Journal.02 CLEAN DOWN FROM
KAWADA FEATHER

洗浄・乾燥を終えたダウン&フェザーは、風で飛ばすことで選別される。降り注ぐ様子はまるで雪のよう。

河田フェザーが作る
CLEAN DOWN

三重県多気郡にファクトリーを構える河田フェザー。
そこで生み出される高品質のダウン&フェザーは、2017年秋冬シーズンより、THE NORTH FACEの
ダウンアイテムのほとんどに採用されている。
THE NORTH FACEが絶大な信頼を置く河田フェザーのダウン&フェザーが生み出される工場へ特別に取材を敢行。
DOWNへの矜持を伺った。

洗浄・乾燥を終えたダウン。ふわふわと柔らかなダウンは、その肌触りの良さと軽量さに驚くばかり。
2時間30分にも及ぶ洗浄・脱水を終えたダウン。
除塵を行うマシンのフィルター部分。目には見えない細かなほこりを丁寧に取り除いている。
袋に詰められた出荷前のダウンたち。ボリュームに対して、だいぶ軽量。

THE NORTH FACEが
CLEAN DOWNを選ぶ理由

 シビアな環境で活動するアスリートをはじめ、 ファッションアイテムとしても支持されるダウンアイテムを数多く展開するTHE NORTH FACEにとって、 そのベースとなるダウンは欠かすことのできない材料のひとつ。 そんなTHE NORTH FACEが2017年秋冬シーズンより、ほとんどのダウンアイテムで採用することになったのがCLEAN DOWN。 三重県にあるダウン&フェザーメーカーである河田フェザーが生み出す、高品質の国内精製ダウンだ。
 まず、CLEAN DOWNの魅力のひとつとして挙げられるのが、ダウンのクリーンネス。 河田フェザーでは、マシンを使った徹底的な除塵・洗浄・乾燥といった工程を経ることで、水鳥の原毛に付着したほこりや垢などを取り除いている。 これによりダニや菌の発生を抑え、子どもから大人まで安心してダウンアイテムを楽しむことができるように。 ダウンが持つ圧倒的な暖かさという機能を誰しもが享受できるのだ。
 また、クリーンネス以外にも清潔なダウンが生み出すメリットがある。それは、より持続する保温効果と放湿効果。 羽毛に付着している不純物を100%に近い状態まで取り除くことで、暖かい空気を羽毛の隙間に留めて保温し、 毛先が湿度に合わせて開閉し湿気を放出するという、天然羽毛そのものが持つ能力の最大化をおこなっているのである。 不純物が付着したままのダウンだと、湿度の放出が行われずにダウンが潰れてしまい、暖かな空気層が作れず保温性が続かない。 そんな機能性の減少の抑制をCLEAN DOWNは果たしている。
 THE NORTH FACEは多くのダウンアイテムにCLEAN DOWNを採用することで、クリーンネス・機能性の両方を高い次元で実現しているのだ。 続いては、河田フェザー株式会社の代表取締役である河田敏勝さんに、CLEAN DOWNを生み出すまでに至る経緯と、そこに込められた矜持について伺った。

河田フェザーのファクトリー内。
様々なマシンが並ぶ。

CLEAN DOWNへの
こだわりとプライド

 先述の通り、クリーンネスと機能性を高次元で実現するCLEAN DOWN。 その高品質を実現するに至るまでは、多くの工程が存在する。 それらを経て徹底的に汚れを取り除くことで、CLEAN DOWNが生み出されるのである。 この時、完全に汚れが落ちていることをわかりやすく伝えるなら、「余分な成分が付着していないので口に含んでも味が全くしない」と、 河田フェザーの代表取締役を務める河田敏勝さんは教えてくれた。
 そんなCLEAN DOWNのすべての生産工程において欠かせないものが水である。 「この地域(三重県多気郡)は、水が豊富なんです。もともとは名古屋に工場を構えていたのですが、 このCLEAN DOWNを生み出すのに欠かせない超軟水質の水を求めて、この地に移転してきたんです」。 河田さんがそう語る通り、工場を移転した地域は、世界的な降雨量を誇る大台ケ原山地で降った大量の雨が長い年月をかけて地下深くを流れている。 この伏流水は、硬度3.2mg/Lという超軟水(国内の水道水は50-60mg/L)で、河田さんが追い求めたこの水が、 羽毛に深く浸透し、普通の水では落とせない汚れを取り除いている。
 また、河田さんがこだわるのは環境だけではない。「私が河田フェザーの5代目を務めることになった時に、 環境以外でこだわったのはマシンの技術力です。他のメーカーがどうしても落とせないと諦めていた汚れを私は諦められませんでした。 そこで、マシンの洗浄力を高くするために、新たなマシン構造を考え出したんです。 しかし、その独自のマシン構造をドイツのメーカーへ提案するものの、担当者からは実現不可能だと言われました。 それでも彼を説得し、マシンを製造してもらうことに。それを使って実際にダウンを洗浄してみると、その独自構造は大正解。 従来よりも多くの汚れを落とすことに成功しました」。河田さん自身が考え抜いた構造理論。 それを実用化することで、世界でも類を見ない除塵力・洗浄力を可能にさせた。
 豊かな自然環境と高い洗浄技術。その2つに妥協せずにこだわることで生まれるプライドが、CLEAN DOWNの高い品質を支えている。

河田フェザー株式会社の外観風景。エントランスの植え込みからは、 河田さんが海外から買い付けたというアヒルの人形が顔を出しており、それを見た来訪者からは思わず笑顔がこぼれる。

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