INTERVIEW

Revisiting Urban Parks

Interview with Paola Ristoldo
and Alessandro Furchino Capria, Parklife magazine

2023年4月に創刊した「Parklife」マガジン。
その名の通り「公園」をテーマに、世界各国の写真家やアーティストによるストーリーを通して、
ありふれた場所をさまざまな視点から考察する。
雑誌を主宰するのは、ロンドンとミラノを拠点に活動する写真家、
Paola Ristoldo(パオラ・リストルド)と
Alessandro Furchino Capria(アレッサンドロ・フルキーノ・カプリア)の2人。
「公園を起点に都市生活を捉え直す」というインディペンデントな取り組みについて話を聞いた。

まずはじめに「Parklife」をはじめた理由を聞かせてください。

Paola Ristoldo :
私たち2人は写真家として活動していて、長らく写真について話をする場を作りたいと思っていました。現在はロンドンを拠点にしているのですが、出身地であるミラノに比べて公園がたくさんあることもあってか、自然と公園で過ごす何気ない時間が増えていったんです。そうして多くの時間を過ごす中で、これまであまり意識することのなかった「公園」という存在そのものやコンセプト、それを取り囲む都市について興味を持ちはじめました。誰にとっても身近な空間だけれど、意識的に見ることは少ないですよね。そこから公園と都市、そして私たちの主軸である写真を繋げた取り組みができないだろうかと考えはじめました。
Alessandro Furchino Capria :
写真は私たちにとって大きな要素で、写真を撮る上で環境を理解することはとても大切なことです。写真というメディアを使って何ができるのか、私たちが本当に興味のあることや好きなことに目を向けることからはじめました。「Parklife」を作る上で最初に決めたのは、都市に対してユニークな視点を持つアーティストやクリエイターたちと一緒に作っていくということ。元々雑誌が好きで、どうしたら普遍的なテーマで広がりのある誌面が作れるかを考えていました。結果、明快な主張やメッセージを届けるのではなく、ひとつのテーマに対して毎号さまざまな人の視点や考えを入れる器のようなものにしようと。複雑な時代だからこそ、シンプルなアプローチで読者にある種のフリーダムさを感じてもらえるような内容にしたかったんです。もちろん、今、自分たちにとって必要だと思うことを第一に考えて作っているので、私たちの日々のリサーチを共有するような感覚でもあります。

「Parklife」を作る前から都市の中にある
自然に関心があったのですか?

Paola Ristoldo :
私は山にほど近い都市で育ったので、いつもすぐそばに自然がありました。その影響もあってか、都会で暮らすようになってもそこに点在する自然に惹かれていて、都市をはじめ人工的なものと自然との関係性を記録し続けてきました。
Alessandro Furchino Capria :
私たちは、ありふれた「公園」という場所で日々起こっている変化や成長に興味があるんです。出身地のイタリア・ミラノの街は、石造りの街ということもあって、都市に自然が介入する余白があまりないんです。少しずつ変わってきてはいるけれど。近代では、世界中で都市と自然環境の共存が語られているけれど、もっと改善していく必要がありますよね。個人的には、そうでないといつか都市から逃げ出したくなってしまうのではないかと感じることがあります。それに、公園をはじめ自然を身近に感じたり、ある種の余白を感じるということは自分自身の状態と密接に関係していると思っていて、そうした「場」と「人」の関係性もとても興味深いものです。

自然と繋がることは、現代社会からの逃避のようなもの?

Alessandro Furchino Capria :
とてもシンプルだけど、空気が綺麗だったら気持ちいいですよね?自然は人間誰しもに必要なものだと思います。都市景観の中でいかに自然と対話できるかが、最近の大きなテーマ。例えば、ある場所に行かなければならない時、騒々しい車でいっぱいの場所ではなく、公園を横切るだけでガラッと気分が変わりますよね。そうした感覚に自覚的になれば、都市のさまざまな場所で同じような経験をすることができるでしょう。「Parklife」でも記しているように、私たちは「アーバンスプロール(無秩序な都市化)からの避難」を目的としています。それは、自然を求めて都市部から出ることを意味しているのではなくて、新しい視点で現在の都市生活を捉えるということ。現状から何を発見して、未来のためにどんなことができるのかを考えたい。私たちは地球環境についてアカデミックな議論をしたい訳ではなく、あくまで写真を通して改めて「今」を理解することが目的なんです。
Paola Ristoldo :
「Parklife」はビジュアルのプラットフォームで、さまざまな視点をまとめることで日々の暮らしに発見をもたらしたいと思っています。そういう意味でも、この雑誌が誰かにとっての一時避難場所や都市空間の余白のようなものになったらいいですね。都市公園はある種括られた場所ですが、その中には植物の変化や人間の営みのダイナミズムがあります。そうした様子を写真を通して記録することで、それを見た人たちによって自由な解釈が生まれたら嬉しいです。

雑誌を作る過程で興味深かったことはなんでしょう?

Paola Ristoldo :
毎号、世界各国のアーティストやクリエイターと一緒に作っているのですが、彼らが公園というテーマをどう解釈して切り取るのか、その視点を見ることは素晴らしい経験です。テーマを伝え、少しのヒントを渡しているのですが、想像していたものと全く異なるものを受け取ったときの衝撃や、視界が開ける感覚はとてもおもしろいですね。こうしたプロセスは、解釈を発見するような、不思議なもの。すべての都市で緑や海などの自然を感じられる訳ではないこと、小さな公園だからこそ生まれる工夫。いつも私たちは、「公園やアウトドアスペース」というテーマを起点に、どのように会話することができるのかという点でワクワクしています。それが雑誌を作る上で最も興味深いことのひとつで、アーティストとの対話から学ぶことはたくさんあります。

ロンドンとミラノを拠点にされていますが、
移動と観察について教えてください。

Alessandro Furchino Capria :
移動手段によって解像度が変わるのがおもしろいですね。ロンドンでは家に置くスペースがないこともあってシティサイクルをレンタルしていて。ただ、人によっては、自転車に乗っていても周りの景色がまるで車で移動しているかのように見えることもあります。何もかもが効率重視でとても速く、立ち止まる暇がない。私たちは飛行機よりも電車、車よりも自転車が好きなんです。時間がかかったとしても、ゆっくりと時間をかけて移動したり、観察したり、探求する中で多くの気づきを得ることができると思っています。

2人にとって都市公園とはなんでしょう?

Paola Ristoldo :
特にここ数年、感染症はじめさまざまな問題が世界を覆うなかで、公園は精神的な意味での避難場所とも言えるかもれません。私たちの日常生活に必要な場所であり、コーヒーを飲んだり、ただ散歩したり、自分の考えをリフレッシュしたり、多くの人にとってその時々の自分ごとに異なる意味を持つ場所でもあります。私たちは『アーバンスプロール(無秩序な都市化)からの避難』を謳っているので、公園は色々な意味で避難場所、都市の余白のような機能を持っていると思います。

About Parklife

Paola Ristoldo(パオラ・リストルド)とAlessandro Furchino Capria(アレッサンドロ・フルキーノ・カプリア)の2人の写真家により2023年4月にロンドンで創刊。「a refuge from the urban sprawl(無秩序な都市化からの避難)」をテーマに「公園」というありふれた場所を起点としたストーリーを収録。初号ではホンマタカシやJack Dayをはじめ世界各国の写真家やアーティストら13名が参加する。年1回のペースで発行予定で現在は次号を鋭意製作中。

ITEM

Enride Rain Jacket

自転車での走行を快適にする「Enride Rain Collection」のジャケットは、表地にDyneema繊維を格子状に織り込んだ3層の防透湿性素材を採用。軽量ながら強靱な素材であり耐切創性に優れ、軽くさっと羽織れるのでデイリーに使いやすい。空気を取り入れるベンチレーションにより自転車に乗った際も快適な着心地を保つ。

Enride Track Jacket

柔らかな風合いのタスランナイロン素材を使用したトラックジャケットは、軽い雨に対応できるはっ水性も備える。都市生活での「移動」をより快適にする機能性とミニマルなデザインを両立した一着は、モノトーンがベースのパオラのスタイルにもよく馴染む。裏地は肌離れのよいポリエステルメッシュで、生地が汗で張りつくのを抑え、後身頃の切り替え部分にベンチレーションを配置することで通気性を向上。

WS Enride Vest

まだ肌寒い時期には、屋内外どちらでも活用できるベストがあると重宝する。軽さと通気性を兼ね備えたベストは、前身頃に3層のGORE-TEX Microfleece WINDSTOPPERを採用し、防風性に優れる。肌当たりのよいマイクロフリース素材で自宅で過ごす時間にも心地よくフィット。着回しのしやすいゆったりとしたシルエットでジャケットとのレイヤリングも楽しめる。

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