「もともと、練習は強いけど、大会は弱いタイプなんです。でも、どれだけ緊張したところで、“目の前の課題を登る”ということだけは変わらない。そうわかって、ただ全力を尽くすことを繰り返しながら、緊張やプレッシャーに慣れていきました。 世界王者になった‘19年は、自分が強くなること、勝負を楽しむことに集中できていたんです。だけど、‘21年のあの大会は予選から緊張が半端なくて…。プレーに、自分自身に集中できれば、もっと楽しめて結果も変わっていたのかなと思います」
‘21年は大きな挫折を味わったが、プライベートでは、第一線で戦い続けてきたクライマーの野口啓代と結婚。同じ競技者だった野口の存在は、公私ともに大きく、パリ大会の選考を兼ねた世界選手権が迫る中、苦しい状況が続いた時には「クライミングを楽しんできなよ」と背中を押してくれた。