アウトドアに革新をもたらしたフリースウエアは、今や肌寒い季節には欠かせない防寒着として広く市民権を得ています。その一方で、アクティブなシーンで着用するテクニカルなフリースは、より軽く、より動きやすく、より快適に進化を遂げています。THE NORTH FACEがノウハウと経験を注ぎ込んだ高機能テクニカルフリースの"現在"をご紹介します。
湿気に強い保温着として誕生したフリースウエア
フリースとはポリエステルなどの起毛化繊素材で、「羊毛=Fleece」のようなやわらかな肌触りと、暖かで軽々とした着心地によって、アウトドアシーンのみならず、普段使いの日常着まで幅広い人気を得ていることはご承知の通りです。
アウトドアウエアメーカーから化繊フリースが登場したのは1970年代後半。登山用の保温着といえば、ウールのシャツやセーター、ダウンジャケットが一般的な時代でした。
しかし、悪天候下で水分を吸ったウールはずっしり重く、ダウンは濡れるとロフトがつぶれて保温力が低下しました。したがって、主に冬山登山者や遠征登山隊を中心に、天然素材に代わる機能的な保温着が求められていました。
そうしたなかで登場した化繊フリースは、湿気を含んでも保温力を維持し、濡れても乾きやすく、どんなコンディションでも着心地は軽く、ダウンのように軽量で、ラフに扱ってもへこたれない強さもありました。
まさに登山やクライミングに最適な機能性の高さから、アウトドアウエアの概念を変えるゲームチェンジャーとして大いに注目を集めます。
当初は北大西洋の漁師が着ていたパイルセーターをヒントにした化繊パイルウエアでしたが、表面が毛玉になりやすく、耐久性にやや難がありました。
現在のような両面起毛のフリースが登場したのは1985年のこと。こうして保温性、速乾性、軽量性に加えて、耐久性を併せ持ったフリースは、アウトドアシーンに欠かせない保温ウエアとして確固たる地位を確立していきます。
より軽く、より快適に進化したフリース素材
「フリースの保温力は、起毛部分にデッドエアを溜め込むことで生まれます。体で暖められた空気は微細な起毛間にしっかり閉じ込められ、体温を逃がしません。
けれども、体温を逃がしにくいということは、登山のようなテクニカルなシーンではデメリットにもなります。行動中の体温上昇につれウエア内に熱がこもり、それが不快なオーバーヒートの原因になるからです。
そこでテクニカルなシーンで使用するフリース素材には、新たな機能として「通気性」が加えられます。
これは換気効果を高めるために、毛足の長さや起毛の密度を変えていたり、起毛しないグリッド部分を裏地に作ることなどで空気を通りやすくしたものです。
こうして保温性に加えて通気性を上手くバランスさせることにより、寒すぎず暑すぎない「適温」を保った快適な着心地を実現。これが現在のテクニカルフリースの基本的な構造になります。
最新テクニカルフリース素材の実力
EXPEDITION GRID FLEECEコレクションに採用しているのは、独自開発の「フューチャーフリース」。テクニカルフリース素材としては最新の進化形です。
最大の特長は、8本の突起を持つ異型断面の中空リサイクルポリエステル糸で編んだニットだということ。
重量は同じ直径のポリエステル糸に比べて約半分の軽さ。さらに突起構造が集まった繊細な繊維の効果で高い吸汗速乾効果があり、同時にデッドエアを多く溜めて、優れた保温性を発揮します。
表面はざっくりとしたニットで、見た目で容易にわかるほどの編み目が開き、それが高い通気性とストレッチ性を生み出します。
専門的な表現をすると、この素材はダブルラッセル編みを半裁したもの。肌面は立毛がグリッド状に並び、起毛加工をすることなく、かさ高を出しています。そのため汗をかいても肌触りはよく、やわらかな風合いを保ちます。
従来のフリースのように後処理による起毛加工を施したものではないため(非起毛の立毛素材)、繰り返しの洗濯でもマイクロプラスチックの抜け落ちは少なく、環境配慮型の素材としても注目されています。
保温性と通気性のバランスに優れ、運動量が変化しても快適な着心地が維持されるこのテクニカルフリースは、行動中ずっと着続けることができる点も大きなメリット。クライミング、登山やトレッキング、トレイルランニング、スノーシーンでは欠かすことの出来ないアイテムです。
