トレイルメンテナンスレポート

トレイルメンテナンスレポート

守るトレイルメンテナンスレポート

#01

横のつながりが、
未来に
トレイルを
残す鍵となる

東海エリアのハイカーにも
人気の愛知・猿投山。
東海自然歩道のルート上にも位置する
猿投山の登山道を整備し、
森を守る
「猿投の森づくりの会」を訪ねた。

猿投の森づくりの会
設立:2004年
会員数:64人
活動場所:猿投山北西山麓エリア
日本山岳会東海支部
https://jactokai.sakura.ne.jp/shibuhp/

2024年に50周年を迎えた東海自然歩道。ではこの50年間、トレイルを整備し環境を守り続けているのは誰か? といえば、それは各自治体と連携して環境整備に取り組む地域の団体なのだ。登山者、ハイカー、トレイルランナーなど山を愛する各地のローカルたちの地道な活動なくして、日本各地の長距離自然歩道は成り立たない。

トレイル脇にあるマツの枯死木の伐採作業。倒れるとトレイルを塞いでしまったり、事故につながる恐れがある。

「学生時代のダウラギリ登頂から始まって60年以上山を登ってきました。私たちの時代は自然を征服するものだと思っていたところがあります。登山者はみんな山を荒らしてきました。でも山を、森を守らないと次世代につながっていかないのだと気づくことができたんです。罪滅ぼしですよ」

「猿投の森づくりの会」代表の和田豊司さん(中央)。この日は15名の参加があった。

そう話してくれたのは猿投山の環境整備を行う「猿投の森づくりの会」代表の和田豊司さん。

日本山岳会東海支部が立ち上げた「猿投の森づくりの会」は2004年の設立。愛知高原国定公園の一角にあって、東海自然歩道が通る県有林やまじの森のある猿投山北西山西麓にて活動をしている。

猿投山は標高629m。名古屋市など人口密集地からも近く、多様な動植物が見られる人気の山だ。

「猿投の森づくりの会」が行うのは雑木林整備、人工林間伐など。この日は、トレイル脇にある枯死木の伐採作業をメインに行っていた。枯死木を放置しておくとやがて倒木となり、トレイルを塞いでしまうのだ。

ズズン! 山に大きな音が響き、マツの枯死木が倒される。
伐採されたマツは樹齢110年。マツは平均して100年ほど生きるそうだから長く生きたマツだったようだ。
倒されたマツは輪切りにし、トレイル脇によけられる。

「日本全国で同じ問題を抱えていますが、人が手を入れずに放置された人工林には植生の荒れ、土壌の緩み、花粉の飛散など多くの問題がありますよね。そして、人が手を入れないと登山道やトレイルがどんどん消えていってしまうのです」

和田さんの言葉であらためて気付かされた。これまで日本の歴史の中で消えてしまったトレイルは無数にあるのだろう。守る人がいるからこそ、私たちは楽しく歩くことができるのだ。

倒木の危険もなくなり、視界も良くなった整備後のトレイル。