸術的なことを考えていて、踊るときは身体でアウトプットするので、そこにフォーカスする。カンパニーのマネージメントでは芸術的な理念を言語にするので、話すことに集中する。踊る、喋る、考える、作る、演出を決める、それぞれアウトプットが違うだけで、自分の中で気持ちの切り替えはないです。そう言う意味で、常に芸術のことを考えていることが自分のニュートラルな状態で、ストレスに感じることはありません。むしろ、これを奪われる方が、想像するだけでストレスです。
井関さん:私は公演が終わって一週間くらいは、完全に気持ちが抜けちゃうんです。だからと言って無理に気持ちを切り替えることはあまりせず、その時々の身体の声を聞いて、今がどんな状態かを確認しています。
金森さん:切り替えがあるとしたら、集中のエネルギーを敢えて自分で切って誰かと笑い話をはじめる時があります。頑張りすぎると精神衛生的に良くないと本能的に対処しているのかもしれないし、そうでないと持続しないんだろうと思います。
04
“不安があることを敢えてするのがチャレンジなんじゃないかなと思う。”
“不安があることを敢えてするのがチャレンジなんじゃないかなと思う。”
── 10代での海外留学や国内唯一のレジデンシャル・カンパニーの設立、多くの作品の制作など、これまで様々なチャレンジを重ねてきましたが、新しいことにチャレンジすることへの不安を感じることはありますか?
井関さん:若い頃は与えられたものを完璧にこなすことが楽しかったんですが、経験を積んで自分の基盤や自信ができ始めてからは、実験的なことに挑戦できる領域が増えた気がしています。それに飛び込んだときに、何が生まれるかや、自分がどう変化するかも分からない状態を楽しめるようになりました。
金森さん:不安があることを敢えてするのがチャレンジなんじゃないかなと思う。言葉の選び方だよね。ドキドキするのを不安と捉えるか、ワクワクと捉えるか。あとは、どうせ勝負するんだったら高いところを目指したいです。幸いにも若い頃から一流と呼ばれる人たちと接してきた面影というか原風景はあるから、自分が今いる位置が全然だということは分かっているので、まだまだチャレンジしたいなっていうのはありますね。チャレンジはもちろん大変なことだけど、それがある形として現れた時に自分の力以上のものになるので、そこにやりがいを感じるし、やめられないですね。
05
お二人にとって「READY」な状態とは、
どのような状態ですか?
お二人にとって「READY」な状態とは、
どのような状態ですか?
始められる「READY」と終えられる「READY」。
その両方のバランスだと思う。片方だけだとダメ。
それがちょうどいいバランスの時が一番。
金森 穣
その両方のバランスだと思う。片方だけだとダメ。
それがちょうどいいバランスの時が一番。
金森 穣
ものすごく心が静かで身体があったまっている状態。
色々な経験を経て培うもの。
井関 佐和子
色々な経験を経て培うもの。
井関 佐和子
06
金森さん & 井関さんの「READY」を作るための
アクション
金森さん & 井関さんの「READY」を作るための
アクション
01. リラックスできる場所(自宅)を快適な状態に保つ(金森さん)
部屋の至るところに飾られた植物やアンティークとモダンな家具が心地よくレイアウトされたインテリアは、金森さんと井関さんが毎日の稽古の後にストレッチをしたり、2人で食事を楽しみながらリラックスできる空間。
02. 料理をする(井関さん)
井関さんにとって野菜を切ったり炒め物をする時間は無心になれる時間で、グルテンフリーの食生活をスタートしてからは米粉のパンやケーキも自作。キッチンに貼られているタイルは井関さんのアイデアに応えて、金森さんが全てDIYで貼り付けたもの。職人さん顔負けのクオリティでした。
03. N/ HYUGATOUKI
身体にいいと聞いたことはとりあえず試してみる金森さんと井関さん。最近は九州の秘境 宮崎県高千穂で育てられたヒュウガトウキ(通称「日本山人参」)のフードカプセル、「N/ HYUGATOUKI」にチャレンジ中。もともと早起きはあまり得意でないとお話しされていましたが、寝起きがよくなったそうです。
- N/ HYUGATOUKIの詳しい情報はこちら
金森穣 Jo KANAMORI
演出振付家、舞踊家。
りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館舞踊部門芸術監督、Noism Company Niigata芸術監督。1974年横浜生まれ。17歳で単身渡欧。ルードラ・ベジャール・ローザンヌにて、モーリス・ベジャールらに師事。ネザーランド・ダンス・シアターⅡ在籍中に演出振付家デビュー。その後リヨン・オペラ座バレエ、ヨーテボリ・バレエ等で舞踊家及び演出振付家として活躍。2002年に帰国し、2004年4月新潟市民芸術文化会館舞踊部門芸術監督に就任。日本初となる公立劇場専属舞踊団Noismを立ち上げ、その作品は国内外、各方面から高い評価を得ている。平成19年度芸術選奨文部科学大臣賞ほか受賞歴多数。令和3年紫綬褒章。
www.jokanamori.com
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りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館舞踊部門芸術監督、Noism Company Niigata芸術監督。1974年横浜生まれ。17歳で単身渡欧。ルードラ・ベジャール・ローザンヌにて、モーリス・ベジャールらに師事。ネザーランド・ダンス・シアターⅡ在籍中に演出振付家デビュー。その後リヨン・オペラ座バレエ、ヨーテボリ・バレエ等で舞踊家及び演出振付家として活躍。2002年に帰国し、2004年4月新潟市民芸術文化会館舞踊部門芸術監督に就任。日本初となる公立劇場専属舞踊団Noismを立ち上げ、その作品は国内外、各方面から高い評価を得ている。平成19年度芸術選奨文部科学大臣賞ほか受賞歴多数。令和3年紫綬褒章。