男女ともに6モデルを展開
この優れたテクニカルフリース素材「フューチャーフリース」を使ったラインナップをご紹介していきましょう。
Expedition Grid Fleece Full Zip Hoodie
クライミング、登山、トレッキング、トレイルランニングと、もっとも汎用性の高く、着脱しやすいフルジップ仕様のフーディ。やわらかく体にフィットし、どんな動きに追従するしなやかなストレッチ性があります。フードは頭部にしっかりフィットし、フロントファスナーは口元の高さまで。左胸にジップポケット、袖にはサムループ付きです。春から秋の行動着として、夏山では薄手の防寒着として通年で活躍します。
Expedition Grid Fleece Zip High
各レイヤーでのフードの重複が気になる人は、このフードなしモデルがおすすめ。肌寒い季節のミッドレイヤーとして便利なハーフジップです。スタンドカラーはバックパックのショルダーやロープワーク中の擦れから首を守ります。換気効果と着脱のしやすさを考慮した長めのハーフジッパー。左胸にジップポケット、袖にはサムループ付き。主に登山やトレッキング、クライミングでの使用を想定しています。
Expedition Grid Fleece Hoodie
アルパインクライマーに愛用者が多いフード付きプルオーバーモデル。通気と保温のバランスがよく、腹部に硬いファスナーがないストレスフリーな着心地で、長時間着用し続けることができます。換気効果と着脱のしやすさを考慮した長めのハーフジッパー。左胸にジップポケット、袖にはサムループ付き。バラクラバとして使えるフードは鼻と口元を完全に覆う仕様。ミッドレイヤーとしてはもちろん、直接素肌に着る1.5レイヤーとしても快適です。
Expedition Grid Fleece Crew
冬のトレイルランニングから、普段の日常着としても人気のクルーネックモデルです。左胸にジップポケット、袖にはサムループ付き。フューチャーフリースらしい軽々とした着心地を、いつでも、どこでも。素肌に直接着ても快適です。
Karside Grid Hoodie
厳冬期の登山やスノーシーンでの使用を想定し、毛足の長いフューチャーフリースを採用。フル仕様のバラクラバとしてデザインされたフードは、目元を残して顔全体をしっかり覆い、開いたときは立ち襟となって首周りからの冷気の侵入を防ぎます。腹部には大型ポケット。ゆったりとしたフィットで、雪山の往き帰りに着ても快適です。
Expedition Grid Fleece Tight
タイトすぎないほどよいフィット感のグリッドフリースタイツ。ストレッチする生地に立体裁断が相まって、脚の動きにストレスはありません。シェルの下に穿くミッドレイヤーとしての使用を想定していますが、寒がりの人は素肌に直接穿いて暖かなベースレイヤーとしてもおすすめです。
WOMEN’Sモデル
男性と比べてバスト、ウェスト、ヒップの差寸が大きい女性の体型に合わせてパターンニング。すべてのモデルにWOMEN’Sを用意しています。
まとめ:軽々とした快適な着心地をぜひ!
EXPEDITION GRID FLEECEコレクションは、THE NORTH FACEアスリートなら誰もが使っている人気定番アイテムでもあります。クライマー、登山ガイド、トレイルランナー、スキー&スノーボーダー……。それは季節やアクティビティは違っても、さまざまなシーンで快適に着続けられるという証でもあります。
薄く、軽く、それでも適切な保温力を発揮し、よくストレッチする。普段からフリースを着慣れた人でも、その快適な着心地には驚かれるはず。ぜひ、店頭で手に取って確かめていただければと思います。
LAYERING ITEMS IN THIS ARTICLE この記事のレイヤリングアイテム
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- EXPEDITION GRID FLEECE
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WRITER : CHIKARA TERAKURA