昔も今も自然と向き合うことに憧れを抱く人たちがいる。哲学的探究心、好奇心はたまた本能的に。 その一つの向き合い方として、今熱いのが“ボルダリング”。クライミングの中でもシューズとマット、チョークという最低限の道具で岩や石を登る、きわめてシンプルなスタイル。2020年東京オリンピックの追加競技にも選ばれ、耳にしたことがある人も多いだろう。ただ、ここで流行の一つという認識だけで終わらせておくにはもったいない。なぜなら、ここまで達成感を味わえるスポーツはなかなかないからだ。 時に繊細で、時にダイナミックな体の動きで難しいルートを攻略し、自分の思い描くムーブで登れた時は、難解なパズルが解けたかのような快感を味わうことができる。また、これが外岩ともなれば格別。解放的な場所でひたすら自然と触れ合いながら、自分とも向き合うことができるなんて、何とも贅沢な時間だ。そして、もう一つ言うなれば、さながらロールプレイングゲームが体感できるのも魅力。なぜゲームの話が出てきたかと思うかもしれないが、 日本国内だけでもまだまだ登られていないスポットが沢山あり、その未開ラインの最初の登頂者には名前を付ける権利が与えられる。生態学者・文化人類学者であり、探検家である梅棹忠夫氏の言葉を借りるなら“DESIDERIUM INCOGNITI=未知への探求”、つまり冒険、探索した結果ダンジョン攻略者となれるわけだ。難しそうだったり、一人でやるには億劫だったり、思うことは沢山あるかもしれないけど、まず飛び込んでみたらいい。百の頂きがあれば百の喜びがあるこの自由度をはじめ、性別、年齢関係なく楽しまれているこのスポーツ。その魅力がきっとわかるはず。