2022年秋冬シーズンから「MATERNITY+」としてリニューアルを果たした、ザ・ノース・フェイスのマタニティライン。大きな変化は、ユニセックスのアイテムが増えたことです。マタニティの市場はこれまで女性向けアイテムがメインでしたが、ザ・ノース・フェイスのMATERNITY+では、育児アイテムの選択肢が少なかった男性も使えるアイテムも展開しています。働き方や家族と社会との関わり方がどんどん変化しているなかで、男女関係なく使える育児アイテムがあれば、その変化さえも楽しむ一助となるかもしれません。
マタニティラインのユニセックスアイテム拡充に向けて、子育て中の15名の男性社員が企画開発の初期から関わり、実際の声を交えながら製品へと落とし込んでいます。仕事内容も暮らす場所もさまざまなスタッフたちの声からヒントを得て商品が形になったマタニティライン。今回はMATERNITY+ STORYと題して、企画に携わった男性社員のひとり、奥山さんにMATERNITY+について話を伺いました。
自分の体験を通して、
好きなアウトドアを勧められる仕事
恵比寿ガーデンプレイスの店舗「THE NORTH FACE CAMP」の店長を務める奥山勇太。2017年の入社以来、販売スタッフひとすじ。二児の父。
ゴールドウインに入社する前もアウトドアブランドで販売の仕事を行っていた奥山さん。自身のアウトドア遍歴はもっぱらキャンプが主軸で、自身の好きを伝える仕事ができる「いま」がとても楽しいと語ります。
「2017年に入社してからは横浜の『THE NORTH FACE MARK IS みなとみらい店』で勤務し、その後異動をはさみ2020年4月から『THE NORTH FACE/HELLY HANSEN kids ららぽーとTOKYO-BAY』で勤務しました。この店舗はキッズ複合型ショップで、自身の第一子が2019年の5月に生まれたこともあり、仕事もプライベートも一気に子どもにまつわるキーワードが増えました」
奥山さんがアウトドアに興味を持ったのは、学生時代から行っていた野外フェスがきっかけ。当時はまだアウトドアの知識が少なかったものの、野外フェスは昼と夜の寒暖差が大きいこともあり、よりフェスを楽しむためにも知識が必要だと感じていました。参加回数を重ねるごとにアウトドアギアをアップデートし、振り返ってみるとキャンプ歴は17年ほどになっていました。また、帰宅ランをきっかけにハーフマラソンやトレイルランニングにも挑戦してきた奥山さんは、日常をより楽しくするための手段としてランニングも嗜んでいます。
「キャンプやランニングの楽しみを知らない人に自分が経験してきたアクティビティの楽しみ方を伝えられるのもこの仕事の楽しいところ。例えば、キャンプというと夏のイメージがあると思いますが、冬は星空がすごく澄んでいて綺麗ですし、秋は道の駅で野菜を買って食欲の秋を満喫するのもおすすめです。自分の価値観とお客様の価値観が共感しあって、実際に行動して体験する。ザ・ノース・フェイスの商品はモノですが、販売員としてその先の『体験』の提案を意識しています」
気負いすぎずに楽しむ
ファミリーでのアウトドア
奥山ファミリーは夫婦とそれぞれ3歳と5ヶ月の子ども2人の4人家族。2人目はまだ5ヶ月ということもあり、アウトドアアクティビティはデビュー前ですが、上の子はすでに泊まりでのキャンプは数回経験済みとのこと。
「妻はもともとアウトドアに興味はなかったのですが、少しずつ巻き込んでキャンプには行くようになりました(笑)広いキャンプ場でのびのびとキャンプをするのは気持ちいいですよ。あとは、下の子がもうちょっと大きくなったら、登山用ベビーキャリアに載せて一緒にトレッキングにも挑戦してみたい。今夏に1歳を迎えるので、バースデー登山ができたらいいなと目論んでいます」
日常のシーンの中で自然と戯れることを大事にしている奥山ファミリー。例えば公園で遊んでいるときに、大容量ポケットが特徴の「CR Storage Jacket」を使って、拾った松ぼっくりがポケットにどれだけ入るかやってみようと、ゲームのツールとして使うこともあるそうです。自宅近所のタープが張れる公園に、サンドイッチとコーヒーを持っていって、子どもと一緒にのんびりする。アウトドアと言っても気負いすぎないのが、子どもと共に自然を楽しむコツのようです。
育休によって変わったマインド
MATERNITY+への思い
奥山さん自身の愛用アイテムは大容量ポケットの防水ジャケット「CR Storage Jacket」と軽量抱っこ紐の「Baby Compact Carrier」。マタニティの企画に携わったことで、マタニティ以外のアイテムもこれは育児で使いやすいのでは?という目線でみてしまう癖がついたそうです。
