THE NORTH FACE MOUNTAIN

LAYERING THEORIES #21
2024 May "SLEEPING BAG"

“SLEEPING BAG”

寝心地と使い心地をこだわった日本発のスリーピングバッグ「フレイムコレクション」全6モデルが誕生しました。THE NORTH FACE創業以来のDNAを受け継ぎつつ、日本企画らしいアイデアが盛り込まれた寝袋コレクション。それぞれの特長と、季節や環境に応じた選択のヒントをご紹介していきましょう。

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寝心地と使い心地をこだわった日本発のスリーピングバッグ「フレイムコレクション」全6モデルが誕生しました。THE NORTH FACE創業以来のDNAを受け継ぎつつ、日本企画らしいアイデアが盛り込まれた寝袋コレクション。それぞれの特長と、季節や環境に応じた選択のヒントをご紹介していきましょう。

寝袋から始まったTHE NORTH FACEのヒストリー

1966年にサンフランシスコで産声を上げたTHE NORTH FACE。その最初のオリジナルプロダクトがスリーピングバッグだったことをご存じでしょうか。

最初の製品として寝袋を選んだ理由についての記録は残っていませんが、自らアウトドアで情熱的に行動していた創業者、ダグラス・トンプキンスが、当時最も必要性を感じていたのが「高品質な寝袋」だったのではないでしょうか。

薄手で丈夫なリップストップナイロン製バッフルに、品質にこだわったグースダウンをたっぷり充填。フルレングスのサイドファスナーを備えて軽量性とコンパクト性を両立していたスリーピングバッグは、エントリー層から遠征隊クラスまで幅広い人たちにアウトドアでの快眠を提供する製品でした。

なかでも特筆すべきは、今はアウトドア業界の標準となっている「最低温度規格」を世界で初めて明記したことです。暖かさや快適性をわかりやすく表現することは、「すべての人にアウトドアを身近に感じてほしい」という創業者の理念そのものであり、その考え方はTHE NORTH FACEの製品づくりに脈々と息づいています。

「最低温度規格」とは、快適性と暖かさのわかりやすい目安

「最低温度規格」とは、スリーピングバッグの保温性の下限を示す表示のこと。ISO(国際標準化機構)で定められた基準(ISO23537)で科学的に測定したもので、使用リミットの目安になるものです。

ただし、体感温度には個人差があり、ISO23537基準では測定できないさまざまな要素、たとえば、風の強さや地表面の温度、スリーピングマットの厚さや種類、着用しているウェアにもよりますし、男女の違いや空腹状態、そのときの体調によっても変わってきます。したがって、あくまで参考としてとらえてください。

ISO23537「3つの適応温度表示」

COMFORT(0℃):
標準的な女性がリラックスした姿勢で一晩快適に休める温度。

LIMIT(マイナス6℃):
標準的な男性がスリーピングバッグの入口を閉めた状態で、一晩快適に休める温度。

EXTREME(マイナス24℃):
標準的な女性がスリーピングバッグの入口を閉めた状態で、6時間ほどしか睡眠できない温度。寒さに震えることがあり、場合によっては低体温症や凍死の危険も生じる。この温度は理論上の適応温度であり、危険が生じる状況では使用すべきではない。

機能性と寝心地を追求した「フレイムコレクション」の誕生

「フレイムコレクション」は創業時から受け継ぐスリーピングバッグづくりのノウハウの蓄積をベースに、軽量性と携行性という機能にこだわりつつ、日本のフィールドで快適に使える寝具としての寝心地を追求しました。

ラインナップは全6モデル。厳冬期の雪山から夏山登山で活躍するモデルまで、マイナス15℃からプラス13℃までの温度域をカバー。モデル名の末尾はそれぞれ「最低温度規格」の下限リミットを表しており、温度域の違いをカラーリングで表現することで、季節や用途に応じた最適なモデルをわかりやすく選択できます。

バックパックで持ち運ぶことを想定して軽量性とコンパクト性はこだわりましたが、極端な軽量化は狙っていません。軽量化は快適性と相反関係にあり、軽量化を突き詰めるほどに、快適な寝心地が削られるからです。

