今朝起きると、斜里岳に面したリビングの内窓が凍っていた。
車に乗り込み、メーター脇に表示される外気温をチェックすると-21℃。
今シーズン1番の冷え込みだ。
自宅のある斜里町市街地から、お店のあるウトロまで片道40km。
1年を通し四季の移ろいを感じながら、国道334号を走り出勤する。
僕の出身地、東京では感じることの少なくなった(さまざまな意味で)
『季節の変化』を楽しみながらハンドルを握る。
厳冬期の良く晴れた朝、それも特別に冷え込んだ朝がとても好きだ。
キンと音が鳴りそうな冷気、粉雪が降り積もった針葉樹、厳かな冬の夜明け。
空気中の水分が凍ってキラキラと輝いている。
以前訪れた南米大陸パタゴニアを思い出す。
蝦夷鹿が食糧を探し、磯場からの急斜面を歩いている。
知床の冬のイメージと問われ、真っ先に思い浮かべるのは流氷だろう。
遠くロシア極東、アムール川から訪れる氷の旅人たち。
昨年は1月27日にその姿を現した。
日の出漁港を過ぎ、朝日に輝くオホーツク海を眺めると、その予兆を感じとることができる。
遠くのあの潮目は、流氷が溶け出した淡水と海水の境目かもしれない。
これを書いているちょうど今、馴染みのガイドさんから流氷が見えるとの情報が入り、高揚感を抑えながらプユニ岬へ急ぐ。
今年も長い旅路を経てここ、知床の地へやってきてくれた。
そんな流氷だが、地球温暖化の影響か、昨今訪れる時期、期間、量に異変が起きているという。
知床の豊かな生態系は、この流氷あってこそ成り立つもの。
この地で生活をしていると、本当に大切なものに気づかされることが少なくない。
東京では忘れてしまっていた、気づくことのなかった『本質的な豊かさ』を。
THE NORTH FACE / HELLY HANSEN 知床では、流氷を体験するイベントを開催します。
流氷によってオホーツク海が豊かな漁場となるプロセスを体感しに、この冬、知床の地へ足を運んでみてはいかがでしょうか?