マタニティラインのリニューアルに際して、社内の男性スタッフ15名が企画協力として参加したのは2021年の3月ごろ。ちょうどマタニティライン初のユニセックス商品『MTY Pickapack Rain Coat』が発売となり、マタニティのラインナップに変化が訪れたタイミングでもありました。マタニティラインの「妊娠、出産、育児に挑戦する家族を後押しする」コンセプトに共感していた奥山さんは、積極的に機会に参加していきます。育児の困り事や要望を共有したり、サンプル品を実際に数週間使ってみてレポートを戻したりと、実際に子育て中のパパだからこその目線を企画チームへフィードバックしていきました。
奥山さん(右上)も参加した、MATERNITY+アイテム開発の座談会の様子。育児とアウトドアについての実体験をもとに、男性社員からリアルな声を集めました。
「ザ・ノース・フェイスが全体で掲げている『Never Stop Exploring』というタグラインに込めた想いをこういうかたちでも表現できるんだなと思い、やる気いっぱいでした。子どもが生まれてほどなくコロナ禍となり、配属されたばかりの店舗が休業となったので、子どもと接する機会が多かったのも自身の意識に大きく変化を与えてくれました。1日中小さい子どもの面倒をみるのって、本当にすごく大変だなと実感したんです。自分がひとりの親としてマタニティシリーズを見たとき、育児に積極的な家族に対して何かできることはないかなとか、このシリーズをもっと広めていきたいという思いが湧いてきたので、企画協力の声がかかったのは嬉しかったです」
店舗の休業によって子どもと長い時間を過ごしたことと、マタニティラインに関わったことで、子育てがより自分ごと化し意識も変化した奥山さんは、現在働いている店舗の開店準備のタイミングでしたが、2人目が生まれる際に1ヶ月間の育休を取得したとのこと。また、実際に店舗で販売をしていても、シーズンを重ねるごとに男性からの反応が増えてきていることを実感しているそうで、自身の体験をベースに「こういうふうに使ってるよ」と男性にMATERNITY+のアイテムを紹介することも少なくないんだとか。
奥山さんが店長を務める「THE NORTH FACE CAMP」に隣り合う「PLAY EARTH KIDS恵比寿ガーデンプレイス」のMATERNITY+コーナー。奥山さんも気になって、よくアイテムを見てしまうそう。
「開発のために行われた社内座談会のときから、収納力を絶対的に求めるべきと主張していたので、それが『CR Storage Jacket』としてプロダクトになった姿を見た時はまさしく求めていたものだと思いました。小さい子どもがいると、とにかく荷物が多くなります。しかし、抱っこ紐をつけながらリュックを背負って…というのはかさばるし嫌だなと感じていたので、それが解消できたのがすごく嬉しかったです。アウトドアアイテムは機能性第一なので、そこを主戦場とするザ・ノース・フェイスならではの『道具として使える安心感』もおすすめポイントです。そもそも防水が効いていない服も多いので、GORE-TEX PRODUCTSを採用し屋外で使うことが前提で作られている強みは、普段自分が着ていても感じます」
突然小雨が降ってきたとして、子どもを抱いて大きな荷物を持って、さらに傘を持つのはかなり難易度が高いのではないでしょうか。それによって外に出掛けることが億劫になってしまわないよう、マタニティラインにこそ機能性が必要であり、ザ・ノース・フェイスの育児アイテムは、子どもと外で楽しむためのギアなのです。最後に、これからのMATERNITY+に期待することを聞いてみるとこんなコメントが返ってきました。
「すでにザ・ノース・フェイスで開催しているキッズのワークショップやキッズネイチャースクールなどは子どもにとって意味のあるイベントですし、アウトドアに興味を持ってもらうきっかけになりますよね。同じように、育児に積極的な男性のコミュニティを作るなど、育児というチャレンジをサポートする場ができたらすごくいいなと思います。僕自身も地域のベビー教室に参加したときに、パパの参加が少なすぎてちょっと肩身の狭さを感じてしまったんですよね。男女関係なく、同じ境遇の方が一緒に子どもを連れて触れ合える場が実現できたら、MATERNITY+を通して育児に積極的な男性が増えることにつながっていくかもしれません。
販売職でありながらも、製品開発に携われた経験はとても貴重で嬉しい機会でした。子どもの成長のフェーズで親としてのニーズも変わってくるでしょうからまた関われたら嬉しいと思いますし、いまのキャンプの仕事と絡めて小さい子どもと行くキャンプなどの企画を提案できたらいいですね」
Interview & Text/Ayumi Yagi
Photo/Ari Takagi