あのときの自分の気持ち
──まずは、自己紹介をお願いします。
19歳からモデルの仕事をしています。実家は奈良ですが、大学卒業後から東京の事務所に。その後、海外に挑戦したいと思って26歳のときにロンドンに渡り、ずっと憧れてきたモデルのステラ・テナントさんと同じ事務所と契約をしました。現在は東京を拠点に、ファッションや広告の仕事を行うほか、羽原大介さんが主催する昭和芸能社の舞台に出演させていただくなど、演技の仕事にも挑戦しています。
──ご自身にとってのモデルという職業とは?
大学卒業直前に初めてパリのファッションショーに出させてもらったのですが、そこで本当に見たことのない世界を見て。こういう人たちがいるんだな、私ももっと外の世界見てみたいなと思って、そのときにモデルの仕事でがんばっていきたいと決意しましたね。なので、私にとってモデルの仕事とは自分に新たな景色を見せてくれる「窓」のようなものだと思います。
──山村さんが日々使われている大切な物について教えてください。
26歳からロンドンの事務所で契約をすることになったのですが、その直前、ビザなどの書類を準備するために日本に帰国したタイミングで買ったドリス・ヴァン・ノッテンの白いコートです。
ドリス・ヴァン・ノッテンってモデルとしての自分はもちろん、普段の自分としても「なんてかっこいいんだろう」と当時から思っていました。ドリスはやっぱりその色使いが秀逸なんですけど、そのときはなぜか白のコートを選んだんですね。いま振り返れば、これからイギリスでモデルとして仕事をする、何が待ち構えているかわからない世界に飛び込むときの自分の気持ちが真っ白だったんだと思います。白ってすぐ汚れてしまうのでいつもは買わないんですけど、あの白いコートは、きっとあのときの自分だったんですよね。──コートにまつわる特別なエピソードはありますか?
本当にいつも着ていたから、逆に特別なエピソードはないんです。このコートはシンプルだから、「どこのブランドの?」と聞かれることもなくて。でもだからこそ、ほかの人にはわからない、自分だけの特別なものなんだと思えています。
──ロンドンから帰国され、ライフステージが変わったいまでもコートを愛用されています。
コートとの付き合い方はどのように
変わってきましたか?昨年子ども生まれて、春先になって一緒に出かけられるようになったので、コートの上から抱っこひもをしてたくさん散歩しましたね。そうすると、脇の部分が擦れて、コートの紐もちぎれちゃったんですけど、これもお洋服を大事にするということなのかなと感じています。汚れないように着るとか、破れないように着るのもいいかもしれないけれど、この服はもうそういう次元じゃないんだなって。この破れは、娘が生まれて、よく散歩したからできたもの。そういう意味ではこれも私の人生の記録のひとつで、そうしたことに愛着を感じられるのは自分だけの楽しみですよね。
──最後に、今回The North Faceの「デニムジャケット」を着用した感想をお聞かせください。
本当に軽いので、さっと着て、買い物や公園に出かけるのにぴったりですよね。しかも丈夫でしっかりしているから、抱っこひもをしても全然へこたれないでいてくれました。
もう少ししたら、いつかこのジャケットを着て娘と一緒に山に行きたいなと思っているんです。私、育ちは奈良の田舎ですぐそばに自然があったので、山に「行く」という感覚はこれまでなかったんですけど、日々成長していく娘を見ていると、本当にいろんなものを見てほしくて。自然のなかに行って、季節の変化とか、お花とか、いろんなものを一緒に見たい。そういうときに、このジャケットを着て行きたいなと思っています。