Tadafumi & Kanako AzunoREBUILDING CENTER JAPAN
Wearing L/S Flower Logo Hoodie & Crew
搾取が生じない
透明な関係づくり
建築建材のリサイクルショップであるリビルディングセンタージャパンは長野県諏訪市にある。古材という過去から受け継いだ未来の資源に対する関心からできたのは、人と人が作り上げるひとつのコミュニティ。「いい人でありたい」そう話す東野唯史さんと華南子さんが目指すのは、搾取の生じない透明な関係性を築くことだった。
- Tadafumi Azuno
- TA
- Kanako Azuno
- KA
- THE NORTH FACE
- TNF
(TNF)
もともと唯史さんは店舗のデザインや施工に関するお仕事をされていたとのことですが、どういう経緯でリビルディングセンタージャパンを立ち上げることになったのでしょうか?
(TA)
2015年に新婚旅行でアメリカのポートランドに行って、たくさんのアンティークショップを見て回りました。その際に訪れたひとつがリビルディングセンターだったんです。彼らはNPOとしてリサイクルショップを運営していて、利益を出すことよりも活動を通して、自分達のコミュニティを良くすることを目的としていました。このモデルが日本にあったらゴミが減って、必要としている人たちに物が届いて、資源が循環する社会のしくみが作れるんじゃないかと思ったんです。
(TNF)
その考えが生まれたのは、ご自身が施工やデザインに関わっていた経験からですか?
(TA)
そうですね。日本全国を短い期間で転々としていたのですが、住んでいる間だけでも、何軒か古民家が壊されている状況でした。これが全国で起こっていると思うと相当な量だなという危機感を覚えたんです。
(TNF)
“危機感”と言うと?
(TA)
壊されていく古民家の多くは、それを作れる技術が今もうほとんどないんです。ただ空き家の活用が簡単ではないことは僕らもわかっています。建物をそのまま残せればそれがベストですが、それができない場合の選択肢として材料だけでも資源として残したいなと思いました。それではじめたのが「レスキュー」という取り壊される古民家から出る資材の買い取りやお片付けをする活動なんです。
(TNF)
ここまで反響があると予想していましたか?
(TA)
ある程度は思っていました。リビルディングセンターの名前使ったのも大きいですし。そもそも僕が古材屋さんやりたいと思ったのが、古材って製材して表面をめくると綺麗な木になるんですよ。アメリカだとよくこういう使い方するんですけど、日本にはまだ少ないんですよね。
(TNF)
日本だと古材ならではの傷や変色を良さとして楽しむことが多いですよね。
(TA)
綺麗にできるならどっちにも使えるし、リユース品なのでもちろん環境負荷は少ない。これを使わない選択肢はないなと思いました。気候変動など環境の話がもっと進んでいったら、古材のポジションはもっと上がってくると思っています。
(KA)
時代の後押しも感じます。ここ数年で見ると、環境配慮への意識が高い人がプロジェクトパートナーとしてリビルディングセンターを選んでくれたりもするので、そこは予想していませんでした。
よりよい選択肢を
隠さず、それが
ある上で勧められる
素直さがあるといい
東野唯史
(TNF)
お二人は日用品を買う際にも環境負荷について考えて選びますか?
(KA)
食べ物にしても洋服にしてもエシカルなものがいいなと思っています。ただ収入は人によって違うので、どうしてもすべてそういうもので揃えるのは難しい。エシカルなものほど適正に値段が付けられていないと、そのバッググラウンドにある賃金を疑ってしまいます。消耗品の洋服をそういったもので揃えるのも難しいなと思いつつ、肌に近いからこそクリーンに作られたものを着たいよなとかは思ってしまいます。
(TNF)
こと洋服に関しても今まで古着屋はニッチな場所でしたが、数が増えたせいか比較的オープンな場所もあります。こうして衣類などの生活用品も選択肢が増えたのはいいことですよね。
(TA)
僕たちの場合は、古いものを扱う仕事をしているので、洋服も普段は古着が多いですね。ただ時には新品の洋服が着たくなることもあります。そういう時に考えられる選択肢を作るのはとてもいいことだと思います。洋服を購入するときも、環境負担のことだけの話をすると、買わない>古着を買う>自然素材、リサイクル材>石油由来製品の順になるんだと思います。売る側がよりよい選択肢を隠さず、それがある上で勧められる素直さがあるといいなと思います。
(TNF)
ザ・ノース・フェイスでも古着を回収するボックスを店舗に設置したり、リサイクルダウンを使用したジャケットを販売するなどの取り組みをしています。アウトドアブランドとしてできることをもっと考え、もっと行動に移さないといけないですね。冒頭でお話ししたポートランドのリビルディングセンターがそうであったように、お客さんの姿を見ているだけで、ここも単なるお店ではなくひとつのコミュニティなんだと感じました。
(TA)
従来の資本主義の基本原則でいうと、ちょっと隠し事をして自分に都合よく進めることでお金を稼ぐというのが普通に行われきたと思うんです。でも僕たちは企業理念の中に「サポーティブ」という言葉があります。お客様に対してもスタッフに対しても協力的でいようと思っています。
(TNF)
心地のよさの理由が少し理解できた気がします。
(TA)
レスキューの際、「お先にどうぞ」という決まり事があります。大家さんと僕らの会話の中でこれってそんなに価値があるなら、他で売りたいということになっても止めないんです。他のお店に声かけてみようと思っているならそっちに持っていてもらって、本当に捨てる前に僕たちのところに来てくださいというのが僕たちの姿勢です。買取金額もうちはそんなに高くないんですけど、それを最初に伝えるんですね。これはうちだといくらで売るので、この値段で買い取りますねみたいに。搾取がない透明な関係性の方が心地いいですよね。
リビルディングセンタージャパンさんについてもっと知りたい場合は@rebuildingcenterjp へ