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        日本人のための
        Speedo Japan 現時点最高峰モデル

        2021年6月、競泳水着の日本トップスイマー向けモデル「Fastskin Pro III」が発表された。薄さ約0.3mm・重さ約104g*の生地をつかった本モデルには、プロの選手たちをエンパワーするための様々なテクノロジーが搭載されている。ここでは、はじめにSpeedoとしての歴史を振り返りながら、後半その詳しい中身について紹介していく。*生地1m四方あたりの重さ

        Speedoのルーツ

        もともと水着に使われる一般的な素材といえば、着用時に負担の少ない「ニット」だった。そんなメインストリームに対して、Speedoは水着の素材に「布帛(ふはく)」を使用し、水の抵抗をおさえることを重要視した。同社にとって突きつめるべき問題は、人間は水のなかでいかに速く泳げるかという、その一点だったのである。その「Fastskin FS-PRO」というモデルが世界大会で着用されたことをきっかけに、水泳界の考え方も「より速く」という方向へ着実にシフトしていった。
        Speedoのルール

        機能性を突きつめた先の展開

        機能性を突きつめた先の展開
        2008年、水泳界に衝撃がはしる。体の凹凸をパネルで“おさえこむ”ことでフラットさを実現した「LZR Racer®(レーザーレーサー)」が、国際大会で多くの世界記録をサポートし、「水着が泳ぎに与える影響」に大きな注目が集まったのだ。複数人で協力しないと着られないこのモデルは、選手に奇跡的といえるほどのスピードをもたらした。同社が掲げてきた「1/100秒を突きつめる」というコンセプトが実を結んだ瞬間だった。

        ところが2010年から、競泳水着の規定の変更にともない、ポリウレタンを貼り合わせた「LZR Racer®」の公式大会での使用が禁じられてしまう。ここからSpeedoは新たなモデル開発に動きだす。今度は、着圧を加えながらタイムを縮める「機能性」と、選手の感情を左右する「快適さ」という2つの要素を高いレベルで融合させることを目指した。2014年、トップレーシングの研究開発機関「Speedo Aqualab® (アクアラボ)」での試行錯誤をへて、「Fastskin LZR RACER ELITE 2(超音波溶着モデル)」を発表。なかでもメンズの水着はわずか3枚のパーツしか使用されておらず、そのシンプルな構造は選手からも大好評だった。
        機能性を突きつめた先の展開
        パフォーマンスと快適性の両立

        パフォーマンスと快適性の両立

        2019年には、本モデルをベースに足さばきなどに改良を加えたモデル「Fastskin LZR Pure Valor」が、中・長距離種目向けのモデルとして発表される。これは今もグローバルフィットのトップモデルとして知られる。

        一方で、先に紹介した「Fastskin LZR RACER ELITE 2」にはアジア人の体格に特化した「アジアンフィットモデル」なるものが存在しており、日本ではこれを好んで着る選手も多かった。そこで、「Fastskin LZR RACER ELITE 2」の縫製版として同時期に発表されたのが「Fastskin FS-PRO2」であり、そこからさらに進化を遂げたのがここに紹介する「Fastskin Pro III」である。

        ナイロン65%・耐塩素ポリウレタン35%で構成された本モデルは、布帛でありながら4方向へのストレッチが効くので、様々な泳法に対応できる。また、縫い目を特殊なテープで補強し肌面の摩擦を減らす「スマートシーム(ゴールドウインの特許技術)」を採用することで、従来のフラットシーマと比較して平滑性が12%も向上。さらに、タイム向上には欠かせない着圧と、それに耐えうる水着自体の強度をあわせ持っているところもまた、「Fastskin Pro III」の大きな特徴といえる。細かいところでは、深い股上によってコアの安定性が強化され、Speedoのシグネチャーであるホールド感もきちんと担保されている。

        ここに、パフォーマンスと快適性の両立が高いレベルで実現した。それまで内側にあったテープ部分を外側に反転されることにより見た目も機能的になった「Fastskin Pro III」は、紛れもない「Speedo Japan 現時点最高峰モデル」といえる。
        グローバルモデルの機能を国内向けに
        グローバルモデルの機能を国内向けに

        グローバルモデルの機能を国内向けに

        主要大会での選手着用率で上位に入るSpeedoは、いつだって世界を見据えて商品開発を行ってきた。そのなかで「Fastskin Pro III」は、「グローバルモデルの良いところだけを集めた、日本人による日本人のためのモデル」だ。もっと水と一体になって、より自在に泳ぐために。布帛による水着の進化は、いまだとどまるところを知らない。