「フレイムコレクション」の機能と特長

「フレイムコレクション」は最低温度規格ごとに全6モデル。基本的な素材と構造は共通しており、使用する温度帯の違いに対応するよう仕様やディテールを変化させています。

1_共通する生地とダウン

〈表〉15Dリサイクルナイロン
〈頭部・足部〉20Dリサイクルナイロン
〈内側〉20Dリサイクルナイロン
〈ダウン〉RDS認証700Fill Power Down

表地は15Dのリサイクルナイロンで、頭部と足部は耐水性のある20Dリサイクルナイロン。体の出入りで擦れる内側は、表地よりも厚めの20Dリサイクルナイロンを採用しています。

ダウンはRDS(レスポンシブル・ダウン・スタンダード)認証済みの700フィルパワーダウン。RDSとは、生きた鳥からの羽毛採取や強制給餌などの扱いを受けていない水鳥から採取した羽毛であることを保証する国際認証基準。フィルパワーとは羽毛のかさ高を示す単位で、700フィルパワー以上が高品質ダウンとされています。

2_快適な寝心地を追求した形状

各バッフルは台形状の断面を持つトラベゾイド・バッフルを採用しています。この台形バッフルを交互に並べることで、寝転んだときのロフトのツブれを軽減し、コールドスポットからの冷気の侵入を防ぎます。

アパレルで培った立体裁断技術を生かしたフィットフードは、ジャケットのフードを被ったときのようにフィット感に優れた形状です。頭部から肩にかけての無駄な空間を排除することで、保温性はもちろん、軽量化とコンパクト性も高めます。

足元は独自のボルテッド(アーチ型天井構造)・フットボックスで足への圧迫感を軽減させます。足が自由に動かせることで血行の妨げを防ぎ、足元を暖かく保ちます。

寒い時期に使うモデルは、ダウンを詰めたドラフトチューブを配置して、ファスナーからの冷気の侵入を防ぎます。より保温力が必要な低温対応モデルは肩から首周りにもドラフトチューブを設け、肌に当たっても冷たさを感じないようフリース生地を付けています。

最も寒い環境で使用するモデル「ブラックフレイム」には、ボディマップ・アンチコンプレッション・パッドを採用。寝たときに体重がかかる頭、肩、腰、足元の背面部分につぶれにくい化繊中綿のパッドを入れ、地表面からの冷えを軽減させます。

3_ストレスない使い心地

スリーピングバッグで寝るときのストレスのひとつに、フードや本体ファスナーの開け閉めがあると思います。そこで「フレイムコレクション」では開閉部のパーツや仕様にこだわることで、できるだけスムーズな開閉を実現しています。

フードのドローコードには、片手で操作できるワンハンドアジャスターを取り付けてあります。閉めるときはドローコードを引くだけ、開放するには赤いタグを引っ張るだけと手軽です。

本体ファスナーには寝袋には珍しいビスロンファスナーを採用。滑りが良く、故障や凍結にも強く、閉めるときに本体やドラフトチューブを噛まないように、開口部に沿って硬めのファスナーテープを配置しています。

ファスナーは首元からサイドを通り、足元を回り込んで逆サイドまで達し、文字通り、フルオープンします。さらにダブルスライダーだから下から開けて温度調整が可能で、足元が暑ければ足を出して寝ることも可能です。

また、スライダーには蓄光素材を採用しているため、夜中に開きたいときでも、素早くスライダーを見つけることができます。

4_細やかなアイデアを実現した独自のディテール

■テント内の結露に対応する耐水性素材

テント内壁に触れやすい頭部と足部には耐水性生地を採用(黒い生地部分)。シーム処理はしていないので完全防水ではありませんが、結露から羽毛を守るには有効です。

■ドラフトチューブ内ファスナーポケット

ドラフトチューブが付いた寒冷地用4モデルには、ドラフトチューブ内にファスナーポケットを装備。低温下の影響でバッテリーの減りが気になるスマートフォンやヘッドランプを収めるのに最適で、暗闇のなかでも手探りで簡単にアクセスできます。

