THE NORTH FACE MOUNTAIN

LAYERING THEORIES #17
"RAINWEAR MAINTENANCE"

“RAINWEAR MAINTENANCE”

春から梅雨にかけて、しばらくはレインウエアが欠かせない季節が続きます。レインウエアを快適に着続けるには、メンテナンスが欠かせません。着用後は洗濯することで機能が戻り、ウエアが長持ちします。その理由と方法を詳しくご紹介します。

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春から梅雨にかけて、しばらくはレインウエアが欠かせない季節が続きます。レインウエアを快適に着続けるには、メンテナンスが欠かせません。着用後は洗濯することで機能が戻り、ウエアが長持ちします。その理由と方法を詳しくご紹介します。

PART.1 レインウエアのメンテナンス

着用するたびに洗濯しましょう

■汚れでレインウエアの機能は低下します

レインウエアを着て行動すると、汗や皮脂、土やほこりが生地に付着します。これらの「汚れ」はすべて、ウエアの機能低下の原因になります。防水性や透湿性の効果が薄れることで、ウエア内外が濡れやすくなり、シームテープなど接着面の耐久性にも悪影響を与えます。

なかでも、一番の大敵は皮脂の汚れです。皮脂はウエア表面のはっ水性を低下させます。はっ水性が低下すると、水分を吸収した表面繊維が、防水透湿メンブレンにフタをします。結果、透湿性が妨げられることで、ウエア内側は汗で結露するようになります。

すでに何回も着用しているレインウエアで雨のなかを歩くと、肩や背中、腰回りに水が浸みたような広がりができることがあると思います。体に当たる部分はひんやり冷たく、ウエアを脱ぐと案の定、内側が濡れている。これは一見、防水性を失って水が浸みたように思えますが、実際は、皮脂汚れによってはっ水性が失われている状態で、内側の濡れは汗による結露です。

防水透湿メンブレン自体が原因で防水性が低下することもあります。水の分子を遮断して空気を通すミクロの孔。これが防水透湿素材のキーポイントなことはご承知の通りです。実はこのミクロの孔に入り込んだほこりなど、目に見えないほどの微細な異物を伝って水が浸水してくることがあります。つまり、メンブレンは無傷でも、入り込んだほこりが水の媒介になってしまうということです。

ちなみに、防水透湿メンブレンは超極薄の皮膜ですが、長年着用し続けたくらいで破れたり、キズになることは少ないです。浸水の原因はそこではなく、ほとんどはウエアの汚れにあるといってもいいでしょう。

■洗濯によって本来の機能は回復します

防水透湿素材の大敵である、皮脂や汗、土やほこりの汚れは、洗濯によって落とすことができます。皮脂を落としてはっ水性を回復させ、メンブレンに入り込んだ微細なほこりを綺麗に洗い流す。普通の衣類を洗うように、レインウエアも家庭の洗濯機で簡単に洗うことができます。

GORE-TEXやFUTURELIGHTは特殊な素材だから家庭では洗濯できない、という話を耳にすることがあります。でも、それは大きな間違い。むしろ、洗濯表示に沿って遠慮なく洗ってください。過酷な山岳環境を想定して作られた素材なので、それほどヤワにはできていません。

正しい方法で洗濯することで素材本来の機能性は回復し、ウエア自体の劣化も防ぎます。一見、汚れていないように見えても、1回でも袖を通して行動すれば、汗や皮脂の影響は避けられません。できれば、山行後は毎回洗濯するくらいがベターです。

■レインウエア(防水透湿ウエア)の洗濯方法

レインウエアはもちろん、防水透湿素材を使ったシェルはジャケットでもパンツでも、以下の方法で洗濯してください。

1)洗濯取り扱い表⽰を確認

まずは、タグに記載された「洗濯取り扱い表示」のピクトグラムを確認してください。洗濯の強度や方法、水の温度、漂白剤や柔軟剤の使用、乾燥の方法などで、「×」印がついたものはウエアにダメージを与える可能性が高いもの。レインウエアの場合は、漂白剤と柔軟剤の使用、ドライクリーニング、タンブル乾燥、アイロンなどがNGになっているはずです。

 

2)ファスナーを締める

洗濯中の故障を防ぐため、基本的にファスナーは締めて下さい。ただし、脱水時に排水しやすくするため、ポケットはすべて開放しておきます。また、フードや裾、パンツの裾などのドローコードと、袖口やアジャスターなどのベルクロ類はすべて緩め、ウエアの生地が広がった状態にして洗濯機に入れます。

 

3)柔軟剤、漂白剤はNG

柔軟剤や漂白剤の使用は避けて下さい。柔軟剤は生地表面をコーティングしてしまうため、ウエアのはっ水機能が失われます。漂白剤は生地への悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4)部分洗い

パンツの裾など泥汚れのひどい部分や、皮脂が溜まりやすい首の裏側、袖の内側などは、洗濯機に入れる前の部分洗いが効果的です。薄めの中性洗剤液を作り、柔らかいブラシなどで優しく擦り洗いしたうえで、洗濯機に入れます。

 

