1954年3月生まれ

歴戦の実績と高度な技術を持つ山岳ガイドのなかでも、「教官」として畏れられ親しまれている長岡健一。現役の山岳ガイドである一方で、ガイド試験の検定員も長年務めてきた、ガイド・オブ・ガイドというような存在だ。若手ガイドからも信望を集める理由は、気取りのない人柄と柔軟な思考。「ザ・山ヤ」というような風貌とその豊富な登山実績とは裏腹に、初心者にもあたたかい眼差しを持っているのが長岡の魅力である。ところがそのガイド歴は意外と長くない。長岡が山岳ガイドになったのは47歳のとき。山岳ガイドとしてはかなり遅いスタートだ。それまでは、玄人受けのする厳しいルートを好む生粋のアルパインクライマーだった。その確かな登山技術と持ち前のバイタリティを持って、遅いスタートにもかかわらず、ガイド界でメキメキと頭角を現していく。この年代のクライマーにしては珍しく、スキーSIAゴールド資格を持つほどスキー技術にも長けていた長岡は、ほどなく国際山岳ガイド資格も取得。短期間でトップガイドのひとりとなった長岡は、ハイキングから沢登り、アルパインクライミング、海外登山まで、登山と名の付くものならなんでもこなせるオールラウンドガイドとして活躍している。