SWEDISH SAUNA CULTURE #1
スウェーデンのサウナドクターに聞く「ととのいの科学」
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スウェーデンのサウナドクターに聞く「ととのいの科学」
フィンランドと並んで長いサウナの歴史をもつスウェーデン。その首都ストックホルムから、現地のサウナカルチャーを2回にわたってレポートします。前編ではストックホルムの「サウナドクター」こと医学博士のハンス・ヘグルンドさんに、サウナが健康に与える影響について聞きました。
スウェーデンのカロリンスカ大学病院の医学博士でウプサラ大学教授でもあるハンス・ヘグルンドさん。世界20カ国以上のサウナ協会を取りまとめる国際サウナ協会(ISA)の理事も務める彼のニックネームは「サウナドクター」。サウナが健康に与える影響に興味をもったことをきっかけに、書籍や講演でその効果を伝えてきました。
ハンスさんとの待ち合わせは、彼が通っているというストックホルムのジム「Saga」。ジムがあるセーデルマルム地区は学生やクリエイターが多く住み、話題のカフェやセレクトショップ、写真専門の美術館「フォトグラフィスカ」などが立ち並ぶクリエイティブなエリアです。そのなかでもSagaの創業は1911年と、1世紀以上前だというから驚き。
男女の更衣室にはそれぞれサウナが併設されています。「ストックホルムのジムには、シャワーとサウナがついているところも多いんです。運動終わりに入っていく人が多いんですよ」
ハンスさんとの待ち合わせは、彼が通っているというストックホルムのジム「Saga」。ジムがあるセーデルマルム地区は学生やクリエイターが多く住み、話題のカフェやセレクトショップ、写真専門の美術館「フォトグラフィスカ」などが立ち並ぶクリエイティブなエリアです。そのなかでもSagaの創業は1911年と、1世紀以上前だというから驚き。
男女の更衣室にはそれぞれサウナが併設されています。「ストックホルムのジムには、シャワーとサウナがついているところも多いんです。運動終わりに入っていく人が多いんですよ」
熱で血液をめぐらせる
自身も週4、5回はサウナに入るという大のサウナ好きのハンスさん。その健康上のメリットについて、彼はこう話します。
「体調や体質によっても違いはありますが、サウナには循環器系から呼吸器系、脳、心血管系、肌、免疫系、メンタルヘルス、睡眠の改善まで、心身の健康にさまざまなメリットがあることが過去の研究でわかっています」
うれしい効果が生まれる理由のひとつは、サウナの熱。
「暑いサウナで体温が上がると血行がよくなり、心血管系の状態がよくなります。運動をしているときと似ているんです。週に4~7回、19分以上サウナに入っていると心疾患での死亡リスクが45%下がるという研究や、認知症の予防になるという研究もあります」出典
「体調や体質によっても違いはありますが、サウナには循環器系から呼吸器系、脳、心血管系、肌、免疫系、メンタルヘルス、睡眠の改善まで、心身の健康にさまざまなメリットがあることが過去の研究でわかっています」
うれしい効果が生まれる理由のひとつは、サウナの熱。
「暑いサウナで体温が上がると血行がよくなり、心血管系の状態がよくなります。運動をしているときと似ているんです。週に4~7回、19分以上サウナに入っていると心疾患での死亡リスクが45%下がるという研究や、認知症の予防になるという研究もあります」出典
「自然の力で冷やす」がスウェーデン流
また、サウナと水風呂や外気浴が組み合わさることのメリットも。
「寒暖差によって血管が拡張と収縮を繰り返すことで、抗炎症作用や血液中の脂質の減少、免疫力アップといった効果があることがわかっています」
実は、スウェーデンは水風呂文化が盛ん。海岸沿いや湖の周りには、水上に突き出すように建つ「カルバアドヒュース(kallbadhus)」と呼ばれる寒冷浴場が並びます。サウナで身体が火照ったら、そのまま冷たい海にダイブ。
「海や湖のように自然豊かな場所にある寒冷浴場は、リラックスできるという意味でも健康にいいんです」
最近は日本でも増えているアウトドアサウナ。水濡れや汗によるはりつきが少ないNOWTERのサウナウェアなら、水から上がっても快適。ロッカーのカギも入れられるポケット付きなので、湖や川に入るときも安心です。
「寒暖差によって血管が拡張と収縮を繰り返すことで、抗炎症作用や血液中の脂質の減少、免疫力アップといった効果があることがわかっています」
実は、スウェーデンは水風呂文化が盛ん。海岸沿いや湖の周りには、水上に突き出すように建つ「カルバアドヒュース(kallbadhus)」と呼ばれる寒冷浴場が並びます。サウナで身体が火照ったら、そのまま冷たい海にダイブ。
