THE
INTERNATIONAL
WOMEN’S DAY

未来のために女性の
エンパワーメントを

「パレットーク」編集長

合田 文

AYA GODA

モデル

長谷川ミラ

MILA HASEGAWA

Instagram

@tnfwomen

インスタライブ

3/6(土)19:00〜

START!

アクションを起こす
女性たち

2030年までの達成を目指すSDGs。特に日本はジェンダーギャップ指数がG7の中で最も低く、ジェンダー平等の実現について取り組むことが目下の課題となっています。世界から遅れをとるなかで、オールジェンダー向けのファッションブランド「JAMESIE(ジェイムジー)」を手がける傍ら、InstagramやYouTubeでフェミニズムや環境問題について発信するモデル・長谷川ミラさんと、フェミニズムやLGBTQ+をテーマにした漫画メディア「パレットーク」を運営する合田文さんとの対談を実施。彼女たちの対話から、今私たちがやるべきことを考えます。

PHOTOGRAPH BY MIE MORIMOTO

TEXT BY ERI UJITA

EDIT BY NATSUKI TOKUYAMA

社会課題に意識を向けることを当たり前に

──お二人は社会課題に関して積極的に発信をしていますが、その課題に気づいたきっかけは何だったのでしょう?

長谷川 私はイギリスへ留学していた2019年に、フェミニストのコミュニティを運営している方と一緒に暮らしたことがきっかけでした。それまで自分をフェミニストだと思ったことはありませんでしたが、彼女と話すことで、自分が普段から抱いていた違和感がフェミニズムと通じていることに気づかされました。

その後、イギリスから一時帰国したタイミングで『週刊SPA!』(扶桑社)に「ヤレる女子大学生RANKING」という記事が掲載されたんですが、それに対して当時大学生だった山本和奈さんが「女性軽視だ」とSNSで声を挙げているのを目にして。署名活動を行い、メディアにも取り上げられ、最終的に『週刊SPA!』編集部と話し合いの場を設けて謝罪を受けるに至りました。その間、3週間ほど。そのとき、「勇気ある一人の声から世の中を変えることができるんだ」と衝撃を受け、私の知名度もこうした動きに活かしたいと思うようになりました。

合田 私がジェンダーの問題に気づいたのは、大学生の頃です。高校卒業まで女子校に通っていて、性差を意識することなく何でも自分たちでやる環境でしたが、大学で共学になったとき、突然自分が女性だと意識させられたんです。サークルに入ると、男子はどんなときも荷物を持たなければならない、女子は何もしなくていい、とジェンダーによって役割を分けられ驚きました。ジェンダーの壁を強烈に感じた瞬間です。

そんな体験を経て、具体的なアクションへつながったのは、Wantedlyという企業に勤めていた頃に主宰したイベントでした。LGBTQ+フレンドリーな企業への就職活動をサポートするイベントを担当したのですが、驚くほどたくさんの人が集まり参加者から「こういう機会を求めていた」という声をもらい、私がやるべきはこれだな、と。このとき起業を決意し、2018年に「パレットーク」を立ち上げました。

──それぞれ原体験があって、アクションにつながっているんですね。

長谷川 そうですね。でも、私は自分のことを“アクティビスト”とは思っていなくて。というのも、私くらいのリテラシーはみんな持ってほしいと思っているんです。日本を一歩出ると、私がやっていること、考えていることくらい当たり前のように大多数の人ができている国もたくさんあります。だから、私はどこにでもいる23歳・Z世代でありたい。でも、日本はまだまだ理想にはほど遠いので、マジョリティとされる人たちに向けて、自分が課題に感じていることを発信しています。

合田 確かに私たちの世代は「社会課題に関心を持つのは当然のこと」という人が増えてきていますよね。今は多くの人がSNSをやっていて、個人が発信するコンテンツが価値を持つ時代。自分らしく表現できる機会が増えているし、学生であっても、気になる大人に直接コンタクトを取って話を聞くこともできます。

実話に基づくストーリーでフェミニズムやLGBTQ+について紹介する「パレットーク」 より。Twitter、Instagramのほか、noteではさらに詳しく漫画の内容を解説している。

バズる内容が変わった。活動を通して感じた、社会の変化

──お二人が具体的なアクションを始めて数年経ちますが、変化を感じることはありますか?

