キーワード検索履歴
    良く使われる検索キーワード
      キーワード

        No Rain, No Rainbow
        野生動物の好奇心

        BLOG
        ペンギンの群れ
        地球の神秘を伝え続ける写真家、高砂淳二さんが贈る “No Rain, No Rainbow”。海や森の生き物、色とりどりの花々や虹など、自然の魅力を余すところなく捉えた作品と共に、皆さんを新たな冒険へ誘います。地球の息吹を感じ、美しさを知り、共に学んでいきましょう。
        No Rain, No Rainbow
        野生動物の好奇心
        僕は、こちらに興味津々な時の野生動物の表情が好きである。“怖いけど気になる…”、そんな時のかれらの顔は、腰は引けている場合もあるけれど、全好奇心が目をクリッと見開かせ、とても可愛いのだ。
        地球にはいろんな動物がいるが、僕らの同胞である哺乳類たち、それから鳥類なども、多かれ少なかれ好奇心をもっているようだ。 でもかれらは同時に警戒心をもち合わせているので、自然界では、たとえ出合えたとしても、そんなかれらの気持ちの動きを見られる機会は少ない。 そんなこともあり、撮影の時には何とか僕に興味をもってもらえるよう、あれこれと工夫してきた。チリで出合った警戒心の強いビクーニャ(アルパカの仲間)に対し、あさっての方を向いたままベラベラと自分の話をしてみたり、カナダで見かけたシロフクロウに子守歌を歌いながら近寄ってみたり、またカリブ海では、イルカ相手にグルグルと水中で回転し、面白い遊び相手だと思ってもらおうと頑張ったり…。
        南極にほど近いフォークランド諸島では、巨大不審者である僕を恐れるペンギンの群れの近くに寝ころんで、動かずジーっと固まってみた。 警戒心が次第に好奇心に変わってきた一羽のペンギンが、しびれを切らして僕の顔を覗き込んできた。例の、“怖いけど気になる…”の表情で。足の方にも何羽かが寄ってきていて、クチバシで僕のブーツをツンツンしているではないか。
        こんな楽しいことが起こるから、野生動物の撮影はやめられない。体中ペンギンのウンチまみれになりながら、ひとり腹ばいのままニヤニヤしてしまった。
        高砂淳二 Junji Takasago
        写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。熱帯から極地まで、地球そのものをフィールドに撮影活動を続けている。国内外で写真展多数開催。TBS「情熱大陸」、NHK「スイッチ・インタビュー」をはじめ、テレビ、ラジオ、雑誌等のメディアや講演会などで、自然の大切さ、自然と人間の関係性、人間の地球上での役割などを幅広く伝え続けている。「この惑星(ほし)の声を聴く」「night rainbow」「PLANET OF WATER」など、30冊あまりの著書を発表。ロンドン自然史博物館「Wildlife Photographer of the Year 2022」自然芸術部門で最優秀賞を受賞。海の環境NPO法人OWS(The Oceanic Wildlife Society)理事。
        HP
        INSTAGRAM
        高砂淳二 Junji Takasago