例えば、ヴァータは運動・循環を司るエネルギーで、この特性が優勢な人は活動的、反応が早いがすぐに忘れる、乾燥しやすいなどの特徴があります。そして、バランスが崩れると腸、腰、骨盤などに不調が現れる…というように、ドーシャはそれぞれ異なる特性をもっています。
私たちは、この3つのドーシャを持っており、各ドーシャの優勢度合いは人それぞれ。さらに、季節や時期によっても変化しています。こうした特性を理解しておくことで、ドーシャの変化にも対応でき、体調管理に役立てることができます。
※「ドーシャってなに?」という人は、下の記事で自身のドーシャ特性を把握してみましょう。いくつかの項目に回答すると自分の特性がわかる「ドーシャ診断」サイトなどでもチェックできます。
ヴァータが優勢の人:
聴覚と相関性があるエネルギーのため、好きな音楽を聴くことで、心地良く散歩を楽しむことができます。
波の音、鳥の声、風の音など、心地よいと感じる音を意識しながら散歩を楽しむのもいいでしょう。
ピッタが優勢の人:
視覚と相関性があるピッタ。このドーシャが優勢の人は、景色が楽しめるルートを選ぶと◎。
ピッタは温性をもつため夕方以降の涼しい時間帯にスタートすると心身を穏やかに保つのに効果的です。また、冷性の月はピッタの癒しとなるので、月夜にウォーキングをするのもおすすめです。
カパが優勢の人:
カパは嗅覚と相関性があり、このドーシャが優勢の場合、飲食店の前を通ると、気になって運動を中断する可能性も。
こうした性質を理解して、行動を変えようと意識するだけでもドーシャの調整につながります。また、すっきりとしたミントなどの香りを出かける前に身体吹きかけると、心地よさをキープできます。
消化力(アグニの火)を高めるには、もちろんヨガも効果的。その際、ドーシャのタイプ別に合ったヨガのポーズや呼吸法を実践することで、より効果的にセルフケアを行うことができるのだそう。
相反する性質=グナの考え方を理解していると、ドーシャの傾向がわかり、対策しやすくなるのだとNAOさんは言います。
※ポーズ・呼吸法・瞑想はお腹の消化が済んでいるときに実践してください
ヴァータが優勢の人
軽性、移動性という特性を持つヴァータには、反対の性質となる静止する、落ち着かせるポーズが良いです。
また、ヴァータは、腸、腰、大腿部、骨盤などに座(=身体の中で大事な部位)があるため、下肢を動かして腸を安定させたり、腰や骨盤、下半身を調整するポーズも有効です。
<ヴァータにおすすめのポーズ>
前屈系:合せきのポーズ、座位の前屈、座位の開脚前屈など
立位:木のポーズ
仰臥位:ガス抜きのポーズ、仰向けの英雄のポーズなど
<ヴァータにおすすめの呼吸法>
ブラーマリー呼吸法(メス蜂の羽音の呼吸法):鼻から吸い、吐く時に静かに「んー」と音を出し、音に意識を向けて呼吸を行います。
ヴァータは外に意識が向く特性があるため、音に意識を向けることで集中力が高まり、ドーシャを落ち着かせることができるそう。また、一点に意識を向ける瞑想を取り入れるのもおすすめ。
ピッタが優勢の人
消化器系に座のあるピッタは、胃腸を動かすひねりのあるポーズを行うことで、ドーシャのバランスを取りやすくなります。また、軽性、温性(アクティブ)、鋭性(強さ、鋭さ)もあるので、解放するような動きや立位もベター。
<ピッタにおすすめのポーズ>
ねじり系:半螺旋のねじりのポーズ、ワニのポーズ、ねじった三角のポーズなど
側屈系:身体の脇を伸ばすポーズなど、パリブリッタ・ジャーヌ・シールシャ・アーサナ
解放的なポーズ:三日月のポーズなど、弓のポーズ
立位のポーズ:鷲のポーズ・チャンドラのポーズ
逆転のポーズ:下向き犬のポーズ、うさぎのポーズ(別名月のポーズ)
<ピッタにおすすめの呼吸法>
温性を持つピッタは、シータリー呼吸法でクールダウンを図りましょう。舌を丸めた状態で息をゆっくり吸います。舌を口の中に戻し、涼しい感覚を味わい、その後両鼻から息を吐きます。
舌が丸まらない人は、歯の間から息を吸い、閉じて両鼻から出します。月を見ながら、あるいは月をイメージする瞑想や、水のある自然をイメージする瞑想もおすすめです。
カパが優勢の人
安定、緩慢、重性などの特性のあるカパは、自宅でできるなら太陽礼拝を行うといいでしょう。カパの過剰は横隔膜から上の呼吸器に溜まります。 後屈で胸を開いたり、逆転のポーズもおすすめ。
カパは「土」と「水」の元素からなるドーシャで、腰が重い、なかなか始めないという性質があるのですが、不調を感じたらできるだけ「動く」ことを意識してみましょう。ドーシャは増幅しすぎても不調を招きます。日頃からそのバランスをとるようなセルフケアを心がけましょう。
<カパにおすすめのポーズ>
立位:太陽礼拝
後屈系:コブラのポーズ、バッタのポーズ、弓のポーズ、魚のポーズなど
逆転系:肩立ちのポーズ、鋤のポーズ、頭立ちのポーズ
<カパにおすすめの呼吸法>
カパの特性である停滞、冷えを緩和するには、カパラバーディー呼吸法がおすすめ。鼻で勢いよく、小刻みに吐く動作を20回から30回ほど続けます。
苦しくない程度に勢いよく吐くことで必ず吸う動作も行うため、吐くことを意識して呼吸を行なってください。身体が温まりカパの増幅を抑え、粘液質の過剰から疾患を癒します。
アーユルヴェーダの基本でもあるドーシャ理論とグナの仕組みは、理解することで体調管理やメンタルバランスはもちろん、さまざまな場面で生かすことが可能に。
まずは、梅雨対策、そして夏を楽しく過ごし、秋に向けても健やかに迎えられるようにNAOさんおすすめのセルフケアで体調を整えていきましょう。「『自分で決めて始めた!』という行為そのものも、心身のポジティブスイッチを押すいいきっかけになるので、散歩でもヨガでも、時間がない時は呼吸法だけでも、短時間でもいいのでやってみてくださいね」とNAOさん。
自分を自分でケアできることは、きっと想像以上に心地よく、充実感が得られることのはず。さぁ、今日からセルフケア、始めてみませんか?