合田 「パレットーク」では、いい意味で単純な漫画があまりバズらなくなりました。たとえば2年前であれば「全体の人口のうち、LGBTQ+の人の割合はこれくらい」という内容もある程度反応がありましたが、今はもう少し入り組んだ社会構造についての話や時事問題についての漫画に反応があります。数字で変化が見えますし、リテラシーが上がっていると感じます。そういう“嬉しい肩透かし”がありますね。

長谷川 私もここ2年くらいで大きく変わったと感じています。企業にも「変わらなければ」という意識を持つ方が増え、今回の企画をはじめ、取材やイベントなどに呼んでいただくことが増えました。同時に、影響力を持っている人がメディアを通して社会的な意見を伝えることも大切だと思っています。

──社会課題について発信することで、批判を受けることもあると思うのですが、お二人はどのように対応していますか?

合田 「パレットーク」では社会に向けての主張ではなく、いち個人の体験を漫画で紹介しているんですが、それでも批判はきます。でも、私たちがアプローチするべきは、日本に一番多いとされている無関心層。たとえばまだ法律上できないことになっている同性婚について、何が問題なのかをきちんと知り、腑に落ちれば「確かに同性婚もできるようになるべきだよね」と言えるような人たちです。結婚という選択ができないことが、人の尊厳や社会のサステナビリティにどう影響するかを考えてもらいたいと思っています。

長谷川 私も同じ。よく言われることですが、全体のうち2割がすでに課題に気づき、行動している人。そして同じく2割が批判する人たち。残りの6割が興味はあるけれど行動に移していないか、課題に気づいていない無関心層なんです。発信を始めた当初は、批判してくる人たちを気にしがちでしたが、そうした意見はひとまず受け流してもいいと思えるようになった。今必要なのは、6割が変わることで社会全体が動き出すこと。そうすれば、批判していた人たちの行動も変わっていく可能性がありますから。

⻑谷川さんが気になった環境問題やサステナビリティについて実際に体験し、発信するキットカットYouTubeチャンネルの「#キットずっとプロジェクト」より。

“無意識の偏見”を自覚するところから

──いわゆる無関心層の中には、ジェンダー問題に対して「わからなくて怖い」と感じる人もいると聞きます。そういった方たちに対して、どういったアプローチが有効だと思いますか?

合田 まずはじっくり対話すること。私の会社では、企業から依頼を受けてセクシュアリティやジェンダーに関するレクチャーもしているのですが、中には「自分は差別をしていないし、偏見もない」と思い込んでいる方もいます。

そうした方へ向けて行っているのが、“無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)”を自覚するワークショップ。「アンコンシャス・バイアスは男女問わず誰にでもあるけれど、それを口にして誰かを攻撃したり、存在を無視したりしてはいけない」と伝えています。たとえば、子どもがいる女性社員に対して、本人の希望を聞かないままに、よかれと思って労力のかかる大事なミッションを渡さないことも一種の偏見です。ワークショップを通して知ることで、やってしまっていた側はそれが偏見だと気づくことができ、された側は悪意がなかったことに気づくことができます。そうして互いに理解していくことが大切です。

長谷川 ジェンダーに関して知ることは、誰も傷つかない世の中にすることにつながっていますよね。女性が差別を受ける一方で、男性も社会によってつくられたジェンダーロールに括られ、息苦しさを感じている人もいます。あらゆる人が心地よく生きるためにも、「わからないから」と怖がらずに、まずは学んでみてほしい。

合田 実際に、企業がジェンダーやLGBTQ+についてきちんと考え、取り組むことで、社員のエンゲージメントはかなり上がるんです。自分らしく働ける環境であれば優秀な人材が長く働こうとしますし、採用費の削減にもつながります。経営層にとっても、大きなメリットになることも知っていただきたいです。

長谷川 こうした考えは、世界的に見ればスタンダードな国も多いです。日本でも、当たり前のこととして捉えられるようになるといいですよね。

今、柔軟に変わる姿勢を見せるとき

──世界経済フォーラムが公表する2020年の日本のジェンダーギャップ指数は、153カ国中121位でした。直近では日本の元政治家の女性蔑視発言が国内外から大きな批判を浴びましたが、これからどういったアクションが必要だと思いますか?

