No Rain, No Rainbow
棲み分ける智恵
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地球の神秘を伝え続ける写真家、高砂淳二さんが贈る “No Rain, No Rainbow”。海や森の生き物、色とりどりの花々や虹など、自然の魅力を余すところなく捉えた作品と共に、皆さんを新たな冒
険へ誘います。地球の息吹を感じ、美しさを知り、共に学んでいきましょう。
No Rain, No Rainbow
棲み分ける智恵
棲み分ける智恵
多くの動物は、自分たちのテリトリーをもって暮らしている。人懐っこい性格のアシカの社会でも、家族のテリトリーを巡回し守っているボスがいて、頑張って安全を確保しながら暮らしている。それを無視してダイバーが入ってしまうと、大きなボスがやって来て威嚇されてしまうことになる。
南の島でよく見かける真っ白で美しいシロアジサシなどもしっかり自分たちのテリトリーをもっている。うっかりかれらのテリトリーに入ってしまおうものなら、つぶらで可愛い瞳に似合わず触れるほど近くまで飛んできて頑張って威嚇してきたりする。ただ、あまりにも可愛いので、見とれてしまう僕には威嚇にならないのだけれど…。
動物たちは、必要以上食べないし、基本ストックもしないし、必要以上のテリトリーも必要としないから、お互いテリトリーを守りながら静かに満ち足りて暮らしている。食べるための殺戮は別として、オス同士の戦いなどでも、殺してしまうほどの戦いはほとんどしない。そこまで闘ってしまうと、結局自分まで子孫を残せなくなるのを知っているのだ。 腹いっぱいでももっと贅沢なものを欲し、鉱物資源を狙い、テリトリーを広げようとすればするほど、環境は疲弊し、関係は悪化してしまうのは、僕ら人間がまさに体験しているところ。生物界最強の知能をもった人間ではあるけれど、ここでもう一度自然に学び直し、知能を智恵に変えていきたいものである。
動物たちは、必要以上食べないし、基本ストックもしないし、必要以上のテリトリーも必要としないから、お互いテリトリーを守りながら静かに満ち足りて暮らしている。食べるための殺戮は別として、オス同士の戦いなどでも、殺してしまうほどの戦いはほとんどしない。そこまで闘ってしまうと、結局自分まで子孫を残せなくなるのを知っているのだ。 腹いっぱいでももっと贅沢なものを欲し、鉱物資源を狙い、テリトリーを広げようとすればするほど、環境は疲弊し、関係は悪化してしまうのは、僕ら人間がまさに体験しているところ。生物界最強の知能をもった人間ではあるけれど、ここでもう一度自然に学び直し、知能を智恵に変えていきたいものである。
高砂淳二 Junji Takasago
写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。熱帯から極地まで、地球そのものをフィールドに撮影活動を続けている。国内外で写真展多数開催。TBS「情熱大陸」、NHK「スイッチ・インタビュー」をはじめ、テレビ、ラジオ、雑誌等のメディアや講演会などで、自然の大切さ、自然と人間の関係性、人間の地球上での役割などを幅広く伝え続けている。「この惑星(ほし)の声を聴く」「night rainbow」「PLANET OF WATER」など、30冊あまりの著書を発表。ロンドン自然史博物館「Wildlife Photographer of the Year 2022」自然芸術部門で最優秀賞を受賞。海の環境NPO法人OWS(The Oceanic Wildlife Society)理事。
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