暖かくなると旅心がムズムズと頭をもたげて、どこかに出かけたくなります。木々が芽吹くように、冬眠していたクマが巣穴から顔を出すように、寒さにこわばっていた体が柔らかさを取り戻すと、人もまた動きたくなるのかもしれません。

旅慣れた人に共通しているのは、旅支度がシンプルなことです。心配でアレもコレもと準備してしまいがちですが、荷物が少なくなればそのぶん身軽に動けます。移動と宿泊を繰り返す旅にはさまざまなコツがありますが、旅にまつわる衣食住の「衣」については、ひとつ自信をもって言えることがあります。そう、旅こそウールです。

旅でウールを選ぶいちばんのメリットは、長時間快適に着られることです。ウール繊維には吸湿性があり、衣服内の空気が含んでいる湿気を吸って、ムレを抑えてくれます。飛行機や電車に長時間乗り続けるときに背中やお尻、ふとももがじんわりと汗ばむあのイヤな感じが、あきらかに少なくなります。薄手の生地ならコットンよりも涼しく感じられるくらいです。　

さらにウールは、その気になれば同じウエアを着続けることもできます。登山のようなアウトドアアクティビティですでにウールを愛用している人にはおなじみですが、汗をかいても洗濯は不要。やせ我慢をしているわけではなく、一晩干して乾かせば気になるにおいもありません。これは、羊の体を守るウール繊維の驚くべき性質によります。

人の汗にはアンモニア臭や酢酸臭（すっぱいにおい）に変わる成分が含まれていますが、ウール繊維のなかには、これらの成分と結びついて中和するような働きをする官能基があります。この官能基がにおいの成分を捕まえると、あの独特の汗のにおいが出てくることはありません。においの成分は洗濯によって洗い流されてリセットされますが、たとえ洗濯しなくても数日間はにおわないので、長期に渡る旅でなければ最低限のウエアで済ませられます。

そんな話をしてもにわかには信じられないと思います。そこで、アイスブレーカーのスタッフは、実際に行動着一着と部屋着一着の二着で7泊8日の海外の旅に出てみました。日中着たTシャツは、洗濯せず干すだけ。それでも8日間、さらりと快適に過ごすことができました。

スタッフの旅はウールの実力を検証するちょっと極端な例ですが、たとえば同じ旅程でもう一着、ちょっといいお店にディナーに行くときに着るものがあれば、少ないウエアでも、旅で出会ういろいろな場面に対応できるのではないでしょうか。

今回紹介するのは、旅のお供にもぴったりのウールのウエアです。ウールの優れた性質はそのままに、よそいきにも使える見た目や着心地まで考えてデザインしました。旅で使えるということは、つまりは日常生活でも気持ちよく使えるということです。嘘だと思うなら、ぜひとも検証してみてください。

リヨセル60％とウール40％の混紡糸でつくる125クールライトは、ヒートインデックス125の夏向けの薄手生地です。通気性に優れるリヨセルをブレンドしているため、この生地でつくるウエアは、同じ重さのウール100％のものに比べて涼しく着られるのが特徴です。日よけの効果も高い襟付きの長袖シャツは、春夏秋冬の幅広いシチュエーションで使えるアイテム。着合わせしやすいゆったり目のシルエットなので、登山やアウトドアはもちろん街にも溶け込みます。ウールならではの着心地のよさを感じていただきたく、あえてTシャツと同じ天竺編の生地で仕立てました。ボタンは椰子の実を砕いて固めたもので、生地と同じ染料で染めています。すべて天然由来素材のナチュラルな一着です。

ウール100％のボーダー柄の半袖Tシャツです。袖はやや細めのデザインで、袖口や襟ぐりはクラシックなリブ仕様。胸の玉縁ポケットがワンポイントです。シャツのインナーとしてはもちろん、単体でも着やすいリラックスしたシルエットで日常生活からトレッキングのようなアウトドアアクティビティまで幅広いシーンに対応します。

ウールの心地よさに動きやすさをプラスした、リブ編みのタンクトップです。天然由来繊維のリヨセルとウールをミックスした素材は、お互いの特徴のいいとこ取り。リヨセルの通気性とウールの調湿性が相まって、さらりとした着心地が続きます。植物由来のバイオポリウレタンによってフィット感や動きやすさも上々。スタイリッシュなアメリカンスリーブは、アクティブシーンにもタウンユースにもよく映えます。

リヨセル60％とウール40％のクールライト125でつくったスキッパーカラーの半袖シャツです。クールライトは、通気性とウールの調湿性をあわせ持つ名前のとおりクールな素材ですが、独特の光沢感と柔らかなドレープ感も特徴。見た目もきれいなので旅のお供はもちろん、オフィスカジュアルのような着方にも対応できます。ユニセックスで男性はレギュラーフィット、女性は少しゆったりしたサイズ感です。

夏向けの125クールライトでつくったセットアップです。リヨセルの風通しの良さとウールのムレにくさの相乗効果で生まれる涼やかな着心地に加えて、ほどよい光沢感と柔らかなドレープ感もクールライトの特徴です。トップスは暑い夏も涼しく着られて印象もさわやかなフレンチスリーブ。生地のドレープ感を生かして縦にきれいなラインが出るフレアパンツとの組み合わせは、着心地だけでなく見た目も上質です。

極細のファインゲージで編んだソックスです。ナイロンとポリウレタンをミックスして強度と伸縮性を高め、つま先とかかとは補強して耐久性を確保しています。シンプルな無地のクルー丈はシーンを選ばず使いやすいカタチ。革靴にも合わせやすい、薄手で滑らかな一足です。メンズとレディースがあります。