5)洗濯機で洗う

柔軟剤や漂白剤成分を含まない中性洗剤で洗って下さい。粉末よりも、残留しにくい液体洗剤がお勧めです。水温は、冷水よりもぬるま湯のほうが皮脂汚れには効果的です。アウトドアウエア専用洗剤を使う場合は、説明書をよく読み、その指示に従ってください。

 

6)すすぎと脱水

防水透湿ウエアでは、特にすすぎは重要です。生地表面や内部に洗剤が残留すると、機能低下の原因になります。できるだけ多めの水量で、2回以上のすすぎが効果的です。ウエアの生地が水を吸い込んでいるわけではないので、脱水はごく軽めで十分です。洗濯機から取り出すときに水が滴り落ちるのでご注意ください。

 

7)乾燥

洗濯機から取り出したら、大きめのハンガーにかけて、直射日光を避けた風通しの良い場所で自然乾燥させます。ポケットやベンチレーションなどのファスナーは全開し、よく風を通してください。素材自体は太陽光線による悪影響を受けませんが、樹脂パーツの劣化や接着、圧着個所へのダメージに配慮するためです。

 

8)はっ水性のケア

「はっ水性」とは、水を弾く性質です。はっ水性は皮脂汚れなどで損なわれるため、洗濯が必要になります。その際、乾燥がはっ水性の回復に効果的です。よく乾かすことで繊維表面の毛羽立ちがある程度回復します。はっ水性が保たれているウエアは、表生地を水が水玉のようにコロコロと転がります。なお、はっ水加工は生地表面のコーティングのため、長年、もしくは高い頻度で使い続ければ、効果は薄れてきます。その場合は、市販のはっ水剤を使ってはっ水性を回復させてください。

 

9)まとめ

洗濯を終えたウエアは、大きめのハンガーにかけて風通しの良い場所で保管してください。スタッフバッグに収納するのは、出かけるときがベターです。レインウエアを快適に着るためには、洗濯と乾燥が欠かせないことがおわかりいただけましたでしょうか。愛着あるウエアを大事に着続けるためにも、使用後のメンテナンスをお忘れなく

 

 

PART.2 素材の機能性で選ぶレインウエア

THE NORTH FACEのラインナップから

THE NORTH FACEでは、季節や用途、個人差に対応できるよう多数のレインウエアを用意しています。そのなかから、登山やトレッキングに最適な3モデルをご紹介します。(LAYERING THEORIES #16 “OUTER SHELL FOR SPRINGもご参照ください)。

■雨・風を徹底的に防ぐGORE-TEX

THE NORTH FACEのレインウエアではもっとも薄手で軽量ですが、防水性と耐風性は随一。多くのクライマーや山岳ガイドが絶対的な信頼を寄せるのは、やはり、GORE-TEX素材の高度なプロテクション性能にあります。たとえば、3,000m級の高山での風雨や、2泊3日の中日のような雨から逃れようのない状況では、GORE-TEXプロダクトに勝る防水透湿素材はないといえます。

 

▶「Climb Light Jacket」(Mens)

▶「Climb Light Jacket」(Womens)

・GORE-TEX(3層)マイクログリッドバッカー

・20D

・315g(Lサイズ)

・表地ナイロン100%、裏地ナイロン100%

 

▶「Climb Light Zip Pant」(Mens)

▶「Climb Light Zip Pant」(Womens)

・GORE-TEX(3層)マイクログリッドバッカー

・20D

・245g(Lサイズ)

・表地ナイロン100%、裏地ナイロン100%

■通気性に優れたFUTURELIGHT

独自のメンブレン構造による高い通気性が最大の特徴です。これはナノレベルのポリウレタン繊維をミクロ単位で吹き重ねてシート状にしたもので、GORE-TEXプロダクトと違って、ウエア内外の気温差に関わらず、常に通気するために、蒸れ感が少なく、汗をかきやすい人には選びやすい1着。また、防水透湿素材特有の硬さがなく、しなやかな着心地も大きなメリットです。

 

▶「FL Drizzle Jacket」(Mens)

▶「FL Drizzle Jacket」(Womens)

・FUTURELIGHT(3層)

・75D

・455g(Lサイズ)

・表地ポリエステル100%、裏地ナイロン100%

■軽量コンパクトなGORE-TEXパックライト

2.5層のGORE-TEXパックライト素材は、GORE-TEXプロダクトの特徴である防水性、透湿性、防風性に優れながら、3層生地よりも軽くてしなやか、やわらかな着心地です。裏地がないぶん、生地が水分を含まないというメリットがあります。そのため、シェルの内側が汗で濡れても、サッと拭いてあげれば、すぐに乾いてくれます。また、お求めやすい価格帯も魅力のひとつです。

 

▶「Cloud Jacket」(Mens)

▶「Cloud Jacket」(Womens)

・GORE-TEXパックライトECO(2.5層)

・50D

・360g(Lサイズ)

・表地ポリエステル100%、裏地ePTFE

 

▶「Cloud Pant」(Mens)

▶「Cloud Pant」(Womens)

・GORE-TEXパックライトECO(2.5層)

・50D

・255g(Lサイズ)

・表地ポリエステル100%、裏地ePTFE

 

 

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WRITER : CHIKARA TERAKURA

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