「海や湖のように自然豊かな場所にある寒冷浴場は、リラックスできるという意味でも健康にいいんです」
最近は日本でも増えているアウトドアサウナ。水濡れや汗によるはりつきが少ないNOWTERのサウナウェアなら、水から上がっても快適。ロッカーのカギも入れられるポケット付きなので、湖や川に入るときも安心です。
サウナハットでのぼせ防止
一方で、そうした寒暖差に弱いのが頭です。
「サウナの熱や蒸気は上に溜まりやすく、そのせいで気分が悪くなってしまうことがあります。熱から頭を守ってくれるサウナハットはのぼせ防止にうってつけ。予めサウナハットを濡らしてから被るのも効果的です」
ハンスさんも、いつも愛用のサウナハットは欠かさないといいます。「NOWTERのサウナハットもいいですね。とても軽いから、ずっとかぶっていても気になりません」
「サウナの熱や蒸気は上に溜まりやすく、そのせいで気分が悪くなってしまうことがあります。熱から頭を守ってくれるサウナハットはのぼせ防止にうってつけ。予めサウナハットを濡らしてから被るのも効果的です」
ハンスさんも、いつも愛用のサウナハットは欠かさないといいます。「NOWTERのサウナハットもいいですね。とても軽いから、ずっとかぶっていても気になりません」
ちょっとした会話も栄養に
サウナのもうひとつの大きなメリットは、ほかのお客さんとのちょっとした会話にあるハンスさん。
「孤独は喫煙や過度の飲酒よりも死亡リスクが高いと言わています。イギリスではお医者さんが人と人のつながりを処方する『社会的処方』という仕組みがあるほど、孤独は健康に有害なんです。高価な時計も服もない、文字通り裸の付き合いができるサウナで生まれるコミュニケーションは、心にも体にもいい影響を与えます」
実は、スウェーデンのサウナは裸にバスタオルか水着が基本。でも、最近では身体を見せるカルチャーに馴染みのない若者も増えているそう。「サウナウェアを着るのは初めてですが、裸ではいることに抵抗のある人にとってはいいですね。すぐ乾いて衛生的ですし、世界中に広まってほしいです」
「孤独は喫煙や過度の飲酒よりも死亡リスクが高いと言わています。イギリスではお医者さんが人と人のつながりを処方する『社会的処方』という仕組みがあるほど、孤独は健康に有害なんです。高価な時計も服もない、文字通り裸の付き合いができるサウナで生まれるコミュニケーションは、心にも体にもいい影響を与えます」
実は、スウェーデンのサウナは裸にバスタオルか水着が基本。でも、最近では身体を見せるカルチャーに馴染みのない若者も増えているそう。「サウナウェアを着るのは初めてですが、裸ではいることに抵抗のある人にとってはいいですね。すぐ乾いて衛生的ですし、世界中に広まってほしいです」
サウナの科学を知ってほしい
ハンスさんがサウナの健康への効果について調べ始めたのは、サウナの医学的な効果が一般に知られていなかったから。論文を読み漁るうちに、そこで得た知見を周りに伝えたいと思うようになったと言います。
「スウェーデンでは慢性疾患を抱えている人が多く、その治療費が医療費の大半を占めています。一方で、病気を予防するための予算は数パーセントしかありません」とハンスさんは熱をこめて語ります。「だからこそ一般の人たちも、サウナが健康に良い科学的な理由を知ることが大切だと思ったんです。サウナのいいところを知ったうえで、サウナを楽しんでもらえたらと思っています。こんなに多くのメリットがある薬なんて存在しないのですから」
「スウェーデンでは慢性疾患を抱えている人が多く、その治療費が医療費の大半を占めています。一方で、病気を予防するための予算は数パーセントしかありません」とハンスさんは熱をこめて語ります。「だからこそ一般の人たちも、サウナが健康に良い科学的な理由を知ることが大切だと思ったんです。サウナのいいところを知ったうえで、サウナを楽しんでもらえたらと思っています。こんなに多くのメリットがある薬なんて存在しないのですから」
Hans Hägglund. ハンス・ヘグルンド
スウェーデンのカロリンスカ大学病院医学博士。ウプサラ大学教授。2022 年より国際サウナ協会(ISA)の理事を務める。スウェーデン サウナアカデミー会員。著書に『The Sauna Book - Hot facts on sauna and health』(2020 年)がある。
Art Direction : Ryo Tomizuka (OAK)
Photography : Alfred Johansson
Edit : Asuka Kawanabe
Photography : Alfred Johansson
Edit : Asuka Kawanabe