長谷川 ここ数年、多くの人たちがSNSなどを通して少しずつ声を上げ続け、世の中の意識を変えた結果が、女性蔑視の発言を問題視する流れにつながっていると思います。2年前であれば、議論が深まる前に流されていたかもしれません。本当は、ただ謝罪して辞めるのではなく、学び得たことを表現してほしいですけどね。

合田 日本に住む人は、声を上げて政治を変えたという成功体験を実感している人が少ないのかもしれません。だからこそ今は、分断を生まないようにしながらもSNSを使って議論を膨らませ、世の中をいい方向に変えていく体験を増やすとき。そして情報を受け取る側も、意見を変えていくことに寛容な姿勢が必要になってくると思います。

──まさに過渡期ですよね。日本が大きく変わっていく可能性を背景に、お二人が挑戦したいことはありますか?

長谷川 私は今、サステナブルな社会を目指して、YouTubeでジャーナリストのような活動をしているのですが、消費者や企業、自治体を取材していると、みんな努力しているのにお互いに連携ができていない。そのつながりを生み出せるのが、芸能人や著名人の発信や行動ではないかと思うんです。そうした人たちは“人気商売”でもあるので社会的な発言をしにくい風潮がありますが、その状況も少しずつ変えながら、さまざまな人や組織とつながる環境をつくっていきたいです。

合田 いいですね。連携によって社会を循環させて行くという意味では、私が思い描くものもミラさんと近いと思います。将来的には、投資家になりたいと思っていて。女性やLGBTQ+の方が、もっと自分らしいビジネスが始められるよう、投資して、場所や人脈もつなげられるようにしていきたいですね。

インスタライブ開催!

LIVE01.「これから変わる、社会のジェンダーへの意識」

3月6日(土) 19:00〜19:40

出演者:「パレットーク」編集長 合田 文 × THE NORTH FACE 中村真記子

非当事者が社会課題としてジェンダーを捉え共生していく世の中を作るために、「多様性」をテーマにジェンダーについて語ります。

視聴はこちらから @tnfwomen@palettalk_

LIVE02.「知識を身につけかしこく生きる! 今知っておくべき環境問題A-Z」

3月6日(土) 20:00〜20:40

出演者: Fridays For Future×No Youth No Japan×THE NORTH FACE 西野美加

若い世代の政治参加を身近にすることを目指して活動するNo Youth No Japan。その代表・能條桃子さんとFridays For Futureのメンバーで「環境」をテーマに女性たちがこれからの未来を生きるため座談会を実施します。

視聴はこちらから @tnfwomen@fridaysforfuturejapan@noyouth_nojapan

長谷川ミラ

長谷川ミラ

1997年生まれ。南アフリカとのハーフで、2017年よりALL GENDER向けの自身のブランド「JAMESIE」を立ち上げ、その後ロンドンの名門美大(セントラル・セント・マーチンズ)に入学。メディア出演だけでなく、自身のバックボーンやブランド、ジェンダーレス、環境問題などを自由に発信し“私”を表現するモデルとして活動中。2020年10月より J-WAVE 「START LINE」ナビゲーターに就任。

合田 文

合田 文

1992年生まれ。IT企業、HR業界を経て「人の性のあり方・多様性への考え方を変える」事業部を設立。事業責任者を務めた後起業し、株式会社TIEWA代表取締役CEOに。「らしく生きるを、もっと選びやすく」をテーマにメディアやマッチング事業を展開。漫画でわかるLGBTメディア「パレットーク」編集長をつとめる傍ら、ダイバーシティ&インクルージョンやフェミニズムに関しての執筆や登壇を行う。

GENDER

01

“自分への憧れ”が
エンパワーメントを
加速させる

ジェンダーや賃金の不平等など、スポーツ界で起きているいくつもの格差。その問題が生じる現実と背景を学び、解決のためのいとぐちを探ります。

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PRESENT

風呂敷からはじまる
アップサイクルの
かたち

GORE-TEXの残反を活用したアップサイクル風呂敷が登場! サステナブルなアイテムをそばにおいて、環境へのアクションに一歩チャレンジしてみませんか?

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SDGs

03

“変える”のではなく、
“変わる”きっかけを
生み出していく

環境問題について深く知ることで変わる社会の見え方。その景色を共有し、社会の認識が変わるための「共感を生むコミュニケーション方法」について学んでいきます。

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