THE NORTH FACE MOUNTAIN

LAYERING THEORIES #23
"CLEAN DOWN COLLECTION"

“CLEAN DOWN COLLECTION”

アクティブな登山・トレッキングシーンの保温着は、ダウンに取って代わるように化繊中綿が主役になりつつあります。けれども、湿気に弱く、濡れるとロフトが低下するという弱点をクリアすれば、やはり、ダウンは優秀な保温素材のひとつです。そこで撥水クリーンダウンを使った最新のダウンジャケットにフォーカスします。

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アクティブな登山・トレッキングシーンの保温着は、ダウンに取って代わるように化繊中綿が主役になりつつあります。けれども、湿気に弱く、濡れるとロフトが低下するという弱点をクリアすれば、やはり、ダウンは優秀な保温素材のひとつです。そこで撥水クリーンダウンを使った最新のダウンジャケットにフォーカスします。

ダウンはやはり優れた保温素材

ダウンとはグースやダックといった水鳥の胸部の羽毛のこと。羽軸のあるフェザー(羽根)と違い、ダウンには放射状に広がる多くの細かい羽枝があり、それらが絡まることでふわりとしたロフト(かさ高)を生み、そこにデッドエアを溜め込むことで保温力を発揮します。これは、冷たい水に浮かぶ水鳥が、内臓を守るために発達しさせたといわれています。

中綿素材としてのダウンは、重量に対して最高クラスの保温性を発揮します。非常に軽量でも高い保温力があり、どこまでも軽々としたソフトな着心地で、復元力が高くコンパクトに収納できるため、冬期間のアウトドア製品に打ってつけということで、古い時代から登山用防寒ウェアや寝袋などに使用されてきました。

しかし、ダウンには湿気が苦手という弱点がありました。濡れるとロフトが低下し、水濡れでつぶれたダウンウェアは保温力を失います。そこでダウンと同程度の保温力を持ち、濡れても保温力を維持する化繊中綿が登場します。特にここ数年で化繊素材は大幅に進化し、ダウンと似たような形状と機能を持つ軽量な化繊中綿も登場しています。

それでも、軽さとコンパクト性、ロフトの復元力の高さ、限りなくソフトな着心地という点では、まだまだ天然のダウンには適いません。湿気に弱いというダウンの弱点ことさえクリアすることができれば、やはり、ダウンは最高な保温素材のひとつなのだとTHE NORTH FACEは考えます。

徹底的に洗浄されたダウンだからこそ

水鳥から採取されたままの羽毛は、汚れやほこり、垢、油脂などが付着したままです。これらを除塵・洗浄・乾燥という精製工程によって取り除くことで、はじめてダウンとして使用できる”中綿素材”になります。

羽毛に汚れが残っていると、悪臭やアレルギーの原因にもなり、また、しっかり洗浄精製したダウンほど長くロフトを維持します。つまり、この精製工程こそが、ダウンの品質を左右する決め手といっても過言ではありません。

THE NORTH FACEのダウン製品に使われる「クリーンダウン」は、すべて河田フェザー社によって精製されたものです。河田フェザーは稀少な国内羽毛サプライヤーのなかでも最大手で、羽毛精製に効果的な超軟水と乾いた気候を持つ三重県の伊勢湾沿いに本社工場を構え、その技術力は世界トップレベルとして知られています。

たとえば、空気が乾いていれば羽毛が開き、羽枝の1本1本の隙間にあるほこりや汚れまで取り除くことができます。また、ミネラルが溶け込んでいないきめの細かい超軟水は浸透力が高いために羽毛の隅々の汚れを取り除き、洗剤の使用量も少なくてすみます。

そうした環境に、長年の研究が合致した結果、現在、河田フェザーの羽毛洗浄の精度は日本羽毛製品協同組合が定めた品質基準よりも高い数値を実現しています。

ダウンの弱点を克服した撥水ダウンを使ったニューアイテム

濡れや湿気に弱いというダウンの弱点を補うためには、二つの考え方があります。一つは表地にレインシェルのような防水透湿生地を使うこと。しかし、ダウンジャケットはダウンの偏りを防ぐためにバッフル構造を採用しており、表面には多数のステッチが存在します。それらをすべてシームテープでカバーするのは現実的ではなく、軽量コンパクトというダウンジャケットの持ち味を損なうことにもなりかねません。

そこで、もうひとつの手法が、ダウンそのものに撥水加工を施すこと。一つひとつのダウンボールが水分を弾くため、濡れに対してもロフトの低下を軽減して暖かさを保ち、発汗によるウェア内側からの湿気の影響を受けにくくなります。

この新たな撥水ダウンを使ったのが、初登場の「ウーゼルフーディ」及び「ウーゼルジャケット」です。徹底的に洗浄された高品質な900フィルパワーのクリーンダウンに撥水加工を施したダウンを封入し、寒さが厳しい真冬の登山でも頼りになる一着に仕上がっています。