■連結ループ

背面の周囲6個所には、スリーピングマットと連結させるためのループ付き。バンジーコードなどを通してマットを固定しておけば、就寝中にマットからのずれ落ちを防げます。

■2種類のストレージバッグ付き

フィールドで活動する時は、2段階にコンプレッションできるナイロン製ストレージバッグにコンパクトに収納し、自宅で保管するときはメッシュの大型ストレージバッグにゆったり入れて、ダウンの偏りを防ぎます。

全6モデルが揃う「フレイムコレクション」のラインナップ

Black Flame-15

コレクション中最大の保温力を誇る厳冬期モデル。雪山のテント泊や雪洞泊、重量を気にしない真冬のオートキャンプや雪中キャンプにもお勧めです。

●最低温度規格:マイナス15℃
●断熱材重量:約850g
●平均重量:約1,630g
●収納サイズ:直径(φ)29×長さ(L)35cm

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Green Flame-12

寒さが厳しくなる11月中盤以降から冬にかけての登山やキャンプに適した冬季モデル。まだ夜間は寒さの厳しい3月から4月上旬にもお勧めです。

●最低温度規格:マイナス12℃
●断熱材重量:約650g
●平均重量:約1,260g
●収納サイズ:直径(φ)26×長さ(L)37cm

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Blue Flame-7

氷点下になるかならないかという10月下旬くらいの寒さに対応。日中は快適に行動できても、日没後は急激に冷え込むような秋と残雪期に最適なモデルです。

●最低温度規格:マイナス7℃
●断熱材重量:約500g
●平均重量:約1,000g
●収納サイズ:直径(φ)15×長さ(L)36cm

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Gold Flame-1

フレイムコレクションのスタンダードといえる3シーズンモデル。重量と快適性のバランスに優れ、真冬以外の春から秋までの幅広い時期と、真夏も標高の高い山に最適です。

●最低温度規格:マイナス1℃
●断熱材重量:約300g
●平均重量:約820g
●収納サイズ:直径(φ)15×長さ(L)32cm

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Silver Flame 3

比較的温暖な季節に最適なモデル。フードはあえて立体形状を設けず、必要なときにドローコードを絞れば頭部を包み込むという簡易仕様です。

●最低温度規格:3℃
●断熱材重量:約230g
●平均重量:約740g
●収納サイズ:直径(φ)16×長さ(L)25cm

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White Flame 13

夏場を想定した薄手軽量モデル。フードを取り去ることで軽量コンパクト性に貢献。ほかの寝袋とレイヤリングしたり、広げてブランケットとしても役立ちます。

●最低温度規格:13℃
●断熱材重量:約200g
●平均重量:約630g
●収納サイズ:直径(φ)16×長さ(L)32cm

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スリーピングバッグをレイヤリングして使う

スリーピングバッグは単体での使用するほか、レイヤリングして使うことで、快適に使用できる温度域を広げることができます。

最も簡単なのは、寒い日にダウンや化繊インサレーションジャケットを着て寝袋に入ること。もちろん、スリーピングバッグ用のライナーやカバーを併用するのも効果的です。これらはすでに多くの人が経験されていると思います。

「フレイムコレクション」の最軽量モデルである「ホワイトフレイム13」はあえてフードのないデザインですが、それは軽量化のためであり、同時に積極的なレイヤリング使用を想定しているからです。

たとえば、冬季向けの「ブルーフレイム」に入れてブースターとして使えば体感温度はアップし、厳冬期でも安心の保温力も期待できます。その際、フードレスデザインがレイヤリングをスムーズにします。

また、ファスナーを全開にすれば1枚のダウンブランケットに変身。寝苦しい盛夏には腹掛けとして使え、涼しい季節のテントサイトではブランケットとして活躍します。

まとめ:「フレイムコレクション」で快適な睡眠を

睡眠の質は、翌日のパフォーマンスに直結します。快適な寝具で安らかな眠りにつくことで、最高の1日を迎えてほしい。それが「フレイムコレクション」最大のコンセプトです。高機能で快適なスリーピングバッグを使うことで、自然のなかで眠るというアウトドア本来の楽しみを満喫してください。

LAYERING ITEMS IN THIS ARTICLE この記事のレイヤリングアイテム

  • Sleeping Bag

WRITER : CHIKARA TERAKURA

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