BOULDER
選手の個性が光る創意工夫系
大会によって多少の偏りはあるものの、ここ最近ではバランス系、コーディネーション系、パワー系の3種類に分けられます。それぞれムーブやスピード感なども違うので、その差に注目するのも良いと思います。
ボルダーで面白いのは、選手ごとの個性が出るところ。ある選手の正解が他の選手の正解とは限らない。同じ課題なのに、まったく違うムーブでクリアしてしまうこともあります。また、制限時間内であれば何度でもトライできるので、選手が試行錯誤を繰り返す過程も見どころです。ラスト数秒でクリアしてしまうという逆転劇もありますからね。最近のトレンドとしては、ホールドが大型化していることが挙げられます。大きいホールドを使うことで、動きが立体的になりました。以前は、基本的に観客は選手の背中を見続けることになっていましたが、大型化してホールドが壁から張り出したことで、選手を表に向けることも可能になったし、壁を自在に動きまわれるようにもなりました。
壁そのものの美しさ、というものにもルートセッターとしては注目してほしいですね。パッと観客の前に現れたときに、インパクトがあるかどうかも意識しているし、ホールドのチョイスも熟考します。見た目だけではなく、その壁をクライマーがどう登っていくのか、動きの美しさもイメージしているので、ひとつのショー、アートという見方もできると思います。
BALANCE
バランス系/ちょっとのミスが命取り
いちばんハラハラドキドキするのが、このバランス系かもしれません。基本的に足場が悪く、ちょっとしたことで落ちてしまうので、重心の位置がとても重要になってきます。最近では身体を180度回転させるようなムーブをさせる課題も増えてきました。選手がお客さんの側を見るので、会場も盛り上がります。選手もイチかバチかなところがあるので、メンタルも試される。それが果たして正解なのか、動きの読みも重要になってきます。
COORDINATION
コーディネーション系/まるでニンジャなスピード感
最近よくみるのが、大きなホールドの連続移動です。基本的には横にピョンピョンと飛びついていくような動きが多く、スピード感もあって、まるでニンジャのような動きをするので、今回紹介する3つのパターンの中では一番派手かもしれません。最近はツルツルとした新しいタイプのホールドが増えてきていて、見た目通り滑るんですがそれをあえて使わせるような課題もあります。トップ選手ですら、それを嫌がる様子なんかも観客としては見どころかもしれません。
POWER
パワー系/観客も思わず腕に力が入る!?
パワー系に関しては、コーディネーション系との差別化が難しくなってきていますが、コーディネーション系が横移動だとすると、パワー系は強傾斜の壁に対して、上に向かって体を引き上げていく感じです。瞬間的な最大筋力をいかにだせるか、とういうような力強さを演出するような課題が多いですね。ホールドにしがみついて、上半身をブルブルさせながら捻り上がる感じや、イチかバチかで上に飛び上がる瞬間は、観ている側も思わず手に汗にぎってしまいます。