人気の「サンダーフーディ」はダウンと化繊中綿のいいとこ取りを実現したハイブリッドなライトダウンですが、たとえば10月以降の秋冬の山で使うには寒い日もあるかもしれません。一方、「アルパインヌプシフーディ」は携行性と保温性に優れますが、冬季登山の停滞時にフォーカスしているために、行動中に着るようなタフさは持ち合わせていません。

そこで、この「ウーゼル」コレクションの登場というわけです。表地は、ダイヤモンド型の断面を持つナイロンの平糸を高密度に織った15デニールのパーテックス・ダイヤモンドフューズと20デニールのリサイクルナイロン。引っかかりのない滑らかな織り目でピリングや耐摩耗性に強く、アウターとしても、ミッドレイヤーとしても着用できるサイズ感です。

5アイテムが揃う「クリーンダウン」コレクション

THUNDER HOODIE / THUNDER JACKET / THUNDER ROUNDNECK JACKET

サンダーフーディ

サンダージャケット

サンダーラウンドネックジャケット

コレクション中最軽量モデル。クリーンダウンに、遠赤外線効果の光電子と、撥水ポリエステル中綿をブレンドしたハイブリッドクリーンダウン採用の「サンダー」シリーズ。表地は非常に軽く、強度も備えるパーテックス・カンタムを採用。DWR(耐久撥水)加工で、急な天候変化にも対応します。シンプルなジャケットとフーディに、レイヤリングしやすいラウンドネックの3タイプ。いずれも本体をポケットに収納できるポケッタブル仕様で、通年の登山やトレッキングをはじめ、各種アウトドアアクティビティから下山後の移動、日常的な着用でも活躍してくれます。

WOUZEL HOODIE / WOUZEL JACKET

ウーゼルフーディ

ウーゼルジャケット

高品質な900フィルパワーのクリーンダウンに撥水加工を施した「WR CLEANDOWN 900 PRO」使用した新登場の「ウーゼル」シリーズ。寒さが厳しく、湿気の多い真冬の行動でもロフトの低下を抑えて保温力をキープします。アウターに適したフーディに、ミッドレイヤーとしてのレイヤリングがスムーズなジャケットの2タイプ。冬山登山から秋冬の日常着まで、汎用性の高い使い方が可能で、街着としても違和感のないシンプルなバッフルデザインを採用しています。

ALPINE NUPTSE HOODIE

アルパインヌプシフーディ

天然ダウンの最高水準とされる900フィルパワーのクリーンダウンを、7デニールという薄手のリップストップナイロン(リサイクルナイロン)のバッフルにたっぷり封入した「アルパインヌプシ」。非常に軽量で保温力が高く、コンパクトな収納と復元力に優れます。撥水ダウンではないこともあり、行動中に着るというよりはバックパックにパッキングして携行し、山小屋やテントサイト周辺で着る防寒着としての使い方がお勧めです。

BELAYER PARKA

ビレイヤーパーカ

アイスクライミングや、冬季のアルパインクライミングには欠かせない保温力のある「ビレイヤーパーカ」です。徹底的に洗浄された撥水クリーンダウンに、体からの遠赤外線を利用して保温効果を発揮する光電子をミックス。表地には30デニールのGORE-TEX WINDSTOPPERを採用。シームシーリングが施された完全防水生地ではありませんが、ビレイ時のスノーシャワーや、厳冬期の降雪には十分な防水性と耐風性を発揮します。

HIMALAYAN PARKA

ヒマラヤンパーカ

ヒマラヤの8,000m峰のような過酷な高所での行動を支えるハイボリュームなオーバーダウンジャケット、その名も「ヒマラヤンパーカ」。表地は30デニールのGORE-TEX WINDSTOPPERを採用し、最高品質の900フィルパワーのクリーンダウン光電子をふんだんに封入。THE NORTH FACE最大の保温力を誇る、極地用ウェアのフラッグシップです。

まとめ:ダウンを着る肌寒い季節が待ち遠しい

秋から冬の寒冷なフィールドでアクティブに活動するには、たしかに進化した化繊中綿ジャケットは機能的です。けれども、天然の羽毛をふんだんに使ったダウンジャケットは、やはり捨てがたい魅力に満ちています。限りなくソフトな反発力と、着ていることを意識しないような軽々とした着心地。なにより、ふわりと袖を通しただけで暖かな気分になれるあの感覚は、やはり、ダウンならでは。

やわらかで暖かなダウンジャケットに身を包まれる心地よさを一度でも味わってしまえば、寒い冬がやって来るのが待ちきれなくなるに違いありません。普段の日常から週末のフィールド、あるいは、本格的な厳冬期の雪山へのチャレンジから海外遠征に至るまで、用途と気分にあった1着をお選びください。

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  • CLEAN DOWN COLLECTION

WRITER : CHIKARA TERAKURA

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