Naoki Ishikawa, The Sherpa Project
石川直樹/The Sherpa Project写真家の石川直樹が2020年の10月に発表した「The Sherpa Project」は、数々のヒマラヤ山脈における遠征をサポートしてきた少数山岳民族であるシェルパたちの文化にフォーカスしたプロジェクトだ。石川自身もエベレストやローツェ、マカルーなど8000m峰への遠征時にはシェルパと共に2-3ヶ月に渡り生死を分かちあい、そこで生まれた深い絆は現在も途切れず続いている。プロジェクトに収められている写真は、シェルパたちの村での暮らし、2014年に遠征したマカルーでのベースキャンプのスナップ、遠征時のシェルパたちの活動風景から構成されている。そこには私たちが普段目にする遠征の記録や風景写真には登場することのない、極地における「アンサング・ヒーロー(歌われざる英雄)」たちの「生」と共に、作家が向けるシェルパたちに対する深い敬意と親しみが映し出されている。
*このプロジェクトは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって収入が絶たれてしまったシェルパたちに対しての、「彼らの文化を紹介しつつ、それ自体が彼らのサポートに繋がれば」という石川氏の思いから発足したものです。写真集としてまとめられた「SHERPA」は発売3日で全て売り切れとなり、売り上げの一部はクライミングウェアとともに、石川直樹自身が2021年4月にシェルパの元へ届けに行きました。
GALLERY
石川直樹
Naoki Ishikawa
1977年、東京生まれ。写真家。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。2000年、北極から南極まで人力で踏破する「Pole to Poleプロジェクト」に参加。2001年、世界七大陸最高峰の登頂を当時最年少で達成。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。日本写真協会賞新人賞(2008)、講談社出版文化賞(2008)、土門拳賞(2011)、日本写真協会賞作家賞(2020)を受賞。WEBSITE
Instagram @ straightree8848
Date: 2021/12/24
Photography: Naoki Ishikawa
Text: SUB-AUDIO Inc.