THE NORTH FACE

北海道の北東部、オホーツク海に突き出た知床半島は、流氷が運ぶ豊富な栄養素と海と山が隣接する特異な地形によって、世界でも類を見ない独自の生態系を構築している。

四季折々の表情を見せる知床にあって、流氷が姿を消し、長い冬に別れを告げる春は、つかの間の夏を迎い入れる準備でとりわけ忙しい。陸、海、空の野生動物たちは喜びを爆発させ、森は一気に色を変える。

今回、写真家の石川直樹は「野生を全身で感じられる」夏の知床連山を縦走し、映像作家の吉開菜央はまだ雪の残る知床の春を漫喫した。圧倒的な自然に全身で挑んだ2人の記録を通して、知床を感じて欲しい。そして実際に訪れて欲しい。「地の果て」と表現されることの多い知床だが、実はここはあなたを招き入れる「大地の入り口」なのだから。