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井関佐和子 Sawako ISEKI
舞踊家。Noism副芸術監督。
1978年高知県生まれ。3歳よりクラシックバレエを一の宮咲子に師事。16歳で渡欧。スイス・チューリッヒ国立バレエ学校を経て、ルードラ・ベジャール・ローザンヌにてモーリス・ベジャールらに師事。’98年ネザーランド・ダンス・シアターⅡ(オランダ)に入団。’01年クルベルグ・バレエ(スウェーデン)に移籍、マッツ・エック、ヨハン・インガー等の作品を踊る。’04年4月Noism結成メンバーとなり、金森穣作品においては常に主要なパートを務め、現在日本を代表する舞踊家のひとりとして、各方面から高い評価と注目を集めている。’08年よりバレエミストレス、’10年よりNoism副芸術監督も務める。第38回ニムラ舞踊賞、令和2年度(第71回)芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
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1978年高知県生まれ。3歳よりクラシックバレエを一の宮咲子に師事。16歳で渡欧。スイス・チューリッヒ国立バレエ学校を経て、ルードラ・ベジャール・ローザンヌにてモーリス・ベジャールらに師事。’98年ネザーランド・ダンス・シアターⅡ(オランダ)に入団。’01年クルベルグ・バレエ(スウェーデン)に移籍、マッツ・エック、ヨハン・インガー等の作品を踊る。’04年4月Noism結成メンバーとなり、金森穣作品においては常に主要なパートを務め、現在日本を代表する舞踊家のひとりとして、各方面から高い評価と注目を集めている。’08年よりバレエミストレス、’10年よりNoism副芸術監督も務める。第38回ニムラ舞踊賞、令和2年度(第71回)芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
Noism Company Niigata(ノイズム・カンパニー・ニイガタ)
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館を拠点に活動する、日本初の公共劇場専属舞踊団。芸術監督は金森穣。2004年の設立以来、りゅーとぴあで創った作品を国内外で上演し、新潟から世界に向けてグローバルに活動を展開するとともに、市民のためのオープンクラス、学校へのアウトリーチをはじめとした地域に根差した活動を行っている。Noismの由来は「No-ism=無主義」。特定の主義を持たず、歴史上蓄積されてきた様々な身体表現を後世に伝えていこうとしている。2022年7月からは、『Noism ×鼓童「鬼」』を新潟・埼玉・京都・愛知・山形の全国5都市で開催予定。
www.noism.jp
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www.noism.jp
編集後記
今回は特別にご自宅でのインタビューを承諾していただき、取材班一同、緊張しながらお邪魔をしました。ドキドキしながらドアを開けた瞬間、踊っている時の鋭い眼差しとは違う、優しい笑顔で迎え入れてもらうことができて、和やかな雰囲気で取材はスタート。私たちの緊張を察してか、冗談混じりに優しい口調で色々なお話をしていただく中で、公私共に20年近く支え合ってきたお互いへの尊敬や信頼に満ち溢れた仲睦まじいお二人の姿がとても印象的で、「家族写真みたい!」と笑いながらも応じてくれたツーショットがとても素敵です。トップランナーとして日本の舞踊界を牽引してきたプロフェッショナルとしてのココロとカラダの向き合い方やチャレンジに対する姿勢はもちろん、写真から滲み出る温もりに溢れた人柄も記事の中で感じていただけたら幸いです。
今回は特別にご自宅でのインタビューを承諾していただき、取材班一同、緊張しながらお邪魔をしました。ドキドキしながらドアを開けた瞬間、踊っている時の鋭い眼差しとは違う、優しい笑顔で迎え入れてもらうことができて、和やかな雰囲気で取材はスタート。私たちの緊張を察してか、冗談混じりに優しい口調で色々なお話をしていただく中で、公私共に20年近く支え合ってきたお互いへの尊敬や信頼に満ち溢れた仲睦まじいお二人の姿がとても印象的で、「家族写真みたい!」と笑いながらも応じてくれたツーショットがとても素敵です。トップランナーとして日本の舞踊界を牽引してきたプロフェッショナルとしてのココロとカラダの向き合い方やチャレンジに対する姿勢はもちろん、写真から滲み出る温もりに溢れた人柄も記事の中で感じていただけたら幸いです。
Publication date: 2022.03.09
Photographer: Tetsuo Kashiwada
Interview: Yusuke Nishimoto(SUB-AUDIO Inc.)
Writer: Yukari Fuji
Photographer: Tetsuo Kashiwada
Interview: Yusuke Nishimoto(SUB-AUDIO Inc.)
Writer: Yukari Fuji