9月7日〜8日、信越トレイルにてロングトレイルツアーを開催いたしました。
今回は、ピークハントとはまた違う魅力の詰まったロングディスタンスハイキングのイベントレポートをお届けします。
今回の舞台は、10のセクションで構成されている長野県と新潟県境の里山を巡る110kmの「信越トレイル」です。
1日目は豪雪による独特な景観を楽しめるSection5を、2日目は主峰鍋倉山を中心にブナ林が広がるSection4を歩きます。
全区間を一気に通して歩くスルーハイキングに比べ一区間ごと歩くセクションハイキングは、初めてロングトレイルにチャレンジしてみたいという方には最適なコースです。
当日は、北陸新幹線の飯山駅に集合。
トレイルスタート地点までは宿泊場所でもあるなべくら高原・森の家スタッフの方に送迎して頂き、信越登録ガイドの吉村さんと及川さんに案内して頂きまました。
初日は関田峠からスタート。地図を見ながらルートを確認し、 Section5のハイキングスタートです。
古来から多くの人が行き交った関田峠の歴史を感じながら、大きく湾曲してトレイルを横切るように伸びた木々をまたいだり、くぐったりしながら歩きます。水分を多く含んだブナの葉は腐りにくく土に帰るのが遅いのが特長です。保水力がある葉のおかげでふかふかで足に優しいトレイルが続きます。
※信越トレイルは構想時から作家でもある加藤則芳さんの理念の基本である爪で引っ掻いたようなトレイル作りをしています。重機を使わず人の手で切り開くことで生態系が保全されます。
道中で様々なキノコを観察。薙刀のような形をしたナギナタタケ。中には猛毒のドクツルタケも!!誤って食べたら大変ですが、倒れた木にはキノコしか分解できない部分があり分解を助けている役目もあるということです。
約1時間歩き梨平峠に到着。空が見える開けたスペースで小休憩。その後は、関田山脈ほぼ全域に生息するツキノワグマの爪痕やモリアオガエルやトンボが生息する牧ノ小池を通過します。
牧峠手前は急な下り斜面か続きますが、所々で新潟側の眺望の良いビューポイントを抜けます。花立山1069mポイント、三角点を確認。周りを囲む4つの石で一番離れている石が北を指すそうです。宇津ノ俣峠に向かう途中は急斜面やアップダウンが続く道ですが、頭の木注意です!足元気をつけてー!と声を掛け合いながら安全に進みます。
途中ブナの大木に思わず上を見上げてしまいます。
白い木肌は美しく、立ち並ぶ様は見応えがあります。木々に触れたり、葉の爽やかな香りを嗅いだり、足元の苔を見たり五感でブナの森を堪能します。
初日の終着地点、宇津ノ俣峠に到着!
7.9km約5.5時間で行程を歩き終えました。
到着地点では送迎車に乗り、本日の宿泊場所森の家まで向かいます。皆さん歩き終えた後の疲労もありましたが、終着地点の開けた景色と初日を終えた達成感から笑顔が自然と出ます。
信越トレイル事務局もあるなべくら高原森の家に到着して、丸く赤い屋根が可愛いコンドミニアム型コテージに宿泊です。
森で過ごす、森を感じるをテーマに四季を通じて様々な体験ができる宿泊施設です。
日も落ち屋外施設のこもれびにて、虫の音を聴きながら信越トレイルトークイベントスタートです。
信越トレイルクラブを立ち上げた加藤則芳さんと構想段階から関わり、現在事務局長を務める大西様からお話しをいただきます。
全長110kmの信越トレイルの成り立ちから、今後も成長し続けていくトレイルの管理、維持まで幅広く話して下さり参加者も頷きながら熱心に聞いていました。
生態系の保全とトレイル管理には、官民が親密な関係を築き50年100年続くトレイルにしていくために、維持管理はボランティアが参加して行うという持続可能な管理体制についても感銘を受けました。
また信越トレイルクラブ(STC)は、2023年11月に世界的ロングトレイルであるアメリカ合衆国東部のアバラチアントレイルコンサーバンシー(ATC)と有効トレイル協定を締結しています。この協定によって、双方が取り組むトレイルの管理運営について相互支援と協力で交流と理解を深めています。
トーク最後にTHE NORTH FACE(株式会社ゴールドウイン)は、信越トレイルサポーター企業として支援活動をしていることで、里山環境の保全だけでなく、次世代の自然環境教育に繋がっていることをお話しさせて頂きました。
※加藤則芳さんについては、信越トレイルクラブ公式サイト内の信越トレイルストーリーに詳しく紹介されています。
トーク後は地元産の野菜もたっぷりなBBQで皆さんと会話を楽しみながら食事を楽しみました。BBQ最後にはスタッフによるアイテム紹介を行います。
アパレルやシューズでは実際にスタッフが選んでよかったポイントなどをお伝えして、テントの紹介では実際に触れたり中に入って寝て体感して頂くことができ、店頭とはまた異なる貴重な機会となりました。ありがとうございました!
2日目も天候に恵まれ、参加者の皆さんも初日から一緒に歩いた結束感もでき、早朝から和気あいあいとスタートです。
昨日と道路を挟んで反対側がハイライトの主峰鍋倉山を踏むSection4の入り口です。
少し歩くとトレイル利用者数を把握するために設置されているカウンターがあります。
1人1回気持ちを込めて押していくと、なんとこのツアーグループで丁度1,000人!嬉しいサプライズでした。
更に進むと所々に積雪で曲げられた背の低いブナの木が道を遮る形で伸びています。
ガイドさんの一声で、しなりがあり丈夫なブナの木に登ってみます。
子どもの時以来の木登り、皆さん童心に帰った気持ちで楽しそう!
トレイルを横に抜けるブナの木をアスレチックのように、くぐったり跨いだりと皆さん段々慣れてきたようです。
ザックには年度によって色が変わる信越トレイル整備協力金を納入した証の黄色いタグが…昨晩の信越トレイルトーク後に購入した方が多く、トレイルの維持管理の力になりたいという気持ちが伝わりますね。
この先は、関田山脈エリアの中で中心的なセクションですが、鍋倉山まで大きなアップダウンが連続します。黒倉山1242mを越えて主峰鍋倉山1289mに到着。
鍋倉山山頂は狭いスペースのため、そのまま進みます。美味しいミルクのような出汁が出るキノコやムラサキ舞茸など色々な植物を観察しながら歩きます。
鍋倉山先は急斜面やヤセ尾根が続くので足元に注意しながら一歩一歩進みます。
途中開けた景色の今日一番のビューポイント。遠く千曲川まで見え、涼しい風とトンボが飛び交い秋の気配を感じます。
ヤセ尾根を抜けると、ランチ場所のブナ美林ポイントに到着。まずは幻想的な空間でガイドさんの森林セラピーを受けます。丹田に集中して目を閉じて大きく息を吸ってしばらく止めてゆっくり吐き出すことを何回か繰り返します。目を開けると空に向けて伸びるブナの木に圧倒され、頭や目もクリアになった気分になりました。
森林セラピー後にランチタイム。やよい農園さんのたっぷりの具がのったドッグパンとガイドさん手作りのウド新芽の酢漬けをご馳走になりました。ランチ後には下にたくさん落ちているブナの葉やタネを観察してから、小沢峠に向けて出発します。
小沢峠を抜けるとフォトフレームのようなブナ木で思わず皆さん撮影タイム。
仏ヶ峰三角点に到着、ここから登山口まで降りますが、ゲレンデの急な下りが続くので膝を伸ばしてストレッチ。
ふかふかトレイル後の最後に石ころが埋まっているゲレンデ跡地を足元に注意しながら下ります。途中倒れた巨木をくぐり、仏ヶ峰登山口に到着。とん平までゲレンデを下りハイキング終了です。到着後は湧き水を口に含んだり、汗を拭いたり…2日目8.2km約6.5時間の行程で歩き終えました。お疲れ様でした!
ハイキング後は、湯滝温泉で汗を流してから解散。
ツルヤでオリジナルトレイルフードやドライフルーツなど各々お土産を買い帰途に着きました。
また紅葉の季節に歩いてみたい、セクションハイクの登山口までの送迎が助かるなど様々なお声も頂きました。
皆さま初めて信越トレイルを歩かれた参加者の方ばかりでしたが、プログラムを通じて皆さまとスタッフとの繋がりも増え、ご意見から学ぶべきことや次に繋がるアイデアも浮かんだりと楽しい2日間となりました。
ご参加くださった皆さま、ありがとうございました!!
THE NORTH FACEでは、年間を通して様々なプログラムのイベントを運営しています。
トレッキングでは、ロングトレイルをテーマに様々なプログラムを予定しておりますので、ぜひ別のプログラムにもご参加いただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。