スポーツクライミングには、速度を競う「スピード」、設定されたルート(課題)の登れた数を競う「ボルダー」、登れた高さを競う「リード」の3種目がある。
「それぞれに特徴や面白さがありますが、見た目で勝ち負けがわかりやすいのは、純粋に速さを求める『スピード』でしょう。2人の選手が15mもの高い壁を駆け上がっていく様はとてもインパクトがあります。『ボルダー』は瞬発力が求められ、ホールド(突起物)からホールドに移る時のダイナミックな動きが魅力です。『リード』は持久系の種目と言われ、競技が始まる直前には、ルートを確認するオブザベーションを行います。この時、他の選手と話すことができ、ライバル同士が相談するという、他の競技ではなかなか見られない光景が繰り広げられます。このオブザベーションは『ボルダー』でも行われます。そもそも、地面から上へ垂直方向の動きで競うのも、スポーツクライミングならではの面白さです」
2021年の世界的な大会では、それら3種目すべてを行う「複合」で争われた。現在は「スピード」が単独種目と、「ボルダー」と「リード」の「2種目複合」がある。
「選手にとっては、より集中してトレーニングができるので、パフォーマンスアップが期待できます。これはあくまで個人的な考えですが、ゆくゆくは体操のように3種目それぞれが独立した上で、個人総合として3種目複合があってもいいのではないかと感じています」
採点方式にも変更がある。「スピード」は、予選も決勝も2人の選手が対戦し、勝ち抜き方式で競う。「2種目複合」は、ボルダーとリードそれぞれ最高100点、合計200点満点で争われる。それでは、知っていれば観戦をより楽しめる、スポーツクライミングの〝数字〟を紹介していこう。