Journal.04 GOLDWIN
TECHNICAL CENTER

GTCのリペアサービスを
知っていますか?

日本においてTHE NORTH FACEの展開をおこなう株式会社ゴールドウイン。
その富山本店に併設されるように、GOLDWIN TECHNICAL CENTER(以下GTC)はある。
国内展開プロダクトの一部生産をおこなえるほどの設備と技術を備えるGTCでは、新製品の開発の他、
お客様が使用する上で負ったダメージのリペア業務も担っている。
その目的は、THE NORTH FACEプロダクトの機能回復。
ダメージを負うまで使ってもらえたプロダクトを、また新たにフィールドへ送り出すべく熟練した職人が精を出す。
その様子を知ってもらえばTHE NORTH FACEをさらに愛してもらえると信じ、ぜひこのリペアサービスを活用してもらいたい。

リペアの流れ

  1. THE NORTH FACEの店舗にリペアしたいものを持ち込む。
  2. ショップスタッフが現物の状態を見ながら、お客様のご要望のもと修理伝票を作成。
  3. 現物が修理伝票とともにGTCへ。
  4. GTCの専門部署により、リペアに必要な材料の有無を確認。
  5. 見積もり金額と納期を割り出し、ショップからお客様へ連絡。
  6. お客様了承後、リペア作業を開始。

リペアの発注を受けた商品は、まず生産時の規格書から生地の品番を割り出し、同じものがGTCや倉庫にストックがあるか確認する。なければ生地供給元まで掘り下げて探し、それでもない場合は商品部が管理する生地から代用生地を探す。ベース素材が機能をなしていない場合を除き、基本的にリペアは可能となる。

[修理に関してのお願い]

ご要望に確実にお応えするため、汚れがひどい商品についてはクリーニングをしていただき(ダウン使用の製品については表面の素材を拭く程度で)修理にお出しください。お預かりした商品の汚れがひどい場合は、当社でクリーニングをおこなうことがございますが、その際は修理代金にクリーニング代金を加算させていただきます。また、リペアサービスは機能回復を目的とするもので、デザインを含めた現状回復を保証するものではございません。修理にあたっては大幅な外観の変更を伴うことがあります。素材のストックがない場合などは、生地や色調は同じではありませんが、同等の機能を備えた素材での修理をお受けいたしますが、お客様の要望による製品の改造はお受けできません。なお、ソックスやアンダーウェアなど、消耗品および経年変化による退色や劣化は対象外となりますので予めご了承ください。

REPAIR SERVICE BY GTC.GTCのスペシャリストによるリペアサービス

お客様のものを扱うことになるため、リペアを担当するのはGTCの中でも熟練したスペシャリスト。
基本的に1着のリペアにつき職人ひとりが担当するため、彼らはプロダクトの構造とその作り方を理解し、1着丸々作れる技術を持ち合わせている。
ここでは、ふたつのリペアサンプルをもとに、その緻密なリペア作業を知っておいていただきたい。

REPAIR SAMPLE. 01

[リペア前の状態]
GORE-TEX®を使用したシェルの背面右肩付近の破れ
[リペア費用の目安]
約¥2,700+Tax

  1. ダメージ部分まわりの汚れを落とし状態を確認。
  2. 当て布の切り替え位置を決め、ペンシルでマークする。
  3. ダメージのある生地パネルの縫製を丁寧にほどく。
  4. ダメージのあるライナーのメッシュ素材も丁寧に外す。
  5. シームテープは、スポットプレス機により約170℃の熱を加えて剥がす。温度はベース生地によって違う。
  6. 切り替え位置を丁寧に裁断。
  7. 裁断した古い生地を型紙代わりに、生地の向きを合わせて新たな生地を裁断。
  8. ライナーのメッシュ素材も、古い生地をもとに裁断。
  9. ミシンを使い縫製。GORE-TEX®メンブレンもこの段階で挟み込んで縫い合わせる。
  10. 新たにできる切り替え部分は、二重で縫製することで強度を持たせる。
  11. 縫い合わせた後、余分な生地は綺麗に除去。
  12. 表地を縫製したら、裏から目張り機を使いシームテープを接着。
  13. シームテープの重なる部分は、スポットプレス機で熱を加えながらプレスすることで接着強度を確保。
  14. まつり縫い用のミシンなどを使い、ライナーのメッシュ生地を縫い合わせる。GORE-TEX®を使用したシェルなどは生地の層が多いため、順を追って縫い合わせ戻していかなければならない。
  15. ペンシルの跡や糸クズなどを丁寧に除去。
  16. 検針機にかけて針や異物の残存がないことを確認してリペアが終了。

REPAIR SAMPLE. 02

[リペア前の状態]
インサレーションジャケットの袖口と
アジャスター部分のダメージ

[リペア費用の目安]
約¥2,500+Tax (片袖のみ)

  1. スポットプレス機を使いながら熱でシームテープの接着剤を溶かし、手作業で剥がしていく。
  2. ダメージを負った袖まわりの縫製を丁寧にほどく。
  3. ダメージを負った袖のタブを丁寧に外す。
  4. 傷んだ面ファスナーを丁寧に外し、糸のほつれや糸くずも綺麗に除去。
  5. 同じ素材のストックがないタブは、代用生地を用いて専用の型紙をもとに切り出し作成する。
  6. 傷んだ生地を丁寧に切り離す。
  7. 切り離した生地を型紙代わりに新しい生地を裁断。
  8. 切り出した新たな生地を、ミシンを使い袖口に縫い合わせる。
  9. 新たに作成したタブは、閂止め用のミシンを使い縫い合わせることで強度を確保する。ミシンや目張り機を使う際は、一度試し縫いをおこなうのが基本。
  10. 目張り機を使い、裏側からシームテープを貼っていく。
  11. シームテープが重なっている部分はスポットプレス機を使って強固に接着。
  12. 袖口を縫い合わせる。
  13. 熱で溶かすことで接着剤が生地に含浸し冷やすと固まるホットメルトを使い、極力もとの状態に近くなるように仕上げる。
  14. インフュージョンをスポットプレス機で接着して生地の端を隠すことで、肌との干渉をなるべく減らす。
  15. 面ファスナーを縫い付け、糸クズや汚れを除去。
  16. 検針機にかけ、針や異物の残存がないことを確認してリペアが終了。
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