Kenji KonoSKIER
Wearing L/S Flower Logo Tee
人間と自然は同じ。
無理をすると怪我をする
パウダースノーに天然温泉。豊かな自然の恩恵を受ける街、湯沢温泉村でプロスキーヤーの河野健児さんは生まれ育った。世界を舞台に数々の活躍をしてきた河野さんがいま目指すのは「最小のコミュニティを幸せにする」こと。そして多くの人に無理なく自然の楽しさを伝えること。
- Kenji Kono
- KK
- THE NORTH FACE
- TNF
(TNF)
河野さんが生まれ育ったここ湯沢温泉はとても自然環境に恵まれた場所ですね。
(KK)
野沢温泉スキー場も来年で100周年なんですよ。それまでは結局雪って厄介者でしかなかったんですけど、スキーが日本に入ってきたときに我々の先輩たちがその文化をこの街に入れたことがきっかけで、今は雪がありがたい“資源”になりました。温泉にしてもそうで、山に降った雪や雨が60年近くの時間をかけて温泉になっているんです。
(TNF)
時間をかけて自然が循環していると。
(KK)
雪や雨が山に降り、川に流れて海に行くという循環なので、僕たち山にいる人間が山を荒らしてしまうと水質も下がりますし、海にも影響が出てくる可能性があります。ここに住んでいると自然の循環の中で生かしてもらっているという感覚を常に感じます。
(TNF)
春や夏のような暖かい季節はスキーができませんよね。
(KK)
スキーヤーとしての活動は基本的に冬だけです。ただNozawa Green Fieldというキャンプ場を自身で経営しています。そのキャンプ場もサスティナブルという面で一日一組限定にしていて、電気もソーラー発電、ゴミも全部持って帰ってもらっています。それはどれくらい自分たちがゴミを出しているのかを来た人にわかって欲しくて。今キャンプが流行ってますけど、ゴミ捨て場があるといくらでも持ってこれて、いくらでも捨てれてしまいますよね。
(TNF)
確かにキャンプに行く際、何を持って行くかはしっかり考えて準備しますが、それがゴミとして出ることを考えてはいませんでした。当たり前のようで考えの行き届かない点ですね。
(KK)
僕も家族を連れてキャンプにも行くんですけど、本当に必要なものって意外と少ないんですよ。生ゴミは捨ててもらうんですけど、それはコンポストにしています。自分で畑もやっているので、春になったらそれを肥料として再利用するんです。スキーヤーとしての活動は冬だけですが、キャンプ場など1年通して自然の恩恵を感じています。それにこの街は日本国内でも珍しいぐらい四季の移ろいが豊かなところなんです。
(TNF)
東京にいると四季の変化を感じ取るのもなかなか難しいです。自然の恩恵という点で言うと、料理をする人は感じるのかもしれませんが、デリバリーサービスやコンビニのご飯が多い人にとっては、気候が何をもたらしているのかなど、その考えに至るのも難しいのかもしれません。今回、大規模な水害によって引き起こされたマクドナルドのフライドポテトがSサイズのみの販売でちょっとだけ現実的に感じた人もいるかもしれないですけど……。
(KK)
そうですね。ただマクドナルドのフライドポテトの出来事もこちらではあまり大きな影響はありません。なぜならマクドナルドがないから……。そう考えると東京のような都会に住むことで見えることもありますよね。それだけでなく、自然と距離がある場所にいるからこそ敏感に感じること、見えてくるものもあると思います。
一緒に生きるために
相手の
ことを知らないと
いけない
河野健児
(TNF)
今ある問題について知ってはいてもどうアクションすればいいのかわからない人も多いと思います。今回着ていただいたTシャツも通常の化学繊維より二酸化炭素排出量を抑えられるテンセル™モダールという素材を使っています。消費者の方に対して新たな選択肢を提示できればいいなと。
(KK)
無理に行動しなくていいと思います。こうした環境に配慮した洋服を選ぶことや、レジ袋を受け取らないことなど色々あると思いますが、まずは問題やそれを解決するための選択肢を知って、自分のいいと思った事を無理のないように実践するのが大切かなと思います。僕も地球温暖化との向き合い方として、まずは自然を好きになることからはじめてもらいたいと思っています。そのためにスキーやキャンプがあって。それを好きになった先にこそ、自分ができることが見えてくると思いますので。
(TNF)
河野さんにとって自然はどういう相手でしょうか?
(KK)
相手というより共存するものですね。僕たちは自然に合わせるしかないんです。実は、若い頃に雪山で大事故に遭ったことがあるんですね。自分本位な考え方で、自然のことをあまり理解できていなかったから起きてしまった事故だったと、今思うようになったんです。だから「自然の恩恵を受けて遊ばせてもらっている、ありがとうございます」といった感謝や謙虚な気持ちも必要だと思います。
(TNF)
その経験から自然との向き合い方はどう変わりましたか?
(KK)
やはり先ほどの環境に対するアクションと同じように、無理をしないということですね。自然を共存する相手として理解した上で行動する。これは人に対しても同じだと思います。相手の気分や都合を考えずに自分本位で接するとうまく付き合っていけません。人間も自然も同じで、一緒に生きていくために相手のことを知らないといけません。
(TNF)
河野さんの使命はなんだと思いますか?
(KK)
最小のコミュニティを幸せにすることですね。僕なら家族です。パートナーと3人の子供がいますが、そこを幸せにできないことには、誰も幸せにできないと思っています。近くにいる大切な人に合わせて生活していくことが、波紋のように自然と共存することで得られる幸福の輪が広がっていけば嬉しいですね。
河野健児さんについてもっと知りたい場合は@kono_kenji へ