撮影・濱屋壮佑
2023年の夏に山をつなぎながら5,000km近くを走った。普段のトレイルランニングよりも、ちょっと冒険的なことがしたくて、北海道から鹿児島まで日本列島を縦断した。
費やした日数は、ちょうど100日間。その間はずっとicebreakerのTシャツを着続けた。非日常的なチャレンジこそ、普段から身につけているものを使う。肌に馴染んだウエアで、ストレスなく毎日を過ごしたかったからだ。
その点でicebreakerのメリノウールはぴったりだった。使われているのは、ニュージーランドの草原でハーブを食べて育ったメリノ種の羊毛。ストレス知らずな環境で生活しており、繊維がとても細くて肌触りがよい。羊も僕もストレスフリーだ。
撮影・松本優規
毎日のように山を越えつつ、フルマラソン以上の距離を走る。気温40℃近い炎天下で動き続けた日は疲労困憊。体だけでなく、メンタルがぐったりして洗濯する余裕すらないことも。それでもウエアだけは快適に過ごすことができた。
洗濯機を回しそびれた時は、さっと水洗いして自然乾燥。あるいは着たまま乾かす。臭いは気にならない。メリノウールのもつ天然の抗菌作用さまさまだ。
撮影・相田健汰
南~北アルプスでは、標高3,000m付近の稜線で、絶景に足を止めることもある。そんな時は汗だくになっていても、メリノウールの保温力のおかげで体を冷やさずに済んだ。のんびりと心ゆくまで眺望を楽しめる。
濡れても寒さを感じずにいられるのは大きい。山で雨風にさらされても、ある程度は進むことを優先できるし、着替えのシャツを最小限に減らせる。
悪天候に備えてウエアを増やしていくと、どうしても装備が重くなり、かさばってしまう。2~3日の行程ならば、荷物が少々重くなろうと目をつぶれるが、5,000kmの旅では、さすがにキツい。
その点でも最高のパートナーだ。行動時に使うショートスリーブ1枚、停滞時のロングスリーブ1枚でほとんど対応することができた。
寒さ、雨風にも負けない機能性。羊たちはこんなにハイスペックな毛に覆われていていいなあ。そんなことをぼんやり考えながら走る日もあった。
列島縦断はややワイルドな使い方だった。それだけでなく、普段着としても優れている。山から下りてもそのまま街に溶け込める。
山で使えるミニマムなつくりは、街ではシンプルで飽きのこないシルエットになるからだ。奇抜でデザイン性の高い服も好きだけれど、長きにわたって身につけるのは、やっぱりシンプルな1枚だ。
撮影・久能岳士
icebreakerは山でも街でも身近な存在。生活に欠かせないものになりつつある。こうして書いていると、ありがたみが分かるが、身近すぎて気づかないこともある。
まれに、化繊のTシャツで走りに出ると、やけに肌寒さを感じてしまうのだ。そして、気付かされる。普段はメリノウールに守られているのだと。
距離が近くなるほど、その存在の大きさは離れてみないと分かりづらい。毎日のように顔を合わせていた友人、家族と会えなくなり、ふと寂しさを感じる時のように。icebreakerもそんな存在なのだ。
撮影・久能岳士
-Profile
若岡 拓也(ワカオカ タクヤ)
1984年生まれ、金沢市出身。走ることが好き。
山や砂漠、極地、ジャングル、凍った海の上など、さまざまなフィールドを走ることが喜び。
2023年には北海道から鹿児島まで山をつなぎながら約4,500kmを走破。