社会課題に意識を向けることを当たり前に
──お二人は社会課題に関して積極的に発信をしていますが、その課題に気づいたきっかけは何だったのでしょう?
長谷川 私はイギリスへ留学していた2019年に、フェミニストのコミュニティを運営している方と一緒に暮らしたことがきっかけでした。それまで自分をフェミニストだと思ったことはありませんでしたが、彼女と話すことで、自分が普段から抱いていた違和感がフェミニズムと通じていることに気づかされました。
その後、イギリスから一時帰国したタイミングで『週刊SPA!』(扶桑社)に「ヤレる女子大学生RANKING」という記事が掲載されたんですが、それに対して当時大学生だった山本和奈さんが「女性軽視だ」とSNSで声を挙げているのを目にして。署名活動を行い、メディアにも取り上げられ、最終的に『週刊SPA!』編集部と話し合いの場を設けて謝罪を受けるに至りました。その間、3週間ほど。そのとき、「勇気ある一人の声から世の中を変えることができるんだ」と衝撃を受け、私の知名度もこうした動きに活かしたいと思うようになりました。
合田 私がジェンダーの問題に気づいたのは、大学生の頃です。高校卒業まで女子校に通っていて、性差を意識することなく何でも自分たちでやる環境でしたが、大学で共学になったとき、突然自分が女性だと意識させられたんです。サークルに入ると、男子はどんなときも荷物を持たなければならない、女子は何もしなくていい、とジェンダーによって役割を分けられ驚きました。ジェンダーの壁を強烈に感じた瞬間です。
そんな体験を経て、具体的なアクションへつながったのは、Wantedlyという企業に勤めていた頃に主宰したイベントでした。LGBTQ+フレンドリーな企業への就職活動をサポートするイベントを担当したのですが、驚くほどたくさんの人が集まり参加者から「こういう機会を求めていた」という声をもらい、私がやるべきはこれだな、と。このとき起業を決意し、2018年に「パレットーク」を立ち上げました。
──それぞれ原体験があって、アクションにつながっているんですね。
長谷川 そうですね。でも、私は自分のことを“アクティビスト”とは思っていなくて。というのも、私くらいのリテラシーはみんな持ってほしいと思っているんです。日本を一歩出ると、私がやっていること、考えていることくらい当たり前のように大多数の人ができている国もたくさんあります。だから、私はどこにでもいる23歳・Z世代でありたい。でも、日本はまだまだ理想にはほど遠いので、マジョリティとされる人たちに向けて、自分が課題に感じていることを発信しています。
合田 確かに私たちの世代は「社会課題に関心を持つのは当然のこと」という人が増えてきていますよね。今は多くの人がSNSをやっていて、個人が発信するコンテンツが価値を持つ時代。自分らしく表現できる機会が増えているし、学生であっても、気になる大人に直接コンタクトを取って話を